広報よこすか2017年10月1日号
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(2) 多くの皆さまのご支援・ご支持をいただき、晴れて第37代の横須賀市長となりました。しかし、市長になることが、ゴールではありません。多くの方々から「横須賀をどうにかしてほしい」という切実な声をいただいています。横須賀の復活こそが、私が目指すゴールです。 市長に就任して、2か月になります。この間、市民の皆さまとの意見交換をはじめとして、関係団体、県や国などと打ち合わせを重ね、庁内の各部局とのヒアリングを行ってきました。克服すべき課題の多さ大きさを認識するとともに、是が非でも横須賀の復活を果たせねばならないと、改めて闘志をかき立てられたところです。基本方針 政治・行政の要諦は、住民福祉の向上と経済の活性化であると考えています。 この8年間、増加する社会保障費への対応に多大な経費が必要だということを理由に、打つべき施策を行ってこなかった、これが今日の横須賀の衰退を招いた元凶と考えています。また住民福祉の向上についても、計画行政の名のもとに、直面する課題に向き合ってこなかったようにも思います。 横須賀が衰退の一途から脱却するためには、今がラストチャンスだと考えています。今こそ、積極投資する市政へと転換すべきです。積極投資を基本方針として、これからの施策を展開していきます。横須賀復活のための3つの構想 これまで「海洋都市構想」「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市構想」「谷戸再生構想」の3つの構想によって、横須賀を復活させると訴えてきましたが、ここで改めて説明します。▼海洋都市構想 三方を海に囲まれている横須賀は、圧倒的な地の利があります。このアドバンテージをまちづくりに活かしていくのです。相模湾と東京湾という、性格の異なる2つの海に面している特徴を活かした、豊かな食の提供。輸送能力に着目した、新たな航路の整備。都心から1時間という立地を活かした、マリンレジャー・スポーツの充実。海岸線そのものを展示室と捉えての、海を感じるイベントや展示の実施。JAMSTECに代表される、海洋研究機関とのコラボによる横須賀発の産業技術の創出など、豊かな自然とビジネスを融合させたまちづくりを進めます。▼音楽・スポーツ・エンターテイメント都市構想 横須賀に住んでいる人が楽しくなければ外から人を惹ひきつけることはできません。そのために、音楽やスポーツを中心とした、エンターテイメントの力を使います。 音楽フェスティバルやダンスフェスティバルの開催、トップアスリートが集う場や大規模なスポーツ大会の誘致などで、「本物」に触れる機会を増やし、市民はもちろん観光客ももっと楽しめるまちづくりを進めます。▼谷戸再生構想 「個性ある地域のコミュニティの再生」を目指します。地域活動の成果が実感でき、感謝の言葉が飛び交うようなまちづくりが必要です。さまざまな年齢や職業、多様な経験を積まれた方が子どもたちに関わることで、地域は学びの場になり、誰もが先生になり、横須賀で育った子どもは立派に成長する、そんなまちにするのです。平地が少なく、比較的小規模なコミュニティが数多くあるという地域特性を活かしながら、コミュニティの再生を図っていきます。横須賀復活の4つの計画 大きな構想だけではなく、具体的な施策を念頭にした4つの復活計画について説明します。▼その1 経済・産業の復活 国道357号の延伸が実現すれば、国道16号の渋滞が解消され、物流コストが下がります。久里浜港には、浦賀水道の混雑の影響を受けないという大きな長所があり、首都圏の物流の拠点となり得ます。中心市街地や追浜駅前、JR久里浜駅周辺などの再開発も、横須賀の経済を飛躍させる原動力となります。横須賀にはこういったポテンシャルがあるのです。このようなことを、国や県と連携して取り組み、早期に実現させます。 中小企業振興としては、企業が持つアイデアや技術を事業に結びつけるためのアドバイザー制度や、意欲ある方々が、再チャレンジできる融資制度や人材紹介制度などをつくっていきます。▼その2 賑にぎわいの復活 経済・産業が復活すれば、まちの賑わいも復活してきます。その上、横須賀には恵まれた自然や歴史遺産があります。これらを活用して、もっと人を呼び込んでいきます。 都心からわずか1時間で、マリンレジャーが楽しめ、豊かな自然が堪能でき、日本遺産も体感できるのです。長年、ここに暮らしている私たちが、決して見飽きることがない横須賀の風景。少しの工夫で、何度も訪れたくなるまちになります。 スポーツの拠点・施設の充実や音楽フェスティバルの開催など、「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市構想」と併せ、ストーリー性のある仕掛けづくりをしていきます。▼その3 子どもの教育の復活 人生の初期教育が重要ということは、国際的にも言われていることです。この大切な初期教育について、経済的負担が軽減できるように、幼稚園・保育園の段階的無償化を行います。また全国平均を下回っている本市小・中学生の学力を向上させていくことは、重要な課題であると認識しています。教育委員会と連携し、更なる取り組みを進めます。 放課後児童クラブについては、運営時間の延長や、それに伴う指導員の皆さまの負担が軽減されるよう人材の確保を支援します。保育料の見直しも図られるよう、放課後児童クラブ運営と市役所の関わりを深めていきます。 また、若い世代の結婚や子育てに関する希望を後押しする施策として、小児医療費助成の拡大に取り組みます。 まず、対象年齢をこれまでの「小学校6年生まで」から「中学校3年生まで」に一気に3年引き上げることとします。 また、一定の所得があっても、急に生じる医療費の支払いは困難という場合もありますから、これまでの所得制限を撤廃することで、医療費の心配なく、子どもたちが診療を受けられるようにします。▼その4 暮らしやすさの復活 谷戸の高台や道路が狭く路線バスが通れない地区に、駅や病院などへの足としてコミュニティバスの導入を促進したり、AIを活用した相談機能の充実や、コンビニでの収納・住民票の交付などにも取り組んでまいります。復活計画と総合計画との関係 ここで、これらの復活計画と「基本構想・基本計画」との関係について説明します。 現在の基本構想は平成9年から平成37年を対象とし、基本計画は平成23年度から平成33年度を対象としています。 基本計画は、子育て・教育、地域経済の活性化、集客・定住、環境、コミュニティ機能の強化などを重点施策としていて、私が今後進めていこうとすることと合致しています。現在の本市の状況は、基本計画にその責があるのではなく、対応すべき分野に必要な予算配分がなされなかったこと、つまり政策判断の誤りが原因だと考えています。そこで、基本計画については直ちに見直すということはせず、先に説明した復活4計画を今後、戦略的に進めていく行政計画「(仮称)横須賀再興プラン」としてまとめ、お示しいたします。 基本計画は最終年度が平成33年度ですので、しかるべきときから見直し作業に着手し、平成34年度からの新計画をスタートさせたいと考えています。その際には、基本構想についても併せて見直しを行います。ファシリティマネジメントの推進について 私自身、議員時代に10年以上も前からファシリティマネジメントの重要性を訴え続けてきましたので、今後の人口減少社会に向けて、公共施設をどうすべきか考えていく必要があると認識しています。 しかし、個別施設の面積削減をクローズアップした現行の計画では、市民の皆さまの理解は得られないと思いますし、私自身も納得できるものではありません。 現行の計画は凍結し、1度立ち止まって精査した上で、中心市街地などでの再開発との連携や、地域コミュニティの再生に寄与するような公共施設の更新や再編のあり方、将来像などについての戦略的なプランを策定してまいります。基地について 横須賀には、地理的、そして歴史的な要因などにより、米海軍基地が存在し、空母打撃群が前方展開されています。また陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、そして防衛大学校も所在しています。今後も自衛隊、そして米海軍関係者の方たちとは、これまで以上の関係を築き、率直な意見交換を重ねながら、新たな課題や方策に取り組んでまいります。 一方で、市民生活の安全・安心の確保については、市民の生命・財産を守るべき市長としての当然の責務です。米海軍基地や自衛隊施設が中心市街地や港湾の要所を占め、まちづくりに少なからず影響があることも事実です。国に対しては、地域振興策も含め言うべきことは言い、求めるべきものは、しっかりと求めていく姿勢で取り組んでまいります。目指すものは「誰も一人にさせないまち」 横須賀を復活させる。これまで、ずっと訴えてきたことです。 これに対して、ノスタルジーすぎるとか、最近の人にはピンと来ないといったご指摘もいただきました。そこで、横須賀復活の先にあるものを、お示しするようにしてきました。それは「誰も一人にさせないまち」です。1人暮らしの高齢者だけのことではなく、介護に忙殺される方、会社経営で壁に直面している方、子育てに悩む方、学校になじめず登校したくない方など、日々のことや将来に対して不安を抱えている方々に、寄り添えるまちにしていく、これが横須賀復活の先にある、最終的な目標です。 横須賀復活の道のりは、決して平たんではないと思います。しかし、その先にある輝かしい将来を、血の通った暮らしやすい横須賀を目指して、共に歩みを進めていこうではありませんか。 「協調と連帯」。これが今の横須賀にとって一番大切なことであると私は考えています。「協調と連帯」を図ることで、誰しもが分かり合えないはずはないと私は信じています。 また、「協調と連帯」を阻むものは差別や偏見、権威主義や猜さい疑ぎ心しん、不信感、おごりなどであると考えています。私はこういった阻害要因を排除していくことで、「協調と連帯」が図られたまちとして「横須賀」を復活させていきたい。そのためには、行政、議会、関係団体、市民の皆さまが、一丸となって全員野球で取り組む必要があると考えています。 もとより、私はその先頭に立って、これからの4年、脇目も振らず邁まい進しんしてまいります。ぜひとも、ご理解とご協力をお願いいたします。市政総合平成29年(2017年)10月1日平成28年度国際平和標語コンクール入賞作品<佳作>■さがそうよ 地球のみんなの 良いところ(野比小学校4年(受賞時) 橋本 成なる美みさん)市長所信表明 9月4日の定例議会で、上地克明市長が所信表明演説を行いました。横須賀に対する現状認識やこれからの方針、市政運営に取り組む姿勢などを語りました(一部省略)。

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