○市街地における適正な土地の高度利用に関する条例
平成18年12月13日
条例第72号
市街地における適正な土地の高度利用に関する条例をここに公布する。
市街地における適正な土地の高度利用に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、土地の高度利用の理念及び基本方針、本市の地域特性を踏まえた土地の高度利用に関する基準等を定めることにより、優良な建築物等の整備を図るとともに、都市機能の更新及び秩序ある土地の高度利用を誘導し、もって魅力と活力のある良好な市街地環境の形成及び保全に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の定義は、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。
(1) 土地の高度利用 都市計画又は建築基準法に基づき、道路、公園、広場等の適正な整備と併せて建築物の容積率又は高さの制限を緩和することにより、土地をより高度に利用することをいう。
(2) 道路 建築基準法第42条に規定する道路(都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第12項に規定する開発行為その他これに類する行為により整備される道路で、当該行為の完了時に建築基準法第42条に規定する道路となるものを含む。)をいう。
(3) 地域地区等 都市計画法第8条第1項第1号に規定する用途地域、同項第3号に規定する高度地区又は同法第7条の2第1項第1号の規定により神奈川県が都市計画を決定した都市再開発の方針に定める、本市内に存する1号市街地、再開発促進地区、要整備地区(以下「都市再開発の方針に定める地区等」という。)をいう。
(4) 総合設計等 建築基準法第59条の2第1項、第86条第3項及び第4項並びに第86条の2第2項及び第3項の規定による建築物の容積率又は高さの制限を緩和する制度をいう。
(基本理念)
第3条 市街地における土地の高度利用は、それぞれの地域又は地区の特性に応じた施設等の計画的整備のもとに、街区又は街路としての空間の質の向上を図り、併せて都市景観に優れ、かつ、安全、快適、活力のある良好な市街地環境の形成を図ることを理念とする。
(土地の高度利用の基本方針)
第4条 土地の高度利用は、次に掲げる計画と整合が図られたものでなければならないものとする。
(1) 都市計画法第6条の2第1項に規定する都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに同法第7条の2第1項に規定する都市再開発方針等
(2) 都市計画法第18条の2第1項の規定により定められた都市計画に関する基本的な方針
(3) 横須賀市土地利用基本条例(平成17年横須賀市条例第47号)第7条第1項に規定する土地利用の調整に関する指針
(4) その他本市の土地利用に関して策定された基本的な計画
2 都市再開発の方針に定める地区等における土地の高度利用は、都市計画、総合設計等の制度を活用して秩序ある高密度なまちづくりを進めるものとする。
3 前項に規定する区域以外の土地の高度利用にあっては、都市計画、総合設計等の制度を適正に活用することにより、地域住民の生活環境の確保及び良好な市街地環境の形成を図るものとする。
4 土地の高度利用を行う者は、当該行為の区域周辺の市街地環境、生活環境、都市景観、土地利用、山容等に配慮したうえで、健全かつ良好な都市環境の形成に努めなければならない。
5 市は、土地の高度利用を行う者に対し、適正な土地の高度利用の誘導に努めなければならない。
(平22条例22・一部改正)
(1) 都市計画法第8条第1項第3号に規定する高度利用地区
(2) 都市計画法第8条第1項第4号に規定する特定街区
(3) 都市計画法第12条の4第1項に規定する地区計画等
(4) 総合設計等
(制限区域に関する基準)
第6条 次に掲げる区域内では、土地の高度利用を行ってはならない。
(1) 都市計画法第7条第1項に規定する市街化調整区域
(2) 首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)第3条第1項に規定する首都圏近郊緑地保全区域
(3) 適正な土地利用の調整に関する条例(平成17年横須賀市条例第50号)第3章の規定により地区土地利用協定が定められている区域で、当該地区土地利用協定において、土地の高度利用を行わない旨が定められている区域
(4) 都市計画その他の計画で土地の高度利用が制限されている区域その他規則で定める区域
(地域地区等及びその周辺への配慮に関する基準)
第7条 準工業地域において土地の高度利用を行おうとする場合は、商業施設の用途に供する部分の床面積の合計を一の敷地ごとに1万平方メートル以内としなければならない。
2 工業地域においては、住宅又は商業施設に特化した土地の高度利用を行ってはならない。
4 商業地域において土地の高度利用を行う者は、商業、業務等の活性化を図るため、建築物の1階及び2階に店舗、飲食店、事務所その他規則で定める建築物の用途のいずれかを配置するよう努めるものとする。
5 第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域及び第2種住居地域(以下「住居系用途地域」という。)において土地の高度利用を行う者は、公園、緑地、広場等の適正な整備により良好な居住環境の形成に努めるものとする。
6 土地の高度利用を行う者は、当該土地の周辺区域に著しい交通障害を及ぼさないよう建築物等の配置又は整備に留意するとともに、建築物の用途、規模等に応じた自動車の駐車のための施設等の適正な整備に努めるものとする。
(平22条例22・一部改正)
(1) 高度利用地区、特定街区又は地区計画等を活用して行うもの 1万平方メートル。ただし、再開発促進地区又は要整備地区の区域内その他規則で定める区域内で行うものについては、2,000平方メートル
(2) 再開発促進地区又は要整備地区の区域内で総合設計等により行うもの
ア 第1種低層住居専用地域及び第2種低層住居専用地域 3,000平方メートル
イ 近隣商業地域及び商業地域 500平方メートル
(3) 再開発促進地区及び要整備地区の区域外で総合設計等により行うもの 2万平方メートル。ただし、鉄道駅等の敷地からおおむね500メートル以内の商業地域及び近隣商業地域の区域のうち市長が指定する区域内で行うものについては、500平方メートル
(平22条例22・一部改正)
(1) 近隣商業地域及び商業地域 12メートル
(2) 前号以外の用途地域 8メートル
(1) 商業地域 12メートル
(2) 前号以外の用途地域 8メートル
(1) 近隣商業地域及び商業地域 8メートル。ただし、土地の高度利用が周辺区域に及ぼす影響が少ないものについては、6メートル
(2) 前号以外の用途地域 6メートル
(1) 近隣商業地域、商業地域、工業地域及び工業専用地域 8メートル
(2) 前号以外の用途地域 6メートル
(公共施設、緑地の整備等に関する基準)
第10条 土地の高度利用を行う者は、都市機能の更新が図られた良好な市街地環境の形成に寄与するよう、必要に応じて高度利用地区、特定街区又は地区計画等の計画区域内(以下単に「計画区域内」という。)に道路、公園等の公共施設を適正に配置するとともに、敷地内に広場等の有効空地(日常一般に開放されている空地及び空地の部分のうち、市長が別に定める基準に適合しているものをいう。以下同じ。)を設けなければならない。
2 総合設計等を活用して土地の高度利用を行う者は、総合設計等の敷地内に広場等の空地を設けなければならない。この場合において、当該敷地内に設けた広場等の空地の見やすい場所に、規則で定める標識を設置しなければならない。
3 土地の高度利用を行う者は、計画区域内に緑地が存しているときは当該緑地の30パーセント以上を保全しなければならない。この場合において、都市計画法第29条第1項の許可を必要とするときは、同法第39条の規定により市の管理に属することとなる公園又は緑地及び行為者と市の協議により市に寄付されることとなる緑地を含むことができる。
4 住居系用途地域において住宅に特化した土地の高度利用を行う者は、敷地内に敷地面積の10パーセント以上の緑地を確保しなければならない。この場合において、緑地率の確保に当たっては、前項の規定により保全する緑地を加えて算定することができる。
(令2条例24・一部改正)
(事業計画の風環境影響予測評価手続等)
第11条 土地の高度利用を行おうとする者は、土地の高度利用の計画が周辺区域の交通、風環境、都市景観等に及ぼす影響についてあらかじめ調査し、調査の結果に応じて必要な措置を講じなければならない。ただし、風環境の調査については、当該計画の建築物の高さが60メートルを超えるものに限り行うものとし、100メートル以上のものについては、当該建築物が周辺区域に及ぼす風の影響について風洞実験による環境影響予測評価を実施しなければならない。
2 前項の環境影響予測評価を実施した者は、その結果に応じて必要な措置を講じなければならない。
(空地等の管理に関する基準)
第12条 土地の高度利用のために建築物、空地、有効空地、緑地等の整備をした者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 整備した空地、有効空地、緑地等を適正に維持し、及び管理すること。
(2) 空地、有効空地及び空地又は有効空地の確保のために措置された建築物の外壁後退部分には、空地又は有効空地の効用を妨げる工作物、屋外広告物等を設けないこと。
2 土地の高度利用に係る建築物及び当該建築物に係る土地の権原を譲り受けた者も、前項と同様とする。
(令2条例24・一部改正)
(1) 空地、有効空地、緑地等の整備計画
(2) 文化施設、コミュニティ施設、住宅施設、商業施設、業務施設等の整備計画
(3) 地域冷暖房施設、中水道施設等の環境負荷の低減に資する施設の整備計画
(4) その他市街地環境の向上に特に資する計画として市長が認めるもの
地域地区等の種別 | 割増しできる容積率の最高限度 | ||
高度利用地区、特定街区及び地区計画等を活用するもの | 用途地域に定められている容積率が300パーセント未満の地域 | パーセント 200 | |
用途地域に定められている容積率が300パーセント以上の地域 | 300 | ||
総合設計等を活用するもの | 1 再開発促進地区及び要整備地区(規則で定める区域を除く。) | (1) 商業地域 | 250 |
(2) 近隣商業地域(用途地域に定められている容積率が300パーセントの地域) | 150 | ||
(3) (1)及び(2)以外の用途地域 | 100 | ||
2 1の区域以外の区域(規則で定める区域に限る。) | (1) 用途地域に定められている容積率が400パーセント以上の地域 | 200 | |
(2) 用途地域に定められている容積率が300パーセント以上400パーセント未満の地域 | 150 | ||
(3) 用途地域に定められている容積率が200パーセント以上300パーセント未満の地域 | 100 | ||
(4) 用途地域に定められている容積率が100パーセント以上200パーセント未満の地域 | 50 |
2 前項の規定にかかわらず、第1種低層住居専用地域及び第2種低層住居専用地域においては、建築物の容積率は、当該地域に関する都市計画において定められた限度以下でなければならない。
(平22条例22・令2条例24・一部改正)
地域地区等の種別 | 建築物の高さの最高限度 | |
高度利用地区、特定街区、地区計画等を活用するもの | 総合設計等を活用するもの | |
再開発促進地区及び要整備地区(規則で定める区域を除く。) | 100メートル。ただし、計画地周辺の市街地環境に及ぼす影響が少なく、かつ、当該地区内の土地の高度利用を促進する必要があると市長が特に認めたものについては、これを超えることができるものとする。 | 60メートル。ただし、計画地周辺の市街地環境に及ぼす影響が少なく、かつ、当該地区内の土地の高度利用を促進する必要があると市長が特に認めたものについては、これを超えることができるものとする。 |
第1種低層住居専用地域及び第2種低層住居専用地域 | 15メートル | |
第1種高度地区(1号市街地の区域外に限る。) | 22.5メートル。ただし、規則で定める要件を備えた計画については、30メートル | |
第1種高度地区(1号市街地の区域内に限る。) | 45メートル(計画地周辺の市街地環境に調和した建築物の整備が必要であると市長が特に認めたものについては、30メートル) | 22.5メートル。ただし、規則で定める要件を備えた計画については、30メートル |
第2種高度地区 | 30メートル。ただし、規則で定める要件を備えた計画については、40メートル | |
第3種高度地区(近隣商業地域に限る。) | 60メートル(計画地周辺の市街地環境に調和した建築物の整備が必要であると市長が特に認めたものについては、45メートル) | |
第3種高度地区(商業地域に限る。) | 60メートル。ただし、計画地周辺の市街地環境に及ぼす影響が少なく、かつ、商業・業務の増進に寄与すると市長が特に認めたものについては、これを超えることができるものとする。 |
(平22条例22・一部改正)
(事前相談等)
第17条 土地の高度利用を行う者は、当該事業内容等について市に事前相談をすることができる。この場合において、当該相談者は、市に必要な資料、情報等を求めることができる。
2 市は、前項の事前相談があったときは、当該相談者に対して、関連する情報を提供し、又は必要な手続き等について助言をするものとする。
(都市計画の活用による手続き)
第18条 土地所有者等(土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者をいう。)は、都市計画を活用して土地の高度利用を行おうとするときは、都市計画法第21条の2第1項に規定する都市計画の決定等の提案を市に行うものとする。ただし、土地の高度利用を行おうとする土地所有者等と市の協議により、市が都市計画の決定等を行うことが適当と判断したものについては、この手続きを要しない。
(神奈川県が定める都市計画への対応)
第19条 市は、都市計画法第15条の2第1項の規定により土地の高度利用に関する都市計画の案の内容となるべき事項を神奈川県に申し出るときは、当該計画案はこの条例の内容に準じて作成するものとする。
2 市は、神奈川県が定める土地の高度利用に関する都市計画案について、都市計画法第18条第1項の規定により神奈川県から意見を求められたときは、この条例の内容に準じ、必要に応じて意見を提出するものとする。
(規則への委任)
第20条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際、次のいずれかの段階に至っている土地の高度利用については、本条例を適用しないこととする。
(1) 都市計画決定等に係る手続きに関する条例(平成17年横須賀市条例第48号)第7条の手続きが終了したもの
(2) 適正な土地利用の調整に関する条例又は特定建築等行為に係る手続き及び紛争の調整に関する条例(平成14年横須賀市条例第41号)に基づく承認がなされ、又は承認の申請が行われているもの
附則(平成22年3月31日条例第22号)
1 この条例は、平成22年7月1日から施行する。ただし、第4条第1項第3号の改正規定は、平成22年4月1日から施行する。
2 この条例の施行の際、現に適正な土地利用の調整に関する条例(平成17年横須賀市条例第50号)第44条第1項又は特定建築等行為に係る手続き及び紛争の調整に関する条例(平成14年横須賀市条例第41号)第43条第1項に基づく承認がなされ、又は承認の申請が行われているものについては、なお従前の例による。
附則(令和2年3月24日条例第24号)
この条例は、令和2年7月1日から施行する。