○横須賀市議会基本条例

平成22年6月25日

条例第38号

横須賀市議会基本条例をここに公布する。

横須賀市議会基本条例

目次

(平29条例4・令2条例53・一部改正)

前文

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 議会の活動原則(第6条―第8条)

第3章 議員の活動原則(第9条―第11条)

第4章 市民と議会の関係(第12条―第15条)

第5章 議会と市長等との関係(第16条―第19条)

第6章 議会の機能強化(第20条―第27条)

第7章 議会改革の推進(第28条・第29条)

第8章 議員の身分及び待遇(第30条・第31条)

第9章 議会局等(第32条・第33条)

第10章 継続的な検討(第34条)

附則

平成12年(2000年)4月の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」により、機関委任事務制度が廃止され、国の地方公共団体(以下「自治体」という。)に対する関与の縮減や権限移譲が行われた。これに伴い、自治体の自己責任と自己決定権が大幅に拡大し、議会に求められる役割及び責務はさらに増大することとなった。

本市議会は、同法施行以前から「開かれた議会」「市民に親しまれる身近な議会」を目指し、継続して議会の制度改革及び活性化に努めてきた。これまでにも、ICT(情報通信技術)の活用による情報の公開、市民傍聴権の保障等、先駆的な取り組みを行ってきており、とりわけ、平成14年(2002年)に議会法体系を整備の上、制定した横須賀市議会会議条例は、今日の議会基本条例の先駆けと評価されている。今後も地方分権を踏まえ、公正性・透明性を堅持し、さらに市民に開かれ、信頼される議会の創造に向け、真な活動が求められるところである。

また市議会は、市民の直接選挙により選ばれた議員の合議体であり、日本国憲法に定められた二元代表制の一翼を担う存在として、市民の負託に応える責務がある。このため本市議会は、市長等執行機関への監視及び評価機能の充実に努めることはもとより、自由闊達な討議により、市政の課題を的確に把握し、積極的な政策立案・政策提言を行える政策形成能力の向上を図っていかなければならない。

このような認識のもと、本市議会は、分権と自治の時代にふさわしい市政の確立に向け不断の努力を重ねることを誓うとともに、各自が議員としての自覚と見識を持って市民の負託に応える決意を示したい。

よって、ここに横須賀市議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、二元代表制のもとでの議会の役割を踏まえつつ、議会及び議員の責務、活動原則その他の議会に関する基本的事項を定めることにより、公平、公正で透明な議会運営を図り、もって市民福祉の向上及び公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(この条例の位置付け)

第2条 この条例は、議会の最高規範的位置付けを有し、議会に関する他の条例、規則等の制定又は改廃を行うときは、この条例の理念を反映させ、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。

(議会及び議員の責務)

第3条 議会及び議員は、この条例及び議会に関する他の条例、規則等を遵守して議会を運営し、市民の負託に応えなければならない。

(通年議会)

第4条 議会が、市政の執行に関する監視機能の強化及び政策立案に関する機能の充実を図り、主導的かつ機能的に活動できるようにするため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第102条第2項の規定による条例で定める定例会の回数は年1回とし、その会期を通年とする。

2 議会の会期を通年とすることに関し必要な事項は、別に定める。

(平29条例4・全改)

(議員定数)

第5条 法第91条第1項の規定により、条例で定める議会の議員の定数は、39人とする。

2 議員定数の条例改正案は、法第74条第1項の規定による市民の直接請求があった場合を除き、原則として議員が改正理由の説明を付して提案するものとする。

3 前項の規定は、市長の条例議案の提出権を制限するものと解してはならない。

(平22条例50・平30条例84・令4条例45・一部改正)

第2章 議会の活動原則

(議会の活動原則)

第6条 議会は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保するとともに、市民に開かれた議会であること。

(2) 議案提出権、市長提出議案に対する修正動議の発議権等を議員が有することを踏まえて議決権を行使し、市政の運営に貢献すること。

(3) 市民本位の立場から、市長等(市長その他の執行機関をいう。以下同じ。)により適正な市政運営が行われているかを監視し、さまざまな政策等が、適切に施行され、又は運用されているか常に検証を怠りなく行うこと。

(4) 市民参加の機会の拡充を図り、市民の多様な意見をもとに政策立案、政策提言等の強化に努めること。

(5) 議会運営は、市民に分かりやすい視点、方法等で行うこと。

(委員会)

第7条 議会は、議案その他多様な政策等を効率的かつ詳細に審査するとともに、新たに生じる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、事案の専門性、特性等を考慮し、法第109条に規定する委員会を適切に設置し、及び活用するものとする。

2 前項の規定に基づき、議会に次に掲げる常任委員会及び議会運営委員会を置く。

(1) 総務常任委員会

(2) 民生常任委員会

(3) 環境教育常任委員会

(4) 都市整備常任委員会

(5) 予算決算常任委員会

3 議会は、第1項の規定に基づき、必要に応じて議決により特別委員会を置くものとする。

4 前2項の規定に基づく委員会の運営等については、別に条例で定める。

(平23条例21・平25条例2・令4条例31・一部改正)

(災害時の対応)

第8条 議会は、大規模災害が発生し、市内全域に甚大な被害が起きたとき又はそのおそれがあるときは、的確かつ迅速な対応を図り、市民生活の安定及び維持に努めなければならない。

2 大規模災害時における議会の機能維持に関し必要な事項は、別に定める。

(平29条例4・追加)

第3章 議員の活動原則

(議員の活動原則)

第9条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを認識し、議員間の自由な討議を重んじること。

(2) 議案に対する議決への参加のみならず、本市の政策を自ら策定するため、議案を提出することを議員の重要な役割と捉え、積極的な調査研究その他の活動を通じて市民の福祉と生活の向上に貢献すること。

(3) 市政の課題全般について市民の意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんにより、市民代表として、ふさわしい活動をすること。

(平25条例2・一部改正、平29条例4・旧第8条繰下)

(会派)

第10条 議員は、議会活動を行うため、会派を結成することができる。

2 会派は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し、活動する。

3 会派は、政策立案、政策決定、政策提言等に関し、必要に応じて他の会派と合意形成に努めるものとする。

(平29条例4・旧第9条繰下)

(議員の政治倫理)

第11条 議員は、市民全体の代表者として高い倫理性が求められていることを深く自覚し、行動しなければならない。

2 議員の政治倫理については、別に条例で定める。

(平29条例4・旧第10条繰下)

第4章 市民と議会の関係

(情報の公開等)

第12条 議会は、その透明性を高めるとともに市民に対する説明責任を果たすため、議会の活動に関する情報を積極的に市民に提供するものとする。

2 議会は、すべての会議を原則として公開するものとする。

3 議会は、議員研修会等を必要に応じて公開するものとする。

4 会議及び議員研修会等の傍聴については、別に定める。

(平29条例4・旧第11条繰下)

(請願及び陳情)

第13条 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置付け、真摯に取り扱うものとする。この場合において、請願者若しくは陳情者の求めに応じて、又は議会自ら、請願者又は陳情者が説明や意見陳述を行う場を設けることができる。

2 請願及び陳情の取扱いについては、別に定める。

(平29条例4・旧第12条繰下)

(市民参加)

第14条 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、市民からの政策提案の機会の拡大を図るものとする。

(平29条例4・旧第13条繰下、令4条例45・一部改正)

(説明責任等)

第15条 議会は、議決責任を深く認識するとともに、議会としての意思決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する。

2 議会は、議会運営に関し、市民に対して説明する責務を有する。

(平29条例4・旧第14条繰下)

第5章 議会と市長等との関係

(市長との関係)

第16条 議会は、二元代表制のもと、市長と常に緊張ある関係を構築し、事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案、政策提言等を通じて、市長とともに、市政の発展に努めなければならない。

(平29条例4・旧第15条繰下)

(一問一答方式等)

第17条 議会の会議における質疑等は、市政上の論点及び争点を明確にするため、対面による一問一答の方式で行うことができる。

2 議長から本会議又は委員会等に出席を要請された市長その他の者は、議長又は委員長の許可を得て、議員の質疑等に対して反問することができる。

(平29条例4・旧第16条繰下、令2条例53・一部改正)

(政策等の監視及び評価)

第18条 市長等は、提案する重要な政策等について、審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、次に掲げる事項に関する必要な情報を明らかにしなければならない。

(1) 重要な政策等を必要とする背景

(2) 検討した他の政策案等との比較検討

(3) 総合計画における根拠又は位置付け

(4) 関係法令及び条例等

(5) 財源措置

2 議会は、市長等が前項の規定に反する場合は、必要な情報を明らかにするよう求めることができる。

3 議会は、重要な政策等の提案を受けたときは、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価の視点も踏まえた審議をするものとする。

(平29条例4・旧第17条繰下)

(議員の文書による質問)

第19条 議員は、閉会中又は休会中に議長と協議の上、市長等に対し、別に定める様式により文書で質問を行い、文書による回答を求めることができる。

2 市長等は、前項の規定による質問を受けたときは、速やかに回答しなければならない。

3 前2項の文書による質問及び回答は、全議員に通知するとともに、市民に公表するものとする。

(平29条例4・旧第18条繰下・一部改正)

第6章 議会の機能強化

(議決事件の追加)

第20条 議会は、議事機関としての機能強化のため、法第96条第2項の規定により積極的に議決事件の追加を検討するものとする。

2 前項の規定に基づく議会の議決すべき事件については、別に条例で定める。

(平29条例4・旧第19条繰下)

(議員相互の討議の推進)

第21条 議会は、委員会又は法第100条第12項に規定する協議又は調整の場(以下「委員会等」という。)における議案の審査等の際には、必要に応じて議員相互間の自由討議を推進するための場を設け、活発な議論を尽くして合意形成に努めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。この場合において、法第74条第1項の規定による条例の制定又は改廃の請求に基づき市長が付議した議案については、市民の意向を踏まえつつ、審査において特段の配慮をするものとする。

2 前項の審査にあたっては、委員長等は、議員相互の自由な討議が積極的に行われるように委員会等を運営しなければならない。

(平29条例4・旧第20条繰下)

(政策検討会議の設置)

第22条 議会は、政策の検討及び提案を積極的に行うため、政策検討会議を設置する。

2 前項の政策検討会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(平29条例4・追加)

(調査研究機関の設置)

第23条 議会は、市政の課題に関する調査又は検討のため必要があると認めるときは、議決により、専門的知見を有する者で構成する調査研究機関を設置することができる。

2 議会は、必要があると認めるときは、前項の調査研究機関に議員を構成員として加えることができる。

3 第1項の調査研究機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(平29条例4・旧第21条繰下・旧第22条繰下)

(議員研修)

第24条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上のため、議員研修の充実強化を図るものとする。

2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、他の自治体の議会及び市民との議員研修会等を積極的に開催するものとする。

3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、議員研修を行わなければならない。

(平29条例4・旧第22条繰下・旧第23条繰下)

(広報広聴会議の設置)

第25条 議会は、広報広聴活動を戦略的かつ計画的に実施するため、広報広聴会議を設置する。

2 前項の広報広聴会議に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(平29条例4・追加)

(予算の確保)

第26条 市長は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議会が、議事機関としての機能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現し、かつ政務活動機能の充実を図るために必要な予算の確保に努めるものとする。

(平25条例2・一部改正、平29条例4・旧第24条繰下・旧第25条繰下)

(議員及び会派の積極的な政務活動)

第27条 議員及び会派は、法第100条第14項の規定に基づき交付される政務活動費を有効に活用し、政策提言等に活かすよう積極的に市政に関する調査研究その他の活動を行わなければならない。

(平25条例2・一部改正、平29条例4・旧第25条繰下・旧第26条繰下)

第7章 議会改革の推進

(検討会議等の設置)

第28条 議会は、議会改革に継続的に取り組むため、議員で構成する議会制度検討会議を設置する。

2 前項に定めるもののほか、議会は、議案の審査、議会の運営又は市政の課題に関する協議、調整若しくは調査のために必要があるときは、議員で構成する検討会を設置することができる。

3 第1項の議会制度検討会議及び前項の検討会に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(平29条例4・旧第26条繰下・旧第27条繰下・一部改正)

(交流及び連携の推進)

第29条 議会は、分権時代にふさわしい議会の在り方についての調査研究等を行うため、他の自治体の議会との交流及び連携を推進するものとする。

(平29条例4・旧第27条繰下・旧第28条繰下)

第8章 議員の身分及び待遇

(議員の身分及び待遇)

第30条 議員の身分及び待遇の保障は、議会制度を維持する上で重要な要素であるため、議会はその報酬及び政務活動費について、常に市民の理解を得ることに努めるものとする。

(平25条例2・一部改正、平29条例4・旧第28条繰下・旧第29条繰下)

(議員報酬等)

第31条 議員報酬及び政務活動費については、別に条例で定める。

2 第5条第2項及び第3項の規定は、議員報酬及び政務活動費に係る条例改正議案の提出について準用する。

(平25条例2・一部改正、平29条例4・旧第29条繰下・旧第30条繰下)

第9章 議会局等

(令2条例53・改称)

(議会局)

第32条 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会局の調査及び政策法務の機能の充実を図るものとする。

(平29条例4・旧第30条繰下・旧第31条繰下、令2条例53・一部改正)

(議会図書室)

第33条 議会は、議員の調査研究に資するために設置する議会図書室を適正に管理し、運営するとともに、その図書、資料等の充実に努めるものとする。

(平29条例4・旧第31条繰下・旧第32条繰下)

第10章 継続的な検討

(継続的な検討)

第34条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 議会が、この条例を改正しようとするときは、常に本会議において改正の理由を説明しなければならない。

(平29条例4・旧第32条繰下・旧第33条繰下)

 抄

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第7条第2項(第5号に係る部分に限る。)及び附則第3項(横須賀市議会委員会条例(平成14年横須賀市条例第44号)第2条に1号を加える改正規定に限る。)の規定は、平成23年5月2日から施行する。

(関係条例の廃止)

2 横須賀市議会会議条例(平成14年横須賀市条例第45号)は、廃止する。

(平成22年11月30日条例第50号)

1 この条例は、次の一般選挙から施行する。

(平成23年3月28日条例第21号)

この条例は、平成23年5月2日から施行する。

(平成25年3月1日条例第2号)

この条例は、公布の日から施行する。

(平成29年3月29日条例第4号)

この条例中第1条の規定は平成29年4月1日から、第2条の規定は平成29年5月1日から施行する。

(平成30年12月19日条例第84号)

1 この条例は、次の一般選挙から施行する。

(令和2年12月3日条例第53号)

この条例は、令和3年4月1日から施行する。ただし、第17条第2項の改正規定は、令和2年12月15日から施行する。

(令和4年3月29日条例第31号)

この条例は、令和4年市議会定例会の開会の日から施行する。

(令和4年10月7日条例第45号)

1 この条例は、次の一般選挙から施行する。ただし、第14条の改正規定は公布の日から、次項の規定は令和5年5月2日から施行する。

横須賀市議会基本条例

平成22年6月25日 条例第38号

(令和5年4月23日施行)

体系情報
第2類
沿革情報
平成22年6月25日 条例第38号
平成22年11月30日 条例第50号
平成23年3月28日 条例第21号
平成25年3月1日 条例第2号
平成29年3月29日 条例第4号
平成30年12月19日 条例第84号
令和2年12月3日 条例第53号
令和4年3月29日 条例第31号
令和4年10月7日 条例第45号