ホーム > 市政情報 > 横須賀市長 > 所信表明・施政方針 > 平成31年(2019年)2月18日施政方針

更新日:2019年3月1日

ここから本文です。

平成31年(2019年)2月18日施政方針

平成31年(2019年)2月18日(月曜日)平成31年 3月定例議会本会議

施政方針

(木下憲司前議長追悼)

 平成31年3月定例議会の開会にあたり、冒頭ではありますが、先日、急逝されました木下憲司前議長に対して、追悼の言葉を述べさせていただきます。なお、ここでは、敬愛を込め、「議長」と呼ばせていただきます。
 議長との出会いは、平成19年に横須賀市議会議員選挙に立候補され、見事、初当選をされたときにさかのぼります。年齢も住まいも近いことから、その後は公私ともに親しいお付き合いをさせていただきました。
 前職でのご経験がなせる業か、生来の才ゆえか、議長はいかなるときでも温厚篤実かつ理知的で、感情が先走りがちな私としましては、常に議長の一挙手一投足が倣うべき範でありました。
 昨年夏、ともに渡欧したのは、私にとってかけがえのない想い出であります。西欧の文化・風土に共に触発され、横須賀のあるべき姿について、夜更けまで夢を語り合ったことが昨日のことのようであります。
 この夢をそのまま終わらせることのないよう、全身全霊をもってまい進いたしますことを、ここにお誓い申し上げます。
 遠くない将来、私も議長の下へと参ります。その暁には、見事、復活を遂げた横須賀の姿を愛でながら、存分に酒を酌み交わしたいと思っております。
 どうかそれまでは、この横須賀を温かく見守っていただければと願う次第であります。
 ありがとうございました。

(はじめに)

 本日、平成31年度(2019年度)予算案および関連諸議案を提案いたしますが、市政に対する基本的な考え方を述べる前に、まず市政への思いを伝えさせていただきます。
 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中のある人とすみかとまたかくのごとし。」
 方丈記の一節ですが、この書き出しは大変有名で、大火や竜巻、飢饉、地震などの厄災による不安な情勢に触れつつ、無常観を説く名著と言われています。
 早いもので、市長に就任して以来、1年半が経ちました。この間、多くの方との死別も経験してきました。冒頭に申し上げた木下議長を含め、長年の友人であったり、現役の職員であったり、敬愛する先輩であったりと、さまざまな立場の方々にお別れを述べてきました。また、志半ばで逝かれた方、まさに天寿を全うされた方、それぞれ人生の時期もさまざまでしたが、その都度、無常という言葉をかみしめてまいりました。
 これまで方丈記を何度となく読み返してきましたが、ここまで齢を重ねてきたことで、方丈記は単に無常観のみではなく、時の流れの中で、今を生きることの尊さを説いているのだと、あらためて感じたところです。
 ここ横須賀の地で、この時代に時を同じくして生きていることに喜びを感じ、一つ一つの出会いを「よかった。ありがとう。」と思ってもらえること、誰も一人にさせないまちを実現すること、やはりこれが私に課せられている最大の使命なのだと思いを新たにいたしました。
 この7月に、私は任期の折り返しを迎えます。先ほど、木下議長にお誓い申し上げたとおり、誰も一人にさせないまちの実現に向け、これまで以上にまい進する覚悟であります。

(平成31年度予算の提出にあたって)

 翻って、まず我が国を取り巻く世界情勢に目を向けますと、経済政策としては保護主義的な色合いが濃くなりつつあるのが現状です。
 また、これまでの国際的な取り決めを反故にして、自国もしくは政権当事者の利益のみを重視しての立ち振る舞いも散見されます。
 私たち個々人も、組織も国家も、常に他者との連携の上に成り立っています。しかし、自分さえよければ、自国さえよければ、他者との関係はどうなっても構わないという風潮にあるのではないでしょうか。
 こんな時代だからこそ、誰もが自他共栄を念頭に、協調と連帯を図ることを追求していくべきです。
 我がまち横須賀を、協調と連帯が図られたまちにすることを目指し、予算案の調製をしたところです。

(うわまち病院建て替え)

 最初に、うわまち病院の建て替えについて述べたいと思います。
 今後、増大する入院需要への対応と手狭な診療環境の一刻も早い改善のためには、老朽化したうわまち病院は、現地ではなく移転して建て替えざるを得ないと、昨年8月に発表して以来、移転先については、鋭意、検討を重ねてまいりました。
 具体的には、早期に建設が可能かということや、駅からの距離、救急搬送の利便性等を考慮し、大津公園、馬堀海岸公園、根岸交通公園、神明公園の4つを候補地に絞り込み、最終的に建設予定地を神明公園と決定しました。
 決定にあたって、やはり最も大きな判断要素は、救急搬送時間の改善であると考えました。
 かねてから申し上げているとおり、私はできることであればうわまち病院は、現地で建て替えることが望ましいと考えていました。しかし、横須賀全体の医療体制を考え、移転での建て替えを選択せざるを得ませんでした。移転する以上は、市民の命を救うという視点を最も重視したところです。
 新病院は6年後、平成37年(2025年)夏のオープンを目指しています。それに向け、平成31年度は、外来部門や入院病棟、手術室などをどのように配置するのが最適であるかなどを定める基本計画の策定に取り組んでまいります。
 また、うわまち病院の跡地利用ですが、これは当然に、市が責任をもって取り組むべきことです。上町の賑わいを復活させることができるように、中期的な視点をもって、夢のあることをしっかりと考えてまいります。平成31年度は、進入路部分の拡幅作業に向けた測量を行うこととしています。

(中央こども園の整備)

 次に(仮称)中央こども園の整備についてです。
 中央こども園については、早期の開園を目指して、それまで中断していた整備事業を再開し、建設予定地をポートマーケット駐車場部分と決定したところです。
 これに対し、市議会も含めいろいろな方から、駅からの距離やバスの不便さ、大きな道路を渡る危険性などについて、再三、ご意見をいただいてきました。
 また、市議会のご協力をいただきながら、FM戦略プランの策定を進めているところですが、この中でも公共施設の集約・統合による有効活用の視点から、他の整備方策がないか、改めて検討してまいりました。
 その結果、中央こども園については、ポートマーケット駐車場部分に新設するのではなく、消防局庁舎の向かいにある職員厚生会館をリノベーションしての整備へと変更することが適当との結論に至りました。そして現在、職員厚生会館が有している機能は、勤労福祉会館へと移転させる方向で調整を進めてまいります。
 これにより、施設の有効活用が図られ、中央こども園の整備に要する経費も軽減できることとなります。
 公共施設をリノベーションして別の用途として活用するというのは、これまでの行政の常識ではなかなか思いつけないものですが、これからの時代、このような柔軟な発想がより求められるものと考えます。
 なお、中央こども園の開園時期は、これまでと同様に平成34年度(2022年度)を目指してまいります。

(賑わい・豊かさ創出の決意)

 「音楽・スポーツ・エンターテイメント」の視点で昨年を振り返りますと、5月に津久井浜で開催されたウインドサーフィンワールドカップや、11月に追浜で開催されたベイスターズのファン感謝デーには、大変多くの方々に来ていただくことができました。
 また、夏には、ポケモンGOのイベントや猿島でのトロピカルディスコといった今までにないイベントによって、多くの賑わいが生まれました。これまで横須賀にあまり関心がなかった方々の目や足を横須賀に向けてもらえたと思っています。
 この流れを止めることなく、日本ひいては世界の耳目を横須賀に集め、市内外の事業者に、横須賀でイベントや事業を興したい、横須賀で投資をしてみたいと思っていただける雰囲気や、期待感を抱かせる。そのようなインパクト、そして発信力のある仕掛けを次々と打ち出していくことが、今の横須賀にとって重要だと確信しています。

(音楽・スポーツ・エンターテイメント)

 今年の6月には、横浜DeNAベイスターズの総合練習場が追浜に完成します。そして3年後には、久里浜に横浜F・マリノス総合練習場の完成を目指しています。これらが完成すれば、政令指定都市以外で、プロ野球とJリーグ、両方の練習本拠地を抱える市は、横須賀をおいてほかに存在しません。
 さらに、いずれの練習場も駅や商店街に隣接しています。この立地も、非常に稀です。この恵まれた環境をいかに地域の活性化につなげていくかが何より重要です。

 新年度には、横須賀スタジアムでのベイスターズの試合はこれまでの40試合から、交流戦も含め60試合以上へと増加する予定です。また新たに、練習場のオープニングセレモニー、施設見学会、選手の入寮セレモニー、まちなかミュージックなどのイベントのほか、追浜駅や商店街のラッピング、商店街マップの制作、販促スタンプラリーの開催など、行政、京浜急行電鉄、地元商店街が連携を図り、地域活性化に向けた取り組みを推進してまいります。
 さらに、小学校などへの選手訪問や野球教室の実施に加え、市も公用車に広報シートを張りPRするなど、市内全域にこうした盛り上がりを広げてまいります。

 マリノスについては、市民も利用できる公園再整備の一環として、総合練習場の整備に本格的に着手いたします。
 また新年度には、125cc以下のバイクのナンバープレートにマリノスデザインプレートを導入するなど、横須賀が一体となってホームタウンとしての機運を高めてまいります。

 なお、久里浜地区に関連して、地域の生活利便性や活性化、安全性の観点から長年の課題であった、地域を東西に分断している八幡第1・第2踏切について、その撤去に向けた調査をJR東日本と共に実施し、実現可能性について研究を進めてまいります。

 津久井浜でのウインドサーフィンワールドカップは今年、3回目を迎えます。年々、来場者数も増加していますが、今回は、三浦市との連携を図り三浦海岸で大規模な音楽イベントを同時開催し、両会場を結ぶことで新たな客層の開拓に挑戦します。音楽とスポーツの融合、そこから生まれる新たなエンターテイメントを発信していきたいと思います。
 ワールドカップをきっかけに、現在、津久井浜地域では、マリンスポーツの普及を目的としたNPO法人の設立や近隣ホテルのリニューアル工事、海岸沿いの県営駐車場の土日料金の値下げ、マラソン大会にあわせてスタンドアップパドルの競技を開催するなど、自発的な動きが地域で広がり始めています。このような取り組みを、本当にうれしく、心強く思っています。
 新年度はこうした地元の動きと連携し、大学の部活動の合宿誘致、全日本レベルの新たなウインドサーフィン大会の誘致など、今まで以上に地域の活性化につながる取り組みを進めてまいります。

 エンターテイメントといたしましては、昨年のポケモンGOのイベントに続き、現在、新たなイベントも計画しているところです。日本国内はもとより、ラグビーワールドカップ、そしてその先の東京オリンピックなどで訪れる海外からの旅行者の取り込みを目指してまいります。さまざまな機会をとらえ横須賀の海や自然、街並み、グルメを市内外の多くの方々に体感していただき、ワクワク感を楽しんでいただきたいと思っています。

(観光立市策と経済対策)

 昨年末に、本市と北九州とを結ぶフェリーの就航について、発表いたしました。海洋都市構想の推進を掲げ、半島経済のパイの拡大、そしてポートセールスに取り組んでいる私としては、大変にありがたいことだと感じているところです。
 フェリー会社によれば、「これまでは九州と首都圏を21時間以上もかかる航路で結ぶことは、とても採算があわなかった。しかし、昨今のドライバー不足、低炭素社会への対応や宅配便等の需要増大という局面となり、十分、ビジネスモデルになり得ると判断した」とのことです。

 現代は、多くの課題に直面している時代です。私たち地方自治体としては、急激に進む人口減少と少子高齢社会の進展によって、税収が減少する一方、社会保障費は増加の一途です。そうした中であっても、福祉の向上と地域経済の発展を両立させなければなりません。
 民間企業においても、しかりです。労働力不足で生産性の向上が急務の中、働き方改革にも取り組まなければなりません。
 確かに非常に困難な状況ではありますが、こんな二律背反への対応は不可能であると、現状を嘆くだけでは何も生まれてきません。
 今回のフェリーのように、困難な状況だからこそ、新たに進むべき道が開ける可能性があります。固定観念を捨て、発想の転換を図る時代であり、ここにこそ横須賀復活の道があると考えています。

 フェリーに関連して下町地区の海沿いでの取り組みにつきましては、旧三笠駐車場跡地のホテル誘致は、進出企業が間もなく決定し、平成33年(2021年)末までの開業に向け、建設工事が始まります。
 ポートマーケットは、既存の事業者による運営が継続された後、新たな事業者の運営に転換を図るべく準備を進めています。
 また、来年の秋以降の完成を目指して、現在、ティボディエ邸を活用したガイダンスセンター、走水低砲台跡、千代ヶ崎砲台跡の整備など、本市の日本遺産や近代の歴史を結ぶルートミュージアム構想を進めているところです。新年度からは現在の計画に加え、新たに第二海堡の上陸本格ツアーをスタートさせるとともに、猿島、第二海堡、三笠公園などを訪れる観光客の皆さまの利便性と快適性の向上を目的として、新三笠桟橋の近隣に、猿島ビジターセンターを整備するための準備を進めています。

 こうした市の取り組みと民間事業者の取り組みを連動させ、新たに大きな人の流れを創っていきたいと考えています。

 また西地域は、自然、景観、食など東海岸側とはまったく異なる個性を持ち、大きなポテンシャルを秘めています。
 特に、平成32年度(2020年度)には、圏央道の藤沢、横浜間が開通を予定しており、埼玉などの内陸部から、多くの方々に注目していただけるエリアだと思っています。
 今年度、ソレイユの丘の拡張部分を含めたマーケットサウンディング調査を実施したところ、複数の大手事業者から参画意向が示されました。今後、事業者公募に向けた準備を進めてまいります。こうした民間事業者の動きや将来を見据えて、今年度、地域の皆さまと土地利用活性化委員会を発足させ、西地域の魅力と課題について意見交換を行い、目指すべき方向性を検討しています。
 今後、この方向性を実現すべき手段の1つとして、用途地域等の見直しを行い、従来の規制から、これまでできなかった施設の建て替えや新たな施設整備への誘導と、西地域らしさや地域の皆さまの意向を踏まえた開発の規制、この両立を目指してまいります。
 ソレイユの丘、すかなごっそに加え、宿泊や食の提供も含めた、第3、第4の人を惹きつける拠点となる場所や施設を新たに生み出してまいります。そして、逗子、葉山から、油壺、三崎につないでいく魅力にあふれる周遊ルートの創出を目指し、事業者の誘致も進めながら、ハード、ソフトの両面で取り組んでまいります。

 集客については、「夜」に着目した取り組みを始めます。これまでの本市の観光は、首都圏から近いこと、宿泊施設が少ないことなどから、日帰りで楽しむ、夕方には帰路に就く、というものが主流だったと捉えています。
 しかし、今後、新たなホテルの建設や夜間に発着するフェリーの就航など好材料がそろいつつありますので、夜の横須賀もぜひ楽しんでもらうような取り組みにも力をいれていきたいと考えています。
 新年度からは新たに、横須賀の歴史遺産や夜をテーマとした秋のアートイベントを、国や県の補助を活用しながら市内各所で開催します。
 猿島では、日本遺産や自然を、光や音で演出し、無人島ならではの非日常を作り出すアートイベントの開催、美術館では、すばらしい景観を有する芝生広場でのオペラガラ・コンサートの開催、浦賀地域では、「レンガドック竣工120周年」、「浦賀奉行所開設プレ300周年」として、浦賀ドックの産業遺産を利用させていただき、プロジェクションマッピングのイベント、衣笠地域では、地元のハロウィンに合わせた衣笠山公園でのアートイベント、また、市民文化団体が開催する文化祭をより多くの方に周知するとともに、参加を促すための取り組みや、神奈川県や横浜市と連携したまちなか音楽イベントなどを展開します。
 そして、これらのイベント集客を市内消費に結びつけていくための取り組みも、併せて進めてまいります。

(地域福祉・地域コミュニティ)

 私たちは、この5月に新たな時代を迎えます。この新たな時代は、平成よりももっと進歩や変化のスピードが速くなると思われます。
 そして、このような時代だからこそ、人と人とのつながりがより求められると思うのです。
 現在、多くの方々のご協力をいただきながら、地域福祉計画の策定を進めており、完成間近な状況です。
 新たな時代の幕開けである今年を、先ほど申し上げた、音楽・スポーツ・エンターテイメントや観光、経済振興によって生み出す賑わいや豊かさを、横須賀の暮らしやすさにつなげていく年、まさしく地域福祉元年にしたいと考えています。
 地域福祉計画の特徴の一つとして、家族の困りごとを丸ごと受け止めることができる相談体制を新たに整備してまいります。
 まず、障害者の相談支援の面では、身近な地域における相談支援体制の充実を図るため、西地区に障害者相談サポートセンターを新たに設置し、市全体では、5か所体制とします。
 また、懸案であった、基幹相談支援センターについては、平成32年度(2020年度)の設置に向けて、準備を開始します。障害に関する多種多様な相談に対応できる全市的な窓口や、相談支援事業所に対する指導・助言、研修の機能は不可欠であると考え、基幹相談支援センターの早期運用開始を目指してまいります。

 私は、地域福祉と地域コミュニティは、一体をなすものと考えています。我が横須賀にあっても、コミュニティが希薄になり、地域の支える力が弱まりつつあるとの危機感を覚えています。また、例えば高齢の親が中高年となったひきこもりの子の面倒をみているといった、これまでにはなかったような問題も顕在化してきています。つまり、地域の支える力が弱まり、一方で対応すべき問題が大きなものとなってきていると感じています。このような状況下、私は、行政センターが大きな役割を果たせると考えています。
 行政として解決すべきこと、地域が解決すべきことといった線引きや、地域の支え手、サービスの受け手という区分けにとらわれるのではなく、困りごとの相談を受けたら、どんどん地域に入っていき、その場で解決できることは解決してしまう。毎日のごみ出しが難しいなど、継続的な対応が必要な場合には、その仕組みを地域とともに考え、実行する。そんな機能を行政センターに持たせることが、最も効果的なのではないかと考え、新年度には、モデル地区として田浦行政センターに新たに担当課長を配置することとしました。
 相談体制を充実させることは、当面の目標ですが、当然、相談をお受けするだけでは意味がありません。適切なサービスにつなげることはもちろん、地域や当事者の皆さまと共に悩みながら解決策を考えていきたいのです。
 また、本市では、昨年、農福連携という新たな取り組みに踏み出しました。さらに、この5月には、障害のある方の一般就労へのステップアップを支援するため、市役所内に知的障害者及び精神障害者の方が働く職場、「障害者ワークステーションよこすか」を開設します。このほか、従来から生活保護を受けている方の自立支援やひとり親世帯の就労支援などにも、取り組んでいるところです。
 就労や社会参加の機会を提供することで、人と人とのつながりが生まれる、私はこれこそが誰も一人にさせないまちの実現の原点であると思っています。
 時代は変化し続けています。悩み事や困りごとに対して、その時代のニーズ、背景にあわせ、柔軟に対応していくために、組織の改編を含めて体制作りの検討を進めていきたいと考えています。

 障害者施策関連で申し上げれば、心身障害児者の口腔衛生の維持について、横須賀市歯科医師会の全面的なご協力をいただいています。その拠点となっている三浦半島地域障害者歯科診療所は、手狭で老朽化していますので、ウェルシティ市民プラザへ移転することとします。また、休日緊急対応の歯科診療機能も併せて移転することで、市民の口腔衛生の維持に万全を期したいと思っています。

 その他、暮らしやすさにつなげる取り組みとして、身近にあるコンビニエンスストアを利用して、1年後の平成32年(2020年)2月から住民票の写しなどの証明書の受け取り、さらにその年の4月からは市税等の支払いができるよう準備を進めてまいります。

(子育て・保健・教育)

 私は、子育ては親だけではなく、近所の方、学校、商店街など、地域の大人がうまく関わり、社会全体で子どもを育てていくことが理想だと、常々考えています。子どもの成長を見守ることによって、周囲も幸せを感じるものなのだと思います。
 しかし、このような環境が全ての子どもたちに整うことは難しく、今も子育てについて、多くの不安や負担を抱えている家庭があるのも現実です。このような状況を改善し、保護者の方が子どもと安心して向きあえるような社会にしていくことが行政の役割であると、私は考えています。

 この10月から、国は3歳から5歳の全世帯と0歳から2歳の非課税世帯を対象に、幼児教育・保育の無償化を実施します。本市では、これに加え0歳から2歳の年収約500万円未満相当の世帯まで、独自に無償化を拡充してまいります。
 幼児教育・保育の無償化の実施にあたっては、受け入れ体制の強化も必要となります。保育士等の確保のため、市内の保育所等で働く経験年数7年以上で、所定の要件を満たす全ての保育士等に、国の制度に上乗せして、月額4万円の処遇改善を実施いたします。
 しかし、この処遇改善の取り組みは、私としては本意ではありません。かねてから申し上げているように、子育て・教育に関する基本的な部分は、ナショナル・ミニマムとして国が責任をもって取り組むべきことです。各自治体の競い合いとしてしまうと、小児医療費の無償化と同様、最終的には財政状況に余裕のある自治体が「勝つ」こととなり、地域間格差が拡大する一方となってしまいます。他都市では、隣接自治体が独自の処遇改善策を実施したがために、保育士不足が深刻なものとなった例がありました。横浜市も独自策を実施しています。このまま横須賀が手を打たなければ、本市も深刻な状況に陥る恐れが強く、横須賀市長として実施せざるを得ないと決断したものであります。
 また、病児・病後児保育については、冒頭で申し上げた(仮称)中央こども園での整備のほか、さらに施設を増やすための具体的な検討を進めてまいります。なお、神明公園に建設予定の新病院においても、うわまち病院と同様に病児・病後児保育を実施する予定です。
 訪問型病児・病後児保育についても、民間のベビーシッター事業者等が提供するサービス利用料の一部を助成する制度を創設いたします。
 さらに、公立保育園の3歳から5歳の子どもの主食は、各家庭からの持参としていましたが、新年度から保育園での提供を始めます。

 申し上げるまでもなく、これからは誰もが相互の人格や個性等を尊重し、支え合い、人々の多様なあり方を認め合える共生社会の実現が求められています。
 学校においては、さまざまな課題を抱え、支援や配慮を必要とする児童生徒数が、年々増加する傾向にあり、担任への負担が大きくなっています。
 このような状況を踏まえ、学校生活の介助や学習の支援、安全面の確保等の学習活動上のサポートとして、特別支援学級介助員や教育支援臨時介助員を配置しています。
 また、これまでの支援教育をより一層充実させていく中で、共に学び共に育つ、インクルーシブ教育システムを構築してまいります。
 いじめ・暴力行為等の問題行動や、不登校については、社会問題として取り上げられ、教育上の大きな課題となっており、具体的な手立てを講じていく必要があります。引き続き、スクールカウンセラーの配置やスクールソーシャルワーカーの派遣を行うとともに、教育相談体制を充実させ、いじめや暴力等の問題行動を起こす児童生徒や、さまざまな教育的ニーズを抱えている児童生徒とその保護者に対して、きめ細かな支援をしてまいります。
 中学校給食につきましては、旧平作小学校の解体工事を行うとともに、(仮称)横須賀市学校給食センターの整備運営を行う事業者を選定し、併せて、中学校校舎に昇降機・荷受室等の整備を行います。

 いよいよこの4月から、議員提案によるがん克服条例が施行されます。本市はこれまでも、横須賀市医師会、市内医療機関の多大なるご協力の下、がん対策について先駆的な取り組みを実施してきたと思っています。しかしながら、昨年12月定例議会で渡辺光一議員から、「医学の進歩によってがんは克服されつつあると言われることがあるが、侮ってはいけない。市長は心して取り組んでほしい」との、心からのご忠告もいただきました。
 がん対策には、決して侮ることなくしっかりと取り組んでまいりますことをお約束したいと思います。
 新年度では、中学校2年生の希望者を対象としたピロリ菌の検査と除菌を、新たに始めたいと考えています。

(総合計画)

 現行の横須賀市基本計画は、最終年度を平成33年度(2021年度)としています。平成34年度(2022年度)から新計画をスタートさせるために、平成31年度から見直し作業に着手したいと考えています。
 また、平成29年9月の私の所信表明演説において、基本計画の見直しをする際には、基本構想についてもあわせて見直しを行うことが適当と考えている旨、お伝えしたところですが、現在もその考えに変わりはありません。
 現在の総合計画は、数十年単位の長期の基本構想、十数年単位の中期の基本計画、3~4年単位の実施計画という3層構造で構成されていますが、変化のスピードが速い世の流れの中、このような構成と計画期間が適当であるのか、疑問に感じているところです。
 基本構想と基本計画は、市議会の議決事項となっておりますので、内容はもとよりそのあり様につきましても、市議会の皆さまと意見を交わしながら検討を進めてまいりたいと考えています。

(職員の意識改革)

 私は、職員に対してスピード感の重視という話を繰り返ししてまいりました。大変ありがたいことに、市役所が変わってきているという声もいただいているところです。
 しかし私は、市役所はもっともっと変わらなくてはならないと思っています。
 市役所の仕事は全て、「何が市民のためになるか」を常に意識して取り組む必要があります。これまで市役所は、計画行政を前提に業務を分担し、部門ごとに責任者を置いて取り組んできました。
 しかし、こうした組織のあり様は多岐にわたる業務を効率的に進めるには有意義であるものの、細分化され、縦割りが進んでいる現状では必ずしもその機能が十分に発揮されているとは言えません。
 与えられた業務に集中するあまり、今やっている仕事が、現在そして未来の市民のためになるのか、広い視野で考えている職員がどれだけいるでしょうか。それは幹部職員である部長や課長にも当てはまる問題です。
 目の前のことは一生懸命やるけれども、担当以外のことについては気づいていてもあずかり知らない、慎重になるあまり必要以上に多くの手順を踏みたがる、今となっては何のために定めたルールか分からなくてもそれに縛られている。
 こんな組織のままでは、横須賀の再興などまったくおぼつきません。
 私はこうした、市役所を覆う「負の企業風土」を抜本的に変えてまいります。
 固定観念、先入観を排し、仕事のやり方を根本から見直すことで、職員を縛っている無駄なルール、無駄な仕事を一切取り除きます。そして、もっと広い視野を持つことが本来の仕事なのだということを、今、横須賀市役所がどこを目指していこうとしているのかということを理解させるように、職員の意識を根底から変えていきます。
 私は、こうした意識改革で、職員が本来の「公僕」としてのあり方を取り戻し、市役所が新しい時代に合わせて変わっていくと確信しています。

(基地)

 次に基地についてです。
 昨年12月に、「平成31年度以降に係る防衛計画の大綱」いわゆる新たな防衛大綱が策定されました。
 大綱では、我が国を取り巻く安全保障環境は、格段に速いスピードで厳しさと不確実性が増しており、この現実を踏まえた真に実効的な防衛力として「多次元統合防衛力」の構築が掲げられたところです。
 こうした中でも、陸海空の自衛隊、防衛大学校、そして米海軍が所在する横須賀が、日本ひいては、地域全体の平和と安全保障にとって、極めて重要なまちであることに全く変わりはないと、私は認識しているところです。
 また、昨年は、日本各地で大きな災害が多発し、その対応として、多くの自衛隊員の方々が活動されました。
 この横須賀においても、万が一の災害時においては、非常に頼りになる存在であることは、いうまでもありません。
 本市に所在する自衛隊や米海軍が安全に、そして安定的に運用されることが重要であり、そのためにも、今後も引き続き、自衛隊や米海軍に対しては、きめ細かな調整を求めてまいります。
 一方で、米海軍基地や自衛隊施設が中心市街地や港湾の要所を占め、まちづくりに少なからず影響があることも事実です。
 市民生活の安全・安心の確保については当然として、国に対して、財政措置や地域振興策も含め、しっかりと求めてまいります。

(パートナーシップ制度への思い(差別の解消))

 かねてから、私が政治家を志したのは差別や偏見を解消したいという思いからと公言してまいりました。市長に就任して以来、これに加え、謂れない生活上の不便さを解消することも、私の責務であるとの思いも持つようになりました。差別や偏見を一朝一夕に解消することは難しいと思います。しかし、生活上の不便さの解消は、私たちの工夫や対応によって実現できることも多いのではないでしょうか。
 これらについて、知人から聞いた話が分かりやすいと思いますので、引用したいと思います。
 「知人の母親は人工肛門、いわゆるストマ患者で、ストマ患者になってからは、周囲の目が気になり、それまで好きだった温泉に行かなくなってしまった。その後、各温泉旅館には時間制の貸し切り風呂というサービスが導入されてきたので、ストマ患者仲間で旅行に行き、貸し切りの温泉を満喫することが、母親の楽しみになった」というものです。
 この話の根底にあるのが、実際にはそのようなことはない、ストマ患者が風呂に入ると湯が汚れるという、ストマというものへの理解不足による偏見です。そして、「ストマ患者なんだから、温泉などに来ずに、家の風呂に入っていればいいんだ」と周囲が思うことが差別で、ストマ患者が温泉に入れなくなることが、謂れない生活上の不便さです。
 差別を生じさせている原因は、この例のように理解不足による場合のほか、他者を貶めることによって相対的に自分を高い者と思い込みたいという願望、そうしなければ自分が貶められる側にされてしまうという恐れもあると思います。これらの解消は、一朝一夕には難しいことです。
 しかし、今回の例では、温泉旅館の対応によって状況が一変します。時間制貸切風呂というサービスの誕生です。
 誰かの不便さを解消しようとすると、それ以外の方にとってはかえって不便になることがある、そんな声を聞くことがあります。しかし、私はそうは思いません。万人に便利なことを考えればいいのです。今回の例でいえば、新たに始められたサービスが、ストマ患者専用風呂ではなく、誰でも利用可能な時間制貸切風呂としたことによって、全ての方の利便性が上がったと思います。
 このように不便さが解消されたことで、ストマ患者への差別そのものも解消されるのではないかと思います。

 本市は、パートナーシップ制度をこの4月から実施できるように準備を進めています。当事者の皆さまの気持ちに寄り添い、多様性を認め合う社会の実現、また社会の理解が進むことが期待されており、県内では初めてとなります。
 私たちの工夫や対応によって解消できる、謂れない生活上の不便さがある。そしてこれを解消することが、差別や偏見の解消にもつながることがある、そんな思いで進めていることです。どうか多くの皆さまにご理解をいただければと考えています。

(平成31年度予算編成)

 以上、平成31年度予算の特徴的な事業、私の思いなどを述べてまいりました。再興プランに掲げる誰も一人にさせないまちの実現に資する将来への投資であり、社会状況の変化や事業の効果などを踏まえ、スピード感をもった施策の展開を目指した予算案になったと思っています。
 平成31年度の一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は3,303億円、うち一般会計予算の総額は、1,666億円となりました。一般会計の財源不足を補てんする財政調整基金からの取り崩しは、56億円となり、平成30年度と比較して14億円増加しています。

(補正の概要)

 平成30年度の補正予算につきましては、歳入面では、地方交付税の算定結果を踏まえ、減収補てん債を追加計上することといたしました。
 歳出面では、国の補正予算に連動し、小中学校等の理科室などに空調設備等を導入するための経費を計上します。
 その他の補正は、年度末における整理が主な内容です。

(結び)

 「古き良き時代」という言葉があります。この言葉が使われるのは、過去に比べて今が住みにくいと感じられるときなのだろうと考えます。
 振り返りますと、昭和の頃には「大正浪漫」という言葉とともに、大正時代が暮らしやすかったと評価され、平成に入ると「昭和の香りがする」という表現によって、貧しかったけれども誰もが未来を明るいものと信じていた昭和を懐かしんでいました。
 この5月に、私たちは新たな時代を迎えます。この新たな時代を、古き良き時代として平成を顧みる必要がない、輝かしい時代にしたいと思っています。
 新たな時代の幕開けは、まさに目の前です。
 是非とも、新たな時代を輝かしいものとするために、皆さまに引き続きのご理解とご協力をお願いして、私の施政方針を終わります。

お問い合わせ

市長室秘書課
横須賀市小川町11番地 本館1号館3階 <郵便物:「〒238-8550 秘書課」で届きます>
電話番号:046-822-8118
ファクス:046-824-2610

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページは見つけやすかったですか?

このページは分かりやすかったですか?

このページは役に立ちましたか?