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更新日:2011年4月11日

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前横須賀産業ビジョン・全文

 1.社会環境変化

(1)産業活動を取り巻く社会環境変化

戦後復興期、高度成長期を経て、安定成長から低成長期に移行しつつある我が国の産業は次のような社会環境変化の潮流の中にあり、こうした新たな潮流は、高度成長期に我が国産業を牽引してきた自動車産業や電気機械産業の集積の大きい横須賀市にとって、多面的な影響を及ぼすものと考えられる。

今後の産業構造を見る上で、特に注目すべき社会環境変化としては、以下の7点があげられる。

 

 

国内市場の成熟

 

産業のグローバル化の進展と国際競争力の変化

規制緩和の進行

情報ネットワーク社会化

就業意識の変化

高齢化社会の到来

地球環境への意識の高まり

 

(2)新しい産業社会の到来

社会環境変化の潮流に適応した我が国の新しい産業社会の方向性について以下の6点に整理できる。

 

第一に、産業活動のグローバル化の進展によって、我が国産業は国内フルセット型の生産構造から本格的な国際分業構造へと移行していく。特にアジア地域との分業構造の形成が一層進展することが予想され、その連携形態もかつての垂直的な分業から、水平的な分業へと変化していく。アジア地域を中心とした国際分業が進展する中で、国内産業の空洞化を懸念する声も高くなっているが、グローバル化の潮流は避けられず、我が国産業は、グローバル経済を前提としてさらに産業・機能を高度化し、新たな役割を担うことになる。

 

第二に、流通構造も大きく変化する。価格破壊が進展し、カテゴリーキラー、さらにはそれらが集積

するパワーセンターが登場してきており、既存業態

との間で競合が激化している。こうした新業態はロードサイド立地や郊外立地を図ることから、商業の地域間競争においても全く新しい競争が生まれてきている。さらに、流通分野の規制緩和も進むとともに、建値制などこれまでの商取引慣習が崩れ、オープン・プライスに移行する中で、我が国流通分野には強い競争原理が働くことになり、新業態が生まれる一方で、競争力のない既存の業態は窮地に追いやられるなど大きな変貌を遂げていく。

 

第三に、既存の業種の枠組みが不明確になり、既存産業分野への相互参入に加え、新たな産業分野には様々な産業分野から技術やサービスが入り込んでいくことになる。従来の業種という概念では産業の実態がつかみにくい経済となり、業種を超えた産業の再編と新たな企業間連携が進む。

 

第四に、企業間の連携が、多層下請分業構造(ピラミッド型)から、パートナー企業が水平的に連携するネットワーク型構造へと変化していく。ピラミッド型の分業構造は、安定的な環境下においては効率的であるが、不確定な環境、新しい市場を開拓していく創造力が問われる環境においてはデメリットを顕在化させるため、今後はより柔軟で迅速な対応力があり、知識や創造力が働きやすいネットワーク型の分業構造が重要になってくる。

 

第五に、高度情報通信環境は、新しい産業社会にとって無視できない重要テーマとなる。既に、POSシステム等が小売流通分野において定着してきており、顧客ニーズを迅速に把握し、売れ筋を絞って、在庫を圧縮する強力な武器になっている。高度情報通信を活用して産業の競争力を高めていくことは、新しい産業社会の重要テーマとなる。

 

最後に第六として、新しい産業社会においては、創造的中小企業の活躍が大いに期待される。既に、企業規模は優良企業の判断基準ではなくなっている。知識や創造力が企業の付加価値を生み出し得る知識ベースの産業社会においては、規模の優位が働く領

域は小さくなる。創造的な中小企業がパートナー企業と連携しつつ、企業家精神を発揮し、新しい市場を開拓していくことが、我が国の新しい産業社会を形成する上では不可欠である。

 

(3)新規成長産業群

産業の構造的変化方向に加え、これからの産業社会でどのような新規成長産業分野が見込まれるのかが注目される。これからの我が国の産業を牽引することが期待される新規成長産業として、通産省の産業構造審議会では、「情報・通信関連分野」、「住宅関連分野」、「医療・福祉関連分野」、「生活文化関連分野」、「環境関連分野」等12分野があげられている。

また、21世紀に向けた潮流に対応した産業として、リサイクルや環境保護に対するコンサルタントなどの「環境関連ビジネス」、ビルメンテナンスや住宅リフォームなどの「住宅関連ビジネス」、フィットネスやエステティックなどの「ヘルスケアビジネス」、さらに、在宅ケアや緊急医療サービスなどの「シルバー産業」なども今後の成長が期待されている。

 

(4)横須賀市および周辺都市における産業関連プ

ロジェクト

神奈川県では、これまでに京浜工業地帯や内陸部に58の工業団地を整備し、県内外からの企業進出の受け皿としてきた。現在では、以下のように、新たに12の産業団地の整備が進行中である。

横須賀市では、「横須賀リサーチパーク」「よこすか・海辺ニュータウン」「湘南国際村」等のプロジェクトが動き出しており、さらに「Y-HEART」や「流通業務拠点」などのプロジェクトが構想されている。これらは、規模の面でも、その内容の面でも、他に比べて注目に値するものばかりであり、新たな産業の受け皿として大きな期待がよせられている。

 

 

2.発展の系譜

横須賀市の産業発展の系譜を見ると、軍と密接な関係にあることが特徴である。製造業については、横須賀製鉄所を中心に軍都が形成され、鉄鋼業や造船業が急速に発展してきた。また、現在の主要産業である自動車産業や電気機械産業も、軍用地の払い下げにより新たに立地した企業を中心に構成されている。商業やサービス業についても軍需用により集積が高まっていった。

横須賀市の産業は、外から活力を与えられることで成長してきた。また軍都という特殊な位置づけが閉鎖的で保守的な風土を醸成してきたため、内発的な成長があまり生まれてこなかった。それゆえに産業連関があまり進展しておらず、それがもう1つの特徴を形成している。

 

 

3.市内産業の問題点とポテンシャル

(1)製造業

<現状と問題点>

横須賀市の大規模工場は、事業所数にして全体の僅か3%にすぎないが、工業品出荷額でみると全体の79%、従業者数では58%を占めており、大企業依存型となっている。

大きなウェイトを占める輸送用機械産業は、最近では出荷額は減少傾向にあり、市内の製造業をこれまでのようにリードしていくには厳しい状況にある。

自動車産業以外の業種についても、最近7年間(1987~1994年)での出荷額の伸びは全国平均を下回るものがほとんどであり、横須賀市全体では7%のマイナス成長である。

厳しい事業環境に加え、後継者難の問題が重なり、将来的に休業あるいは廃業を考える企業は、中小企業を中心として全体の15%を占める。

我が国の製造業を中心とした産業構造は大きな構造転換が進んでいる。こうした環境変化に対応した事業革新なくしては、本市の製造業は、縮小均衡や衰退へと向かう可能性が高い。

 

<発展ポテンシャル>

大手企業の基幹事業所が集積しており、そのほとんどが研究開発や試作を行う研究開発型の工場としての位置づけがなされている。

横須賀リサーチパーク(YRP)をはじめ、海辺ニュータウン、湘南国際村、久里浜テクノパークなど特色のある産業プロジェクトが整備されつつあり、高度な研究開発機能を持つ企業の立地が進んでいる。また、Y-HEART構想にみられるように新たな産業プロジェクトの計画もある。

全国各地ではニッチなマーケットで高いシェアを確保する中小・中堅製造業が注目されている。横須賀市内にも、国内でも有数な技術を有し、事業を拡大させる企業が出始めている。

 

(2)卸売・物流業

<現状と問題点>

市内の物流業、卸売業とも、小規模な事業所が多く、従業者数4人以下の事業所が全体の半数を占める。

顧客からのコストダウンの要請や顧客の業績不振、さらには、大手企業との競争の激化により、売上高が減少した企業が約半数を占める。このため、小規模零細企業を中心に事業所数が減少している。

将来的に休・廃業を考える企業の割合が物流業では15%、卸売業では9%を占める。また、卸売業では事業内容の変更を検討する企業も多い。

物流業、卸売業ともに、情報化への取り組みに対しては消極的である。

 

<発展ポテンシャル>

情報化の進展は、大きなビジネスチャンスを与えるものとして期待され、情報武装による高度なサービスを提供することにより、広範なエリアで事業が展開できる可能性が広がる。

市内物流業では新規事業への参入意欲が高く、このような事業変革に向けた動きは発展に向けたポテンシャルとなる。

横須賀IC周辺に整備される大規模な流通業務拠点は、市内に点在する中小物流業や卸売業の集約化の受け皿となるだけでなく、共同化や事業高度化の推進といった意味で大きな契機となりうる。

TSL(テクノスーパーライナー)の就航が実現すれば、遠方地域(特に、九州・四国地域)との間で水産物や食料品をはじめとして大きな物流が発生することになり、市内物流業や卸売業にとっては事業を拡大させる大きなビジネスチャンスが生じることになる。

 

(3)小売・飲食業

<現状と問題点>

個人経営の店舗が減少しており、大規模店舗や新業態店舗の出店や既存店舗のフランチャイズ化等の影響により法人組織による店舗が増大している。

また、近年では従業者数10人未満の小規模店舗が減少し、従業者規模が10人~30人の中規模店舗が大幅に増大している。

商店街などの小規模な店舗では、豊富な品揃え、低価格化、営業時間の延長などの消費者のニーズに十分に対応できておらず、市民の買い物場所としての評価が低下している。逆に、総合スーパーに代表される大規模店舗や、コンビニエンスストア、ディスカウントストアなどの新業態店舗等の利用が増大している。

横浜駅東口や京急上大岡駅前に大規模デパートが開店したことに加え、今後みなとみらい21地区に大規模商業施設の進出が予定されていることにより、特に小売業では、買物客の市外流出がますます増大する可能性がある。

 

市内の限られたマーケットの中で、商店街同士の競争が激化していることもあり、業界に対する将来性については、大幅な減退を予想する商店が多く、後継者難や顧客の減少などを理由に、将来的に休・廃業を考える商店が、小売業では全体の20%を、飲食業では13%を占める。

このため、空店舗の問題が顕在化しており、商店街の活力低下につながっている。

 

<発展ポテンシャル>

市内の中心部やロードサイドに大規模店や新業態店の新規立地が進み、消費者の市外への流出に歯止めがかかる可能性が高まっている。飲食業でも、大手資本による店舗立地が増加しており、飲食業全体の安定した成長に寄与している。

個々には、新規事業への参入に対する意識が高い店舗が出始めており、新業態への転換など事業変革の可能性が高まっている。また、飲食業でも余暇産業としての認識が高まり、魅力的な店舗づくりに取り組む事業者が増加している。

 

(4)サービス業

<現状と問題点>

店舗規模は全体的に小規模であり、1店舗あたりの従業者数、事業収入や、従業者1人あたりの事業収入は、いずれも県内他都市および県内平均を大きく下回っており、相対的に生産性は低い。

クリーニング店、理・美容院、医院、学習塾といった伝統的な対個人サービス業が多い。一方、情報サービス業や広告業、デザイン業といった対事業所サービス業の集積は小さい。

公共サービス業の割合が県平均を大きく上回っており、教育・医療・福祉といった公的な意味あいが強いサービス業の割合も高い。

事業所サービス業の伸びが大きく、今後市内サービス業の牽引的役割が期待できるが、今後も成長が期待できる情報サービス産業の伸びは、全国平均を大きく下回っている。

最近5年間では、売上高を増加させている事業所が多く、市内の他の業種との比較では相対的に好況である。その一方で、従業員の確保難や顧客の減少などを理由に、業界全体の将来性を危惧する事業所も多く、将来的に休・廃業を考える事業所が全体の12%を占める。

 

<発展ポテンシャル>

対事業所サービス業のマーケットが拡大しており、特に、情報サービス業では大きなビジネスチャンスが生じている。

横須賀市民は、高齢者向けサービスや余暇レジャー関連サービス等の充実を求めており、地域ニーズに対応したサービス業を新たに展開する可能性が高まっている。

市内のサービス業において、新規事業への参入に対する関心度が高い。

市民の行動範囲が拡大しているため、市内だけでなく、三浦半島全域をマーケットとした事業展開が可能になっている。

サービス業の就業者は増加傾向にあり、将来に向けて雇用吸収の中核的な産業になることが期待される。また、女性の社会進出が今後も進展する中で、女性が活躍できる機会を提供できる産業として大きな役割と期待を担っている。

 

(5)農水産業

<現状と問題点>

本市農水産業を取り巻く経済環境は厳しく、農産物輸入に対する外圧、生鮮輸送技術の進歩に伴う産地間競争の激化等により大都市圏に近接した都市型農水産業基地としての優位性は相対的に低下してきている。

大手流通業等による農水産物の直接買い付け、消費者グループと直接結びついた流通ネットワークの開拓など、農水産物流通構造についても新しい動きが生じている。

農業従事者や漁業従事者が年々減少している。特に小規模な事業者の減少が顕著である。また、農業および水産業における経営者の高齢化が進んでいることから、この傾向は今後も続くと予想される。これに伴い、農業では不耕作農地の大量発生が危惧されている。

一方、農地法等の制限や慣習により、農水産業への新規参入は制限されている。

 

<発展ポテンシャル>

製販同盟や情報化を活用した産直などの流通革命が進展し、農水産業にとって新たなビジネスチャンスが生じている。

横須賀市民から見て評価できる市内の資源として、新鮮な農水産物を身近に味わえることがあがっているなど、農水産業に対する地元ニーズが高い。

市民農園、観光農業や観光漁業など市民との交流を目的とした新しい取り組みが行われている。

消費者の健康に対する意識が高まるに伴い、無農薬や自然栽培に対するニーズが増加している中で、市内の農業経営者においても、無農薬や自然栽培への取り組みが見られる。

 

(6)観光

<現状と問題点>

海、魚、野菜、花といった自然資源、観音崎、ドブ板通りなどの観光資源に恵まれ、またアメリカ文化のイメージを持ち、首都圏近郊の集客都市としての可能性を持っているが、その資源が最大限には生かされていない。また、観光面でのまちのイメージ、セールスポイントが明確でない。

観光入込客が商業や飲食業などの他の産業に結びついておらず、宿泊比率が少なく、1人あたりの観光関連の消費額も極めて少ない。入込客数もここ数年は横ばい傾向となっている。

駐車場、道路、地域内交通アクセスなど交通面での整備が十分でなく、ピーク時には交通渋滞が大きな都市問題となっている。

 

<発展ポテンシャル>

海や港、山や緑地が観光やレジャーの場として利用されていることについて市民からの評価は高い。

横須賀芸術劇場やくりはま花の国などの新しい集客施設が整備され、市内はもとより周辺地域から多くの集客を引き込みつつある。

猿島のように観光PRの効果が現れている例がある。

 

(7)産業構造-現状と将来推計-

従業者数から見た横須賀市における中核的な産業は、「一部の大企業を中心とする製造業」「中規模店舗を中心に雇用吸収力の高い小売・飲食業」「伝統的な個人サービス業と公的サービス業を中心としたサービス業」および「公務」の4つがあげられる。

これらの産業をはじめ市内産業では、新たな企業の立地や、市内企業の事業高度化など発展に向けた取り組みが行われているものの、最近5年間の全産業の従業者数は伸び悩んでいる。特に全国的に大きな成長を示しているサービス業については、横須賀市の伸びが低調である。

ひとつの目安として、通産省の産業構造審議会(産構審)による将来予測をもとに、2010年までの横須賀市における従業者数を推計した結果、2010年における横須賀市の従業者は、現在よりも減少することになる。

特に製造業の減少が大きく、製造業関連の従業者数の年平均伸び率はマイナス3.44%である。特に、基幹産業である自動車産業を中心とする「輸送機械・産業機械」分野が大幅に減少することになる。

一方、商・サービス業の従業者数は、サービス分野を中心に比較的高い伸び(年平均0.53%)が見込まれ、市内就業者の雇用吸収の受け皿となると考えられる。

 

(8)就業構造-現状と将来推計-

国勢調査に基づく横須賀市の人口予測をもとに、2010年までの就業者数を推計すると、人口がほぼ横ばいで推移するのに対し、就業者数は、現在に比べて1~2万人減少する可能性がある。その要因としては、若年層の人口減少が大きく影響している。

(1990年:21.1万人→2010年:19.7万人)

高齢層の就労率の増大と、若年層の人口減少により、高齢層(55歳以上)就業者の全就業者に占める割合が大幅に高まることになる。

(1990年:17.4%→2010年:24.7%)

産業別には、製造業をはじめ第2次産業の就業者の割合が大幅に減少することが予測される。一方、

 

第3次産業の占める割合が増大し、特にサービス業において就業者が大幅に増加することになる。小売業、飲食業、運輸通信業については、横ばい、もしくは、減少が予測される。

このまま推移すると、時期あるいは業種によっては就業者数と従業者数のミスマッチが生じる可能性があり、失業や労働力不足の問題が懸念される。いずれの問題も横須賀市の産業に及ぼす影響は大きく、特に労働力不足の問題に対しては、女性や高齢者の雇用機会の増大、市外からの労働力確保といった取り組みを推進しない限りは、労働力の面から市内産業の活力が低下することになる。

 

4.産業振興の基本課題

(1)産業別にみた課題

1製造業

産業プロジェクトを活用した成長産業の導入

大規模工場は、研究開発型工場としての位置づけをさらに高めることが求められ、企業間連携や産学官連携が展開できるような環境づくりが必要である。

市内の基幹産業は、これからも市内産業を牽引していくには厳しい状況にあるため、従来の基幹産業に加えて、新たなリーディング産業を強化する必要がある。特に、横須賀リサーチパークやY-HEARTなどの産業プロジェクトを活用し、情報・通信分野や医療・福祉分野などの成長産業の育成・誘致が必要である。

 

中堅・中小製造業による独自性のある取り組みの促進

事業環境が悪化する中堅・中小製造業に対しては、まずは、市内の中堅・中小企業の高い志を引き出すことが重要である。また、技術力および経営力の向上に対する支援を実施することにより、自社製品・技術の開発や大手企業との事業提携など独自性のある取り組みを促進することが必要である。

 

新陳代謝の促進と既存の産業基盤の機能更新

将来的に休・廃業を考える市内製造業が15%を占めることに対しては、退出の際の痛みをやわらげることにより、新陳代謝を促進し、成長力の高い産業構造への移行をより円滑に推進する必要がある。

久里浜工業団地をはじめとした既存の産業基盤については、中長期的には、産業構造の転換に応じた機能更新を検討する必要がある。

 

2卸売・物流業

情報化、共同化による高度なサービスの提供

市内卸売業が、激化する大手資本との競争に対抗

 

するためには、情報武装による高度なサービスの提供が不可欠である。

市内物流業がこれまでのマーケットを確保し、さらに三浦半島全域にまで拡大を図るためには、情報武装により物流サービスの効率化に取り組み、高度なサービスを提供することが必要である

 

共同化等による企業規模の拡大と効率性の向上

市内物流業は、零細性を解消することが早急の課題であり、事業変革に積極的な市内物流業の集約化および共同化を促進することにより、企業規模を拡大させるとともに、事業の効率性を高めることが必要である。

 

特定分野に絞り込んだ戦略的なマーケット開拓

厳しい競争環境に対抗するためには、特定分野における強みを発揮することが求められ、その分野に絞り込んだマーケットの開拓が必要である。

 

TSL就航の実現化

TSLの就航は、横須賀市の特有の課題である半島性の問題、さらに、それより生じる小規模商圏の問題を打開する契機であり、物流業にとって大きなビジネスチャンスが生まれることが期待される。このため、市内物流業をはじめ地元産業界と行政が一体となったTSL誘致に向けた取り組みを展開する必要がある。

 

3小売・飲食業

やる気のある店舗の事業変革の促進

経営者や従業者の高齢化、事業意欲の低下による休・廃業は、ある意味ではやむを得ないが、新規事業への参入意欲の高い店舗については、その意欲を活かし、新業態による運営など事業革新に向けた取り組みを促進する必要がある。

 

法人経営による店舗の市内立地の促進

安定した成長を維持するためには、フランチャイズ化をはじめ法人経営による店舗の市内立地を促進する必要がある。

 

消費者ニーズに対応できる小売店舗の集積拡大

大規模店舗や新業態店舗、事業変革に取り組む既存の商店など消費者ニーズに対応した店舗の立地を促進する必要がある。

 

観光やアミューズメントと連動した集客力の向上

観光やアミューズメントなどの他機能と連携した共同イベントを開催し、集客力を向上させる必要がある。また、個々の店舗に対しても、余暇産業としての位置づけを認識し、豊かな時間が消費できる空間づくりを実現すべく、魅力的で楽しい雰囲気の店づくりを目ざした経営努力を促す必要がある。

 

中心商業集積の活性化

中心商業集積は地域の顔としての位置づけがあるため、今後は、まちづくりと連携しながら再編を進めていく必要がある。観光やアミューズメントと連動した魅力的なまちづくりと並行して、新しいまちに相応しい店舗の改装、さらには、大型店を含めた新しい魅力を持つ小売業や飲食業の立地を促進する必要がある。

 

まちづくりと連携した商店街の魅力向上

空店舗問題などが顕在化している商店街にあっては、まちづくりと連携しながら再編を進めていく必要がある。また、やる気のある経営者による新規事業への参入を空店舗の活用に結びつける仕組みづくりが必要であり、商店街における活気を盛り上げる必要がある。

 

 

4サービス業

個人サービス業の育成とマーケットの拡大

東京や横浜に近接する横須賀市においては、地域に密着した個人サービス業の育成が第一の課題である。雇用吸収力を今後も高めていくためには、個人サービス業の事業拡大が不可欠であり、三浦市や逗子市をはじめとする三浦半島一円にまでマーケット範囲を拡げる必要がある。

 

新しいサービス業の導入・育成

環境保全ビジネスや、ヘルスケアビジネスなど、新しいタイプのサービス業の導入・育成を積極的に図り、女性をはじめ市内労働力の雇用吸収の受け皿とする必要がある。

 

新陳代謝の促進

サービス業は開廃業が活発に行われる業種であり、退出の際の痛みを和らげることに加え、新規創業が活発に行えるような環境を整備する必要がある。

 

5農水産業

技術革新などによる経営の近代化の促進

キャベツ、大根などの少品目多量生産方式の従来の農業経営のみならず、多様な取り組みによる高付加価値化を進める必要がある。また、輸入品目に対して種類や品質の差別化を図る必要がある。また、バイオテクノロジーなど新しい技術へ柔軟に対応するとともに、地力の問題や自然環境変化への計画的・科学的対応が必要である。

付加価値の高い農水産物加工への展開や、種苗放流等育てる漁業への対応など経営の近代化が必要である。

 

市民との交流を通じた新たな展開

観光農業や家庭農園などに見られるように、農地をレジャー資源として活用し、農民・農地と市民との交流を通じた新しい農業の価値を創造する必要がある。

 

遊漁、民宿型漁業、漁師料理等、観光漁業への展

開を図り、市民との交流を通じた新しい水産業のあり方を創造する必要がある。

 

地域内における農水産物流通システムの構築

直売形態(朝市等)を確立するとともに、農水産物の流通を高度化し、小売業や飲食業などの他産業との接点における取り組みを促進させ、水産品の流通経路を多角化する必要がある。

特に、市民のニーズに応えるためにも地元スーパーなどと連携し、農水産物の市内での物流システムを確立することが急務である。

 

新たな担い手づくり

不耕作農地をはじめとした農地の流動化を促進する必要があり、それと並行して、新たな担い手となる農業経営者や漁業経営者の新規参入を可能とする仕組みづくりが必要である。

 

6観光

既存集客資源の活性化

田浦の梅林、衣笠の桜、阿部倉のしょうぶ園、くりはま花の国などは多くの入込客を集めているが、このような集客力のある観光資源を活性化させるために、市内での交通アクセスを充実させるとともに、観光イメージを明確にした上で、観光PRを広域に展開する必要がある。

このような集客力のある観光資源を商業や飲食業などの市内産業の活性化に結びつけるためには、来客者が消費できるような仕掛けづくりが必要である。

 

(2)産業振興の基本課題

これからの産業社会は、「安定成長」の時代の産業構造や枠組み(ピラミッド構造、商流や物流)がくずれ、「転換・変革=新陳代謝」の時代にある。

その中で横須賀は、今まで「自分でなにかしなくても、外から与えられることで成長してきた都市」といった側面があり、今初めて「みずから切り拓いていかなければならない事態」を迎えているといえる。今後の横須賀市の産業社会を展望するにあたっては、まず第一に経営者の意識を変えていかなければならない。

横須賀市の産業振興の基本方向は、経営者の意識変革が行われる中で既存産業が新技術の導入や研究開発、新しいチームワーク等によって新しい次元での活性化を進めるとともに、新規産業の導入・育成を将来に向けて戦略的に進めることが必要である。

 

1既存産業の活性化

既存産業の活性化については、従来の産業政策では結果として保護・救済色が強かったが、これからは、より競争力強化を重視した観点からの政策遂行が必要である。具体的には、新技術や研究開発、新しいチームワーク等の革新への取り組みであり、こうした活動を促進する環境整備が必要である。

 

2新規産業の導入・育成

新規産業の導入・育成は、横須賀市のシーズを活かして戦略的に進めることが必要である。

YRPなどの知識創造を促進する新しい産業プロジェクトを活用した新たな産業の導入と、これらが持つ高い技術やノウハウを市内の中堅企業が活用できる仕組みづくりが必要である。さらに海・港湾等のポテンシャルを幅広い産業創造に積極的に生かしていくことが必要である。

新規産業の導入・育成は、だまっていて沸き起こるものではなく、誘導や育成の仕組みを強化することが必要である。特に、創業やスタートアップ企業を支援する体系的な取り組みが重要である。

 

5.産業振興の基本的考え方

(1)横須賀市の産業振興のシナリオ

産業振興のシナリオを描くにあたっては、「変革促進型」「現状踏襲型」「強関与・誘導型」の3つのタイプが想定できる。

社会環境が大きく変化することにより、安定成長の時代がくずれ、転換・変革の時代を迎えている現状を直視すれば、横須賀市の産業は、外から与えられることで成長してきた構造から脱皮し、経営者の意識改革による新たな事業展開や、新規産業の導入・育成を進めることで、みずから切り拓いて成長する構造へと変革することが今、最も求められている。このため「変革促進型」のシナリオで産業振興を推進することが必要である。

 

シナリオA変革促進型

…企業者の自発的活力を引き出すために、インセンティブを付与し、ビジネスチャンスを創る

シナリオB現状踏襲型

…地域産業の全体的底上げを図るために、問題対応型の対策を中心に行う

シナリオC強関与・誘導型

…計画経済的に官主導で特定産業を誘導・育成する

 

(2)横須賀市の産業振興の基本理念

-3つの基本方向-

基本方向1成長力のある層・分野を伸ばす

大企業を頂点とするピラミッド構造や永続的な商取引の中で全体が成長していく、という従来型の構図は崩れつつある。このため、個々の企業や、様々な業種ごとに、きびしい競争の中で、成長するもの、衰退するものが現れてくるが、これからは、成長力のある層・分野を戦略的に伸ばすことが必要とされる方向となる。

こうした環境の中で、横須賀市の産業が発展していくためには、牽引役となる「成長性の高い中堅企業」がきわめて重要な位置を占めることになり、今後は、中堅企業をはじめ成長力のある企業を戦略的に伸ばしていく。

製造業においては、基幹産業である自動車産業の成熟化がすすみ、将来の大きな成長性を期待できないため、これに並ぶ新たな基幹産業を育成する。

成長性の高い分野としては、産業大分類で見た場合は「サービス業」であり、性質面で見た場合は、横須賀のポテンシャルを勘案すると「情報通信」を筆頭に「医療福祉」「生活文化」等がこれからの有望産業にあげられ、これらの成長産業を新たな基幹産業として戦略的に育成する。

 

基本方向2企業家精神の発揮を促す

みずから切り拓いていかなければならない時代において、何よりも求められるのは、大きな飛躍を期して、自ら新しい事業企画を立案し、積極的に挑戦していく「企業家精神」である。そうした意欲とビジョンを持つ事業者が、横須賀市の産業の発展の担い手となる。

このため、市内外を問わず、企業家精神あふれる事業者が、横須賀を舞台に活躍する環境を用意する。また、その新しい力が横須賀市の産業全体を活性化していく、という道筋をつくっていく。

基本方向3ビジネスチャンスをつくる

ビジネスは、民間事業者が、その経営・営業・技術力等を発揮して展開していくものであるが、その元となる「ビジネスチャンス」を生み出す際には、行政をはじめ地元地域が果たすべき役割は大きい。

安定したビジネスの成長が望めない「転換・変革」の時代を迎え、いかに多くのビジネスチャンスをつくり、それをいかに地元の事業者がつかんでいくかが、横須賀市の産業発展の鍵となってくる。

このため、ビジネスチャンスを創出すべく、その実現に向けて、集客力の向上、成長企業の誘致、ノウハウや技術の交流、行政サービスの外部発注等の取り組みを積極的に推進する。

 

(3)行政施策の見直し方向

1産業振興に対する市行政資源配分の見直し

現状の行政資源配分は、必ずしも各産業分野の重要度や、産業発展のためのベストコストパフォーマンスを実現する形とはなっていない面がある。長い過去の経緯の積み重ねと、国県等の施策との連動という制約もあるが、限られた横須賀市の行政資源の中で産業の発展を図るためには、その配分の見直しを図る必要がある。

すなわち、行政資源は、産業構造に見合った資源配分に近づけつつ、戦略的に強化すべき産業に光を当てていく政策に重心を移していく。その観点では、今後は、ニューサービス業や成長段階にある中堅企業、さらには、スタートアップ段階のベンチャー企業などの戦略的な産業分野に対して重点的な配分を行う。

 

 

1産業の成長を促す効率的な産業政策の展開

右肩上がりに産業が成長していた時代において、市の施策に対するニーズは直面する課題への対応が中心であった。しかし、「転換・変革の時代」を迎え、企業間、産業間そして都市間の競争が厳しい時代となり、限られた行政資源の効率的な投資を将来に向かって行う必要が高まってきている。

そのため、今後の産業政策においては次のようにその重点を移していく。

 

現状対応型から、中長期的な未来投資型へ

全体底上げ型から、重点育成型へ

競争抑制型から、競争力強化型へ

保護救済型から、円滑な新陳代謝促進型へ

ローリスク・ローインパクト型から、ハイリスク・ハイインパクト型へ

 

こうした観点にたって現在の施策の見直しを進め、産業の成長に向けて、中長期的な展望のもと、より効率の高い産業政策を展開していく。

6.産業ビジョン

(1)めざすべき産業像

将来における横須賀市の産業構造は、「変革促進型」のシナリオに沿って変化していく。経営者の意識改革のもと、既存産業の企業家精神にあふれた事業展開が行われ、柔軟性のある産業構造へと生まれ変わり、また、新規産業を導入・育成することにより成長力のある産業構造が形成される。

また、これまでは産業が地域を形成してきたが、これからは、逆に、地域の特性や魅力が、新しい産業を生む土壌になる。その意味でも、産業振興は、まちづくりと一体となって推進することになる。

 

1産業全体の活力を最大化させるような柔軟性のある産業構造への転換

横須賀市において産業の活性化を図るために、雇用吸収力の高い産業や成長力の高い産業を導入・育成しながら、産業全体の活力を最大化させるような柔軟性のある産業構造へと転換する。

 

2活発な新陳代謝が行われる産業システムへ

市内企業の自発的な取り組みによる事業転換や、新分野への進出、新規創業が活発に行われる。一方、中小零細製造業や小規模小売店舗等の退出や失業の問題に対しては、従業者の再教育制度の充実とともに、再就職を斡旋することにより、市内における雇用の流動化が促進される。これにより、転業、創業、退出が円滑に行われ、新陳代謝が活発化する産業システムが形成される。

 

3成長産業の導入による活力の増強

マルチメディア関連産業や、医療・福祉関連産業といった成長力のある新しい産業を導入・育成することにより、市内産業が発展する新たな核が形成される。具体的には、YRPおよびその周辺地区では、NTTを核としたマルチメディア関連産業の集積を図ることになる。このように成長産業の導入と関連する産業の集積を高めることにより、活力のある産業構造へと変革していく。

 

4地域特性と市場ニーズに適した特徴的な産業集積

都市間競争が激化する中では、比較優位性を高めるためには、地域特性を活かした特徴的な産業の集積を高める必要がある。

集積の拡大が求められるサービス業については、スポーツや健康をテーマとしたサービス業や、マルチメディア関連サービス業など地域特性に適応した魅力的な集積が形成される。小売業・飲食業では、市場ニーズにマッチした事業が展開され、大規模店舗と地元商店街との共生が図られる。

 

5生産性の向上による機能の高度化

効率化やスピード化が求められるこれからの産業界は、情報化への対応が急速に進展する。中小・中堅企業では、戦略的な共同化・協業化が進むことにより経営基盤が強化される。国際分業が進む大手製造業では、研究開発機能を強化することにより、新商品や新技術、新生産システムの開発が活発化する。

 

6ネットワーク・交流の活発化

地域産業においては、地域における相互依存関係がますます重視され、企業間の多角的なネットワークと大学や自治体との重層的なネットワーク、さらには、地域企業と消費者とのネットワークが求められるようになっている。

横須賀市においても、地域のもつ資源を有効に活用するために、企業、大学、自治体、消費者が密接なネットワークを形成し、活発な交流が行われ、産業システムに拡がりと厚みが増加する。

 

7女性や高齢者が安心して働ける就業環境

労働力の観点では、これまで以上に女性と高齢者が重要な位置づけを担うようになる。そのため、女性や高齢者の雇用を可能とする企業の導入や、女性や高齢者が働きやすい環境の整備が進むことにより、より充実した就業機会と就業環境が提供されるようになる。

 

(2)産業別の将来像と発展課題

産業別にめざすべき将来像をみる際には、産業構造に応じた検討が必要であり、ここでは、「既存産業の高度化とともに成長産業の導入・育成を図りながら活性化を図る産業」と、「ビジネスチャンスの拡大に寄与しながら他産業との連関を深め地域の魅力を高める産業」に大別し、前者に該当する産業については、将来像と発展課題を提起している。具体的には、以下の4業種を対象とした。

 

1製造業

2卸売業・物流業

3小売業・飲食業

4サービス業

 

一方、後者については、農水産業や、観光、アミューズメント、文化機能等が相当するが、これらは、産業として捉えるよりも、むしろ、環境や景観、あるいは都市の個性といった観点で捉える必要のあるものである。すなわち、都市の魅力や集客力の向上に寄与し、他産業にとってのビジネスチャンスを拡大させる役割を担う産業・機能と位置づけている。

1製造業の将来像

生産機能から研究・製品開発機能へのシフトが進み、地価の面からみても、生産型工場の新規立地は難しいことを勘案すると、このまま推移すれば、市内の製造業は、雇用力や生産力の低下が進み、衰退へと向かう可能性がある。

しかしながら、製造業は横須賀市の主要産業であり、今後もその位置づけを維持し続けなければならない。量的にはスリム化が進むものの、質的な拡充を促進し、活力と創造性に満ちた新しい姿をめざす必要がある。そのため、新規・既存を問わず、成長性の高い分野、意欲と技術力のある事業者の活力を引き出し、以下のような将来像を実現させる。

 

<めざすべき将来像>

技術を活用した新規創業等の活性化

市内中堅企業においては、保有技術を活用した新たな事業展開が行われることにより、内発的な成長が活発化する。また、新規成長産業の市内への立地が進み、本市製造業における次世代に向けた新たな柱が形成される。さらに、情報通信系を中心に様々な分野でベンチャーの動きが活発になる。これらにより、新たな刺激が与えられ、製造業全体の活力が増強する。

新陳代謝の活発化

中小製造業では、経営者の高齢化や後継者不足等により退出する事業者も増加する。雇用の流動化が図られる一方で、新規創業や新事業への転換等の事業革新が進むことにより、労働力が成長力の高い産業へとシフトされる。また、リタイヤする事業者の一部には、工場および生産設備をベンチャー企業に貸与するものも現れ、活発な創業が促進される。このように、新陳代謝がダイナミックにかつ円滑に進み、産業構造の転換が急速に展開される。

研究開発機能の強化による機能高度化

-マザー工場としての位置づけ-

輸送用機械および電気機械の大手事業所については、国内の主要な拠点としての位置づけが形成されている。今後も、研究開発機能の強化による機能の高度化が行われることにより、その位置づけが維持される。また、国際分業が進むこれらの産業においては、試作、生産技術開発、研修機能が強化される。これら各種機能の高度化により、国内外の生産拠点に対して次々と新しい生産品目を供給するマザー工場としての位置づけが高まる。

成長産業が集積する魅力のある産業団地の形成

YRPでは、既存の産業集積を生かし、情報通信分野の成長産業が集積し、通信分野の世界的な研究開発拠点としての位置づけが高まる。

またY-HEARTについては、医療・福祉関連分野の成長産業が集積することにより、個性的で魅力のある産業団地が形成される。久里浜工業団地については、リニューアルへの取り組みを進めることにより、市内産業用地の有効活用が図られる。

 

<発展課題>

技術・製品開発への支援、事業転換支援

創業ベンチャーの活発な展開に向けての環境と支援制度づくり

円滑で痛みの少ない新陳代謝の仕組みと環境づくり

企業誘致活動の戦略的かつ積極的な展開

久里浜工業団地の再編成、地域課題への対応

 

2卸売業・物流業の将来像

流通構造の変化により、中小零細企業のウエイトが高い市内の卸売業や物流業の事業環境が悪化している。このままでは、市外の大手事業者にマーケットを奪われ、中小事業者をはじめ退出の増大が懸念される。

しかしながら、小売業において、市内の消費者のニーズに的確に対応したサービスが要求されるため、流通面においてもフットワークの良さが求められるようになり、小回りのきく市内の卸売業や物流業の果たすべき役割が大きくなる。そのためには、効率的かつ高度なサービスの提供が必要であり、以下のような将来像の実現に向けた事業展開が求められる。

 

<めざすべき将来像>

共同化・協業化の進展による経営基盤の強化

市内事業所の円滑な整理、統合が進み、業界全体がスリム化し効率化することにより個々の事業所の活力が高まる。また、中小事業者の共同化(共同配送など)が構築され、さらに情報化への進展が図られることにより強固な経営基盤が確立し、高度なサービス提供が展開される。

情報武装による高度なサービスの提供

活発な事業を展開する事業所においては、小売業や消費者のニーズを的確に把握するとともに、戦略的な営業を行うなど、情報武装による高度なサービスの提供が行われる。これにより、新たなマーケットが拡大することになる。

新陳代謝の活発化

他業種への転換や、事業内容の変更を図っていくものがある一方、退出した事業者についてはその施設整備を活用した創業やベンチャーへの新陳代謝が活発に進み、従業者の再雇用が円滑になる。

TSLや物流拠点整備を活用した新たな事業展開

平成町に卸売市場の統合が行われ、横須賀I.C.周辺に流通業務拠点の整備が進むことにより、市内事業者が移転集約され物流活動・流通業務が効率化・活発化する。

集約化や情報化により企業体力を養った事業者は、TSLの誘致実現により生まれた新たなビジネスチャンスをつかみ、事業規模を拡大させている。

 

<発展課題>

高度な情報サービスを提供するための支援と制度づくり

情報化、自動化への支援

共同化、共同事業への支援

退出の痛みを軽減する仕組みづくり

→退出と創業の円滑な新陳代謝

流通業務拠点の整備促進

TSL誘致の積極的な展開による横須賀港の母港化の実現と取扱貨物の拡大

 

3小売業・飲食業の将来像

個人・零細商店を中心に退出が増大していることに加え、空店舗問題の深刻化、都市間競争がますます激化することによる買い物客の市外流出が進み、商店街を中心に商業の活力低下が進みつつある。

小売業や飲食業は、直接消費者に面する産業であり、地域の顔としての役割を担うものであるため、市内における商業集積の特性(中心型、郊外型、コミュニティ型)に応じた商業振興が必要である。

中心型では、大型店をはじめ地区内の商業集積が共生することにより、集客力が高まり、また、各種都市機能との連携が進むことにより、魅力的なまちづくりに寄与することになる。郊外型では、消費者のニーズを捉えた新業態の商業集積が増大することになる。コミュニティ型では、このままでは、商店数は減少することは避けられないものの、経営意欲の高い商店を中心に組織化や法人化により商店経営が効率化し、市民にとっての生活利便性を提供する役割を担い続けることになる。

 

<めざすべき将来像>

自由競争による個性的な店舗の増大

消費者をより重視した市場原理が浸透することにより商業者の意識革命が進む。このため、商店街では大規模店の集客力を生かした取り組みが行われるようになり、共同イベントの開催などの交流も行われる。さらには、大規模店との棲み分け、さらには、個性を前面に押し出した競争が積極的に展開され、個性あふれる独自の取り組みが活発化する。

個人やグループに対する支援を行うことで、やる気のある経営者による新しいライフスタイルを提案するようなユニークな活動が増加し、地域の商業活動の活性化が図られる。また、チャレンジ精神が旺盛な若手経営者の自由な発想と挑戦が活かされることにより、後継者不足も軽減される。

また、不動産の流動化を活発化させる仕組みが構築され、空店舗等の土地建物が、企業家精神にあふれる商業者に賃貸(あるいは売却)されるようになり、空店舗問題が緩和される。

コミュニティ型商業集積の再編

商店街においては、地元の生活者との対話を活発化する仕組みを構築することにより、高齢者に対するきめ細かなサービスなど、市民のライフスタイル

によりマッチした独自のサービスを提供するようになり、小売業全体における存在感が高まる。

中心商業集積の魅力向上

中心商業集積地域およびロードサイド地区の新たな商業集積地域においては、まちづくり的な視点でのアプローチによる商業振興が行われる。特に、大型店の新規出店を契機に、小売・飲食業のみならず、文化、娯楽機能やレジャー空間を活用した複合的な機能空間が、生活者ニーズに対応した新しい盛り場として展開される。これにより、市内の顔となる中心商業集積の魅力が向上し、購買力の市外流出が減少するとともに、市外からの来訪者が増加する。

 

<発展課題>

中心商業集積地域における商店街と大規模店舗の共生と、新たな商業集積地域の形成

商業者間の自由な競争を促進するための仕組みづくり

中心商業集積地区において、文化・娯楽機能の集積を促進するための仕組みづくり

商店街の統廃合およびリニューアル化を促進するための仕組みづくり

商店・商店街の機能を高めるための情報化の促進

やる気のある商店、商業者グループへの支援制度づくり

商業集積の個性化を図るための支援制度づくり

創業、転業、退出など新陳代謝を円滑化するための仕組みづくり

空店舗の有効活用を促進する支援制度づくり

 

4サービス業の将来像

サービス業は、雇用吸収力が拡大する数少ない分野として期待されるが、成長力の高いサービス業の集積が少なく、事業活性化に向けた自発的な取り組みも少ない。このまま現状で推移すれば、雇用吸収力が低下し、高齢者や女性の就労の場の拡大が進まなくなる。さらに、都市生活の利便性向上に大きな進展がないために、都市の魅力が低下するなどの問題を生じることになる。

サービス業は、将来における産業構造の中でも極めて重要な位置づけにあるために、以下のような将来像をめざし、他分野からの労働力を吸収しつつ、産業全体として質・量ともに大きく拡大させる必要がある。

 

<めざすべき将来像>

サービス業の構造転換

現在のサービス業の構造が柔軟に転換され、サービス業全体の基盤強化が図られる。

具体的には、理髪業やクリーニング業などの伝統的な生活サービス業に加えて、ニューサービス・先端的サービス業の集積が増大することにより、成長力の高い構造へとシフトする。また、公共サービス主導型の構造にあっては外部への委託等が積極的に行われることにより、民営サービスの比重が高まる。

新規創業の活発化

新規創業を促進するような土壌づくりや仕組みが整備され、創業やスタートアップの意欲に燃える事業者の活躍の場として、横須賀市が位置づけられるようになる。これにより、既存事業者の転換・経営刷新や新業態・新サービス開発とともに、活発な創業や企業の新規立地による新しい活力の導入が進み、サービス業の規模拡大や構造変化が活発化する。

また、女性や高齢者の就労に適した業種が多様に誕生・成長し、多くの雇用が吸収される。特に、主婦などを中心に、コミュニティベースでの新しいサービス業の創業が活発化し、家事代行サービスや高齢者介護サービス、生涯学習サービスなど地域の生活者のニーズに対応したきめ細かなサービスが提供される。

地域特性に適合した魅力あるサービス業の集積

情報通信関連分野、海関連分野、高齢者や女性関連分野等、横須賀の地域ポテンシャルやマーケットニーズに沿った分野において成長力のあるサービス業を導入・育成することにより、横須賀らしい個性的な産業集積が実現する。具体的には、以下のようなサービス業があげられるが、これらは、技術・ノウハウやマーケットの面において横須賀市にとってポテンシャルの高いサービス業であるため、市内はもちろん広域にマーケットエリアが拡がることになる。

マルチメディア関連サービス業

海や山などの自然環境を活用したスポーツや健康をテーマとしたサービス業

高齢者福祉関連サービス業

高齢者や女性の社会進出を支援するサービス業など

 

<発展課題>

既存事業者の生産性向上や新業態・新サービス開発の支援

他業種も含めて、事業転換によるサービス業参入への支援

創業ベンチャーの活発な展開に向けての環境づくりと支援

創業ベンチャーのネットワークづくりへの支援

企業誘致活動の戦略的かつ積極的な展開

新サービス業の社会的認知の促進

マーケット開拓やPR営業支援

行政事務サービスの外部化の促進

円滑で痛みの少ない新陳代謝の仕組みと環境づくり


施策体系

(1)施策立案に向けた考え方

●基本方向の実現化を支援する仕組みを整備する

本ビジョンでは、「変革促進型」のシナリオで産業振興を図ることとし、「成長力のある層・分野を伸ばす」「企業家精神の発揮を促す」「ビジネスチャンスをつくる」の3つを産業振興の基本方向としている。振興施策を検討する際には、これらの基本方向に対応した体系づくりが必要である。すなわち、変革促進型のシナリオのもとで、将来像の実現が円滑に進むような制度や仕組みを振興施策として整備する必要がある。

 

●既存の支援制度やプロジェクトを最大限に活用する

横須賀リサーチパークや湘南国際村など、すでに計画が実行段階に進んでいるものや、Y-HEARTなどのように構想段階にある産業関連のプロジェクトは、横須賀市産業が発展する核となりうるものであり、まずは、これらプロジェクトの円滑な推進を支援し、早期実現をめざす必要がある。このため、これらプロジェクトの実現を促進するような振興施策が必要である。

また、支援制度についても、すべてを新しいものに置き換えるのではなく、既存制度の長所・短所を見直し、市内産業のニーズに対応するかたちに変革していくことが有効である。

 

●国や県の制度を活用し、地域ニーズに対応した施策を重点的に展開する

産業の活性化に向けて、国や県さらには大学などの産業支援機関では様々なかたちで産業支援制度を展開している。このため、横須賀市では、これらの既存制度を活用し、資源の有効活用を図ることが重要である。その際には地域ニーズに対応した支援制度を重点的に実施し、市内企業が享受できるメリットを最大化させることが課題となり、振興施策を展開する際には、以下の点に特に注力する必要がある。

 

国や県の制度を活用した方が大きなメリットが期待できるものは、これらを活用することとし、市としては、市内企業に対してこれらの制度に関する情報の提供を行うなど、側面からの支援を充実させる。また、国や県の制度等では、市内企業が十分にそのメリットを享受できない事業については、それを補完する意味で、市独自できめ細かな制度を新たに設ける。その際、状況に応じた柔軟な制度とするため、3~5年を目途にしたサンセット事業とする。

市民生活者(消費者、企業を含む)と市内企業との連携を深めることにより、市内企業のマーケティング活動を支援し、今後、横須賀市において成長が期待される生活者を対象としたサービス業等が横須賀市に立地しやすい環境を整備する。

 

 

(2)施策体系を構成する7つの柱

1先行する戦略プロジェクトの成功に向けた取り組みの強化

横須賀リサーチパークや湘南国際村などの先行する産業関連プロジェクトの実現化と成功に向けて、立地優遇策の実施やPR営業の戦略的な展開などの取り組みを強化し、企業の誘致や移転を促進するとともに、これらプロジェクトのプレゼンスを高める。

 

2企業家精神の発揮を支援する

主に、スタートアップ企業や事業革新を図る中堅中小企業を対象とした施策であり、資本力に乏しいこれらの企業に対しては、市内の金融機関等と連携しながら融資や助成措置などの制度の充実を図る。また、市内外の専門家とのネットワークを構築し、研修およびコンサルティングサービスの充実を図る。さらに、コーディネート機能を強化することにより、企業間交流を促進し、市内企業同士の取引を増大させる。

3新陳代謝の円滑化を支援する

社会環境の変化や後継者難により、今後も休・廃業を余儀なくされる事業者が増大すると予想されるが、これら事業者に対しては、早い段階からの相談・診断を実施するとともに、従業者に対する職業訓練制度の充実や、求人求職情報の提供を行うことにより、退出の際の痛みの軽減を図る。さらに、退出事業所の有効活用や従業者の流動化を促進することにより、新陳代謝の円滑化を支援する。

 

4産業のPR営業を支援する

地域に密着した活動を行う事業者を支援するために、産業と消費者を結ぶネットワークづくりや新たなメディアを活用したPR営業の仕組みを構築する。また、産業イベントの開催や地域内流通システムを整備するなど、PR営業を支援することにより市内におけるマーケットの確保を促進する。

 

 

5集客を促進する

商業や農水産業、さらには観光資源などの集客機能を充実させ、市外からの集客力を高める。また、これら集客機能と産業との連携を促進することにより、市内産業のマーケットの拡大を支援する。

 

6行政からの発注等を拡大する

従来からの公共事業発注に加え、新たなサービス業等への行政サービスの外部委託やタイアップの強化を推進することにより、これら事業所に対するビジネスチャンスを拡大させる。

 

7地域課題に対応する

産業活性化を促進するような取り組みに加え、既存地域における重要課題への対応も必要であり、例えば、久里浜工業団地のリニューアルや新港の活用などの課題に対して、検討を進めていく必要がある。

 

(3)施策体系

 

8.実現に向けた推進体制

(1)産業ビジョン推進に向けての考え方

横須賀市のめざすべき産業像を具体化するにあたっては、産業振興施策を戦略的に展開し、まずは市が主体となって積極的に取り組む姿勢を示していく。さらに、より大きな効果を実現するためには、国、県をはじめ、産業振興財団、商工会議所等の産業支援機関や、民間企業(金融機関、基幹事業所など)が互いに密接に協力しあい、それぞれの資源や能力を活かした役割分担のもとで事業を推進する。

また、具体的な事業を推進するためには、確固たる組織体制が不可欠である。官民パートナーシップのもとで積極的に民間活力を導入し、相互の役割を明確にしつつ、幅広い分野の知識や経験を融合することにより、事業の効率的な運営を図る。

また、行政内部においては縦割り組織を超えた横断的な対応が可能となるような体制づくりを進める。

 

 

(2)実現に向けた推進体制

1.市・産業振興財団、商工会議所による連携強化

企業家支援、情報化支援あるいはPR営業支援など、市が地域に密着してきめ細かな支援を行う事業については、市と産業界の中間に位置する産業振興財団の機能を強化しつつ、その機動力を活用できる体制づくりを進める。また、産業振興財団および地元に精通した商工会議所と連携し、相互に情報をやりとりし、各々の特性を活かした協力体制を築く。

 

2.企業誘致担当セクションの設置

厳しい経済情勢が続く中で、他の産業プロジェクトに先んじて優良な企業を誘致するには、企業誘致を専門に行うセクションの設置が必要である。これについては、機動力があり民間企業とのコンタクトが取りやすいことが重要な要件であるため、例えば、産業振興財団の中に企業誘致担当セクションを設置することなども含めて、幅広い観点から検討する。

 

 

3.プロジェクトチームの結成

観光の活性化や新港の活用、さらには、行政発注の拡大などのテーマについては、関係部局が横断的に連携した組織(プロジェクトチーム)を結成し、総合的な企画の立案や、関係部局間の調整を行う。

 

4.経済部の組織体制の見直し

産業政策全般を担当する経済部においても組織体制を見直す。具体的には、従来の業種別課題へ対応する観点から、産業全体の横断的な課題に対応する観点で、組織のあり方の見直しを検討する。

 

5.横須賀産業ビジョン推進委員会(仮称)の設置

横須賀市をはじめ、県、産業支援機関、地元産業界などから構成する組織であり、定期的に推進委員会を開催する。その時々の経済情勢を鑑みながら、後述する産業ビジョンの見直しが適切に行われるよう、当ビジョンの進行状況の把握や横須賀市の産業

振興戦略の軌道修正、さらには、施策立案や推進組

織体制のあり方の提言を行う。

 

 

(3)産業ビジョンの見直しの必要性

本ビジョンは、2010年を見据えて策定するものであるが、近年において経済情勢が目まぐるしく移り変わっていることを勘案すると、ここで打ち出している振興戦略についても軌道修正が必要になる可能性も否定できない。

このため、環境変化による市内産業の状況を詳細に把握するため、関連部局が連携しながらローリング調査を実施する必要がある。この結果に加え、サンセット事業における施策効果を反映させるため、5年程度を目途に産業ビジョンの内容を見直していく必要がある。

 

<参考:重点施策の提案>

(1)重点施策の考え方

施策の実施にあたっては、短期的な視点だけでなく中長期的な視野で計画的に取り組むことが重要であり、めざすべき将来像の実現を促進するような施策を重点的に展開し、早い段階で横須賀市産業を成長軌道に乗せる必要がある。すなわち、将来像の実現に向けて、横須賀市の各産業が抱えることになると予想される発展課題に対する市内企業の革新的な取り組みを促進・支援するとともに、発展課題を円滑にクリアできるようなビジネスチャンスを提供することが必要である。

 

市内産業の現状を踏まえた上でニーズの高い施策

を重点施策として抽出する

企業立地促進

企業家支援

情報化支援

新陳代謝支援

PR営業支援

 

国や県の制度を活用するとともに市政策の差別化

を図る

市の産業振興策という性格を踏まえ、費用効果の

高い施策を重点的に展開する

特に重視すべき分野においては上乗せ支援を行い、

政策的に誘導する

各施策間の有機的な連関性を高め、相乗効果を生

む構造をつくる

産業振興財団の機能を活用した総合的・機動的な

推進体制を整備する

状況に応じた柔軟な制度とするため、サンセット事業を原則とする。

 

(2)重点施策の提案

1.企業立地促進

横須賀市では、YRPをはじめ、数多くの産業プロジェクトが進行しており、大量の産業用地が誕生する計画がある。これらの産業用地に市内産業の牽引役となる成長産業を導入し、地域の産業との連携のもとで産業全体を活性化させるためには、まずは企業の立地を促進させることが最優先の課題となる。

これらの産業用地への企業立地を図るにあたっては、厳しい経済情勢のもと、国や県の企業誘致活動と協調しながら積極的な誘致活動を展開する必要がある。さらに、優良企業の立地を促進するためには、立地企業に対する優遇策を設け、競合する他都市の産業用地に対する競争力をつける必要がある。

このため、企業立地促進のための具体的な施策としては、次の4つがあげられる。

 

特別融資制度

地域貢献施設整備に対する補助

特別減税制度

企業誘致体制の強化

 

2.企業家支援

市内産業の活性化を図るためには、市内事業者の企業家精神の発揮を促し、新規事業への取り組みや事業転換および新規創業を活発化させることが必要である。

企業家支援は、本ビジョンの中でもとりわけ重要な施策の1つに位置づけられるが、これに関する国や県の動きや、地域性の重視といった観点から、以下のような考え方のもとで施策を実施することとし、施策による効果の効率化と最大化を図る必要がある。

 

事業の熟度の高い事業者に対しては、国や県などが実施・計画している支援プログラムを紹介し、より高度な支援体制のもとで、迅速かつ確実な事業展開を促進する。

これから取り組みを図ろうとする市内の事業者に対しては、企業家精神の啓発、新たな取り組みに対するコンサルティングや資金融資など、きめ細かな支援を実施することにより事業の熟度を高める。

 

このため、企業家支援のための具体的な重点施策としては、以下の6つがあげられる。

 

企業家への融資制度

企業家に対するコンサルティング

企業家交流の促進

新技術・新製品等開発に対する助成

見本市等参加への支援

国や県などの関連プログラムの紹介

 

 企業家支援に関しては、今後、国や県による規制緩和や制度に見直しが行われ、また、民間サイドでも様々な支援事業が展開されることが予想される。このため、これらに柔軟に対応するため、上記の事業については、当面は5年程度のサンセット事業とし、状況の変化に応じて適宜内容を見直す必要がある。

 

 3.情報化支援

今後の産業社会では、経営の効率化やPR営業などビジネス全般において情報化武装が不可欠である。これに対し、市内企業における情報化への取り組みは進んでおらず、本ビジョンの産業振興施策を展開する上でも、市内の中小企業を対象とした情報化に対する支援はとりわけ重要なテーマの1つである。市が策定した情報フロンティア計画と連動し、情報通信技術を活用した高度で効率的なビジネスを展開できるよう、情報化の基盤固めを支援する必要がある。具体的には、以下の3点を重点施策として提案する。

 

情報化に向けたコンサルティング助成

情報化資金融資

情報リテラシー教育・研修等の支援

これらについては、情報化の急速な進展を考慮すると、3年間程度の期間に支援制度を集中して実施し、加速度的な効果を創出することが望ましい。

また、このような情報化支援は、市内の情報サービス業をはじめとした情報関連産業に対して多くのビジネスチャンスを提供することにもなると期待される。

 

4.新陳代謝支援

横須賀市産業の今後の発展を考える上では、新陳代謝を促進することが重要である。先述したように、活発な新規創業を促進する一方で、後継者不足や従業者の高齢化等の理由により退出を余儀なくされる事業者への対応も必要である。

市内企業を対象とした事業所アンケートでは、10~15%の企業が、今後10年くらいの間に休・廃業を検討しており、こうした事業者の不安を軽減するためにも、人材や不動産などの現有資源を再活用する仕組みづくりを行い、できる限り痛みの少ない退出を支援する必要がある。

このため、新陳代謝支援としては、以下の3点を重点施策として提案する。

 

空店舗・空事業所対策

退出を考える事業者へのコンサルティング補助

市内従業者への再教育・研修制度

 

これらの施策は、いずれも5年間程度のサンセット事業とすることが望ましい。

 

5.PR営業支援

PR営業支援は、地域に密着した施策を行う際に、最も重要な施策の1つであり、地元産業と地元市場を結び、地元産業と地元資源を結ぶ橋渡し的な役割を担うものである。また、市内事業者に対して、支援メニューなど各種情報を発信する情報発信機能を担うものでもある。

このため、PR営業支援としては、以下の4点を重点施策として提案する。

 

消費者(市場)と産業を結ぶ月刊紙の発行

消費者(市場)と産業を結ぶテレホン窓口サービスの設置

新情報メディアによるPR

消費者(市場)と産業を結ぶ「産業まつり」の開催

 

これらの施策のうち、月刊紙の発行とテレホン窓口については、5年間のサンセット事業とし、状況に応じて新情報メディアによるPRに移行するしていくことが望ましい。



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お問い合わせ

経済部経済企画課

横須賀市小川町11番地 分館5階 <郵便物:「〒238-8550 経済企画課」で届きます>

電話番号:046-822-8122

ファクス:046-823-0164

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