○横須賀市観光立市推進条例

平成26年12月2日

条例第50号

横須賀市観光立市推進条例をここに公布する。

横須賀市観光立市推進条例

わたしたちの愛するよこすかは、かつて日本有数の観光地であった。1865年横須賀製鉄所がひらかれた当時のよこすかは、近代産業のシンボルであった製鉄所を一目見ようとする観光客であふれ、多くの旅籠が軒をつらね日本初の観光マップもつくられた。

その後、軍港の都市として発展し、戦後は製造業中心の産業都市となるなかで、観光という産業は忘れ去られていった。

人口減少とあいつぐ製造業の撤退により基幹産業の停滞がつづいている現在のよこすかにとって新たな産業の振興がなければ将来の進展はありえない。

これからは、時代とともに変化する環境に適切に対応していくことが求められている。

そのためには、よこすかのもてる力を最大限にひきだせる可能性を秘めた産業として、観光をとりあげる必要がある。観光地としての歴史があるよこすかには、豊かな自然と先人たちが残してくれた価値ある歴史や色とりどりの郷土文化があり、まさに市全体が観光資源の宝庫となっている。

わたしたちは、その観光資源を掘り起し、磨き、育て、大切に守り、有効に活用しながら、魅力ある観光地をつくり、観光を産業の柱とする「観光立市よこすか」を目指す。

このような認識のもとで、市は全部局が一体となって観光の積極的な諸施策を展開し、市民一人ひとりがおもてなしの心を持ってやさしいまちづくりを実践し、事業者及び関係団体が連携し、皆が「観光立市よこすか」の担い手として、その振興を促進するために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、横須賀を飛躍させるために観光立市を実現することが極めて重要であることに鑑み、国内外を問わず多くの観光客に愛される観光立市の実現に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに市の責務、市民の役割及び観光事業者等の役割を明らかにするとともに、観光立市の実現に関する施策の基本となる事項を定めることにより、観光立市の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本市経済の発展、市民生活の安定向上及び国際相互理解の増進に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 観光事業者 観光に関連する事業を営む者をいう。

(2) 観光関係団体 観光事業者で組織される団体その他の観光に関する活動を行う団体をいう。

(3) 観光事業者等 観光事業者及び観光関係団体をいう。

(4) 観光資源 有形資源(景観、街並み、交通、食事など視覚、触覚、味覚等を通じて観光客に喜びと満足を与えるものをいう。)及び無形資源(観光客を受け入れるおもてなしの心や市民の郷土に対する誇りなど、心の領域で観光客に訴えるものをいう。)をいう。

(基本理念)

第3条 観光立市の実現に関する施策は、地域における創意工夫を尊重し、地域住民が地域に対して誇りと愛着を持ち、かつ持続的に観光都市として発展していけるように講じられなければならない。

2 観光立市の実現に関する施策を講じるに当たっては、観光に関する事業が、さまざまな分野の特色ある事業活動から構成され、その多様な事業の有機的な結びつきにより魅力ある観光を実現すべく、地域住民及び観光事業者等の相互の連携が確保されるよう配慮されなければならない。

3 観光立市の実現に関する施策は、観光が諸外国の方々との相互理解の増進とこれを通じた国際平和のために果たす役割の重要性にかんがみ、国際的視点に立って講じられなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、観光の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。

2 市は、観光事業者等が相互に連携して観光の振興に関する取組を進められるよう必要な支援を行うものとする。

(観光事業者の役割)

第5条 観光事業者は、基本理念にのっとり、観光に関する多様な需要に応え、良質なサービスを提供することにより、観光客の満足度の向上に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 観光事業者は、市が実施する観光の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(観光関係団体の役割)

第6条 観光関係団体は、基本理念にのっとり、相互に連携を図りながら、おもてなしの向上等を図ることにより観光客の受入体制の整備を行い、その来訪の促進に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

2 観光関係団体は、市が実施する観光の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民の役割)

第7条 市民は、基本理念にのっとり、市及び観光事業者等が実施する観光の振興に関する取組に参加することにより、魅力ある観光地の形成に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(観光立市推進基本計画)

第8条 市長は、観光の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、観光の振興に関する観光立市推進基本計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 観光立市の実現に関する施策についての基本的な方針

(2) 観光立市の実現に関する目標

(3) 観光立市の実現に関し、市が総合的かつ計画的に講ずべき施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、観光立市の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、基本計画を定めるに当たっては、観光事業者等及び横須賀市観光振興推進委員会の意見を聴かなければならない。

(魅力ある観光資源等の形成)

第9条 市長は、地域特性を生かした魅力ある観光資源等の形成を図るため、観光事業者等との連携及び協議により、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 観光資源の開発、育成及び保護

(2) 観光資源の充実に資する活動に対する支援

(3) 旅行に関する施設の整備等

(4) 観光資源としての商品の創出及び育成

(5) 観光資源のブランド化及びブランドの保護、維持、周知等

(人材の育成)

第10条 市長は、観光の振興に寄与する人材の育成を図るため、企業、大学等と連携し、必要な施策を講ずるものとする。

(広域的な連携)

第11条 市長は、国及び神奈川県その他の地方公共団体と連携し、観光資源を有効に活用するために必要な広域的な施策の推進に努めるものとする。

2 市長は、観光資源をいかした友好都市、姉妹都市等との交流に必要な施策を講ずるものとする。

(交通利便性の向上)

第12条 市長は、観光客の来訪の促進に必要な交通施設の整備その他の観光客の交通の利便性の向上に必要な施策を講ずるものとする。

(観光客の利便性の向上)

第13条 第12条に規定するもののほか、市長は、高齢者、障害者その他の特に配慮を要する観光客などの利便性の向上に必要な施策を講ずるものとする。

(安全の確保)

第14条 市長は、市内における観光客の安全の確保を図るため、観光地における事故、災害等に関する情報の提供、救助、救出及びその他の事故の発生の防止等に必要な施策を講ずるものとする。

(新たな観光の分野の開拓)

第15条 市長は、新たな観光の分野の開拓を図るため、自然、環境、産業、農漁業等に関する体験活動を目的とする観光、文化に関する事業をいかした観光、スポーツに関する行事を活用した観光その他の多様な観光の形態の普及等に必要な施策を講ずるものとする。

(観光情報に関する広報宣伝等)

第16条 市長、観光事業者及び観光関係団体は、観光客の来訪の促進を図るため、多様な媒体を通じた本市の観光情報、観光資源のブランドに関する広報宣伝の充実に取り組むよう努めるものとする。

2 市長は、観光の振興に関する取組への市民の参加を促進するため、啓発及び観光情報の提供に努めるものとする。

(観光振興推進委員会)

第17条 第8条第3項に定めるもののほか、この条例の推進及び運用等に関する報告を受け、本条例の目的達成のために必要な意見を述べるため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として横須賀市観光振興推進委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

2 委員会は、委員12人以内をもって組織する。

3 前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、規則で定める。

(評価等)

第18条 市長は、委員会の意見を踏まえ、3年を超えない期間ごとに、この条例の運用状況を評価し、その結果に基づき必要に応じた措置を講ずるものとする。

(その他の事項)

第19条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。

この条例は、平成27年4月1日から施行する。

横須賀市観光立市推進条例

平成26年12月2日 条例第50号

(平成27年4月1日施行)