○文化振興条例

平成19年3月29日

条例第2号

文化振興条例をここに公布する。

文化振興条例

文化振興条例(昭和60年横須賀市条例第26号)の全部を改正する。

わたしたちの横須賀は、三方に豊かな海が広がり、緑豊かで景勝に優れ、この中で先人たちは、旧石器時代の昔からこんにちまで平和で安全な、より良い暮らしを求めて努力してきました。

また、鎌倉幕府の創設に貢献した三浦一族の活躍、近代文明の幕開けとなったペリーの浦賀来航、さらに近代工業発展の礎となった横須賀製鉄所の開設に始まるわが国有数の海軍のまちとしての発展など、横須賀は、いく多の場面で時代の先駆けの舞台となるとともに、人々はこんにちまで日々の生活でのさまざまな困難を乗り越えてきました。

こうした歴史と伝統は、豊かな文化を築く風土としての役割を果たし、地域に活力を生み、新たな文化を創造し、継承していく精神のよりどころとなっています。

文化は、生活に心の豊かさや潤いをもたらすとともに、市民相互の理解と信頼を深め、活力ある地域社会の実現にかけがえのないものです。

文化が創造され、享受できる環境が整えられるとともに、市民一人ひとりが文化の担い手として、主体的にその役割を果たすことが求められています。

横須賀に住む人、横須賀で活動する人と団体や事業者、横須賀を訪れる人、こうしたすべての市民の手によって、これまで培われてきた文化的土壌に、新たに文化の種がまかれ、育てられ、その果実が次世代に受け継がれていかなければなりません。

市民と市が協働して、新たな文化を創造し、さらに未来へ引き継ぐための道しるべとして、ここにこの条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、市民(本市に在住し、在勤し、在学し、又は来訪する者及び事務所又は事業所を有するものをいう。以下同じ。)と市が協働して推進する文化の継承、発展及び創造(以下「文化の振興」という。)に関する基本的事項を定め、その総合的かつ効果的な推進を図り、もって心豊かで潤いと活力のある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 文化の振興に当たっては、市民の自主性及び創造性が尊重されるものとする。

2 文化の振興に当たっては、市民が文化を鑑賞し、これに参加し、又はこれを表現する機会等の充実が図られるものとする。

3 文化の振興に当たっては、文化を担う人材の育成が図られるものとする。

4 文化の振興に当たっては、多様な文化の保護が図られるものとする。

5 文化の振興に当たっては、歴史や地域性を生かし、その推進が図られるものとする。

6 文化の振興に当たっては、市の内外に広く文化を発信し、文化を通じての交流が図られるものとする。

7 文化の振興に当たっては、市民の意見が反映されるよう十分配慮されるものとする。

(市民の役割)

第3条 市民は、自らが文化の担い手であるとの認識のもと、主体的にその活力と創意を生かして、広く文化の振興に努めるものとする。

(市の役割と責務)

第4条 市は、自らも文化の担い手として、文化の振興のため、文化的視点に立って施策の推進に努めるものとする。

2 市は、文化の振興を図るための施策(以下「文化振興施策」という。)の体系を明らかにするとともに、行政組織間の連携を図り、文化振興施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。

3 市は、市民が文化の振興に取り組むことができるよう配慮するとともに、市民との協働により文化振興施策を推進するよう努めるものとする。

(芸術等の振興)

第5条 市は、芸術、伝統芸能、生活文化等の各分野の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(地域文化の振興)

第6条 市は、歴史、文化的遺産及び伝統的文化が将来にわたり継承され、活用されるように、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民の文化活動の充実)

第7条 市は、青少年、高齢者、障害者等、広く市民が行う文化の振興に関わる活動(以下「文化活動」という。)の充実を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、生涯学習が文化の振興を支える重要な活動ととらえ、市民に学習の機会を提供するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

3 市は、学校教育における文化活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

4 市は、市民の文化活動の充実に資する情報を収集し、及び提供するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化による交流の推進)

第8条 市は、多くの外国人が居住し、かつ、国内外の様々な都市との歴史的ゆかり等を有する環境を生かし、文化を通じた国際交流及び地域間交流を推進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 市は、文化を地域発展のための資源として活用し、人々の交流の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(人材の育成)

第9条 市は、次代を担う子どもたちをはじめ、市民の文化活動を担っていく人材の育成を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化活動の場の充実)

第10条 市は、公共施設を文化活動の場としての活用を図るとともに、施設の充実に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(景観の保全及び形成)

第11条 市は、文化的視点に立ち、自然環境及び地域の歴史的景観の保全をし、並びに周囲と調和のとれた景観を形成するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民文化資産の指定等)

第12条 市長は、別に法令等に定めがあるものを除き、文化の振興に資すると認められるものを、市民文化資産として指定することができる。

2 指定を受けた市民文化資産は、保存に努めるとともに、可能な限り公開及び活用を図り、又は伝承に心掛けるなど文化の振興に資するよう努めるものとする。

(審議会)

第13条 文化の振興の基本的事項に関し、市長の諮問に応ずるため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として、横須賀市文化振興審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、委員10人以内をもって組織する。

3 前項に規定するもののほか、審議会の運営について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日前にこの条例による改正前の文化振興条例(以下「旧条例」という。)第7条第1項の規定により設置された横須賀市文化振興審議会は、この条例第13条第1項の規定により設置する審議会となり、同一性をもって存続するものとする。

3 この条例の施行の際、現に旧条例第7条第2項の規定により横須賀市文化振興審議会の委員に任命されている者は、この条例第13条第2項の規定により審議会の委員に任命された者とみなす。

文化振興条例

平成19年3月29日 条例第2号

(平成19年4月1日施行)