○横須賀市いじめ等の対策に関する条例
平成26年7月1日
条例第30号
横須賀市いじめ等の対策に関する条例をここに公布する。
横須賀市いじめ等の対策に関する条例
いじめは、許されない行為であり全ての学校において、いじめの未然防止や早期発見・早期対応に努めています。
また、体罰も許されない行為であり、学校では子どもの人権に関わる問題であることを認識し、信頼関係を基盤とした適切な指導を心掛けて、体罰の根絶に取り組んでいます。
さらに、学校においては、学校と子ども、保護者又は地域住民等との間で生じた様々な問題が多発し、これらを解決することに非常に苦慮しています。
このような状況を受けて、平成25年9月に施行されたいじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)の内容及び「横須賀市支援教育推進委員会」での議論を踏まえ、実効性のあるいじめ防止対策を進めていきます。併せて、体罰の根絶及び学校問題の解決を図る対策を進めることを目的に、横須賀の全ての子どもたちが、明るい笑顔で楽しく充実した学校生活が送れることを目指して、横須賀市いじめ等の対策に関する条例を制定することとします。
(目的)
第1条 この条例は、子どもが安心して学び、健やかな成長を実現する環境づくりを推進することにより、横須賀の全ての子どもたちが、明るい笑顔で楽しく充実した学校生活が送れることを目指し、明るく住みよい社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 市、学校、教育職員、保護者、市民及び関係機関は、それぞれの責務及び役割を自覚し、いじめ防止対策推進法(以下「法」という。)に基づくいじめの未然防止、早期発見及び早期対応(以下「いじめの防止等」という。)に努めるとともに、体罰の根絶及び学校問題の解決を図るため、主体的かつ相互に連携及び協力して、いじめ、体罰及び学校問題から子どもを守り、子どもが安心して学び、健やかな成長を実現する環境づくりの推進に取り組まなければならない。
(1) いじめ 子どもが一定の人間関係のある者から、心理的又は物理的な攻撃を受けたことにより、心身の苦痛を感じているものをいう。
(2) 体罰 教育職員が、子どもに対して叩いたり、蹴ったり、転ばせたりするなど、身体に対する侵害又は身体的苦痛を与えるような行為をいう。
(3) 学校問題 学校と子ども、保護者又は地域住民等との間で生じた、様々な問題をいう。
(4) 子ども 小学生、中学生及び高校生並びにいじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決の対象となる者をいう。
(5) 学校 市立の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
(6) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の子どもを現に監護する者をいう。
(7) 市民 次に掲げるものをいう。
ア 本市の区域内に住所を有する者
イ 本市の区域内に事務所又は事業所を有するもの
ウ 本市の区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者
エ 本市の区域内に存する学校に在学する者
(8) 関係機関 いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決の対応に関係する機関及び団体をいう。
(市の責務)
第4条 市は、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決を図るために必要な施策を講じなければならない。
(学校の責務)
第5条 学校は、学校全体でいじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に取り組まなければならない。
(教育職員の責務)
第6条 教育職員は、子どもに一番身近な立場から、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に取り組まなければならない。
(保護者の責務)
第7条 保護者は、いじめ、体罰及び学校問題を正しく認識するとともに、子どもに対し、いじめは許されない行為であることを説明し、これを十分に理解させるよう努めなければならない。
(市民の責務)
第8条 市民は、地域において子どもに対する見守り、声かけ等を行い、子どもが安心して過ごすことができる環境づくりに努めなければならない。
2 市民は、いじめ又は体罰を発見したときは、速やかに学校等に情報を提供するよう努めなければならない。
3 市民は、学校問題の解決に関して、学校等に対し、必要な協力をするよう努めなければならない。
(子どもの努め)
第9条 子どもは、自分を大切にするとともに他人を思いやり、いじめを許さない勇気を持ち、及び互いに仲良く生活できるよう努めなければならない。
(基本方針の策定)
第10条 市は、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決のための対策が総合的かつ効果的に行われるようにするための基本方針を作成するものとする。
2 前項に規定する基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決のための基本的な考え方に関すること。
(2) いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決のための基本的施策及び措置に関すること。
(3) いじめ、体罰及び学校問題による重大事態への対処に関すること。
(4) いじめ、体罰及び学校問題の対策のための体制に関すること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、いじめ、体罰及び学校問題のない社会を実現するために必要な事項
3 第1項の規定により基本方針を作成するに当たっては、法第11条第1項に規定するいじめ防止基本方針を参酌するものとする。
4 市は、第1項の規定により基本方針を策定したときは、これを公表するものとする。基本方針を変更した場合も同様とする。
(相談体制等の整備)
第11条 市は、いじめを未然に防止し、いじめから子どもを守るため、いじめに係る情報の一元化を図るとともに、子ども並びにいじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に関わる者が安心して相談ができるよう相談体制の整備を行うものとする。
(学校いじめ防止対策委員会)
第12条 学校は、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実行的に行うため、学校いじめ防止対策委員会(次項において「対策委員会」という。)を設置する。
2 対策委員会は、市民、教育職員、医療関係者その他校長が必要と認める者をもって組織する。
(関係機関等との連携等)
第13条 市は、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に向けての対策が関係者の連携の下に適切に行われるよう学校、教育職員、保護者、市民及び関係機関の間の連携の強化、関係機関への支援その他必要な措置を講ずるものとする。
(研修の充実)
第14条 市は、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に向けての対策が専門的知識に基づき適切に行われるよう、教育職員の能力の向上を図るための研修を整備するものとする。
(啓発活動)
第15条 市は、いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決の重要性に関する周知、いじめ、体罰及び学校問題に係る相談体制及び救済制度に関する広報その他啓発活動を行うものとする。
(いじめ、体罰及び学校問題に対する措置)
第16条 市民は、子どもからいじめ、体罰若しくは学校問題に係る相談を受けた場合又はいじめ、体罰若しくは学校問題を発見し、若しくは疑いがあると認めた場合は、学校へ通報するものとする。
2 学校は、前項の通報があった場合又は自ら、いじめ、体罰若しくは学校問題を発見した場合は、事実確認を行い、当該いじめ、体罰又は学校問題の解決を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
3 学校は、前項の規定により明らかとなったいじめ、体罰若しくは学校問題が解決した場合又はいじめ、体罰若しくは学校問題が速やかに解決することが見込めない場合は、その旨を市に報告するものとする。
5 学校は、いじめ、体罰又は学校問題が解決した場合は、当該いじめ、体罰又は学校問題の再発の防止を図るため、必要な措置を講ずるものとする。
6 前項に規定する措置を行うに当たって、市は学校に対し、必要な支援及び助言を行うものとする。
(横須賀市いじめ等課題解決専門委員会)
第17条 前条第4項に定めるもののほか、いじめ、体罰及び学校問題について、教育委員会の諮問に応ずるため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として、横須賀市いじめ等課題解決専門委員会(以下「専門委員会」という。)を設置する。
2 専門委員会は、学識経験者、医療関係者、福祉関係者及び人権擁護委員を含む10人以内をもって組織する。
3 専門委員会の委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 専門委員会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
5 前各項に定めるもののほか、専門委員会の運営について必要な事項は、規則で定める。
(専門委員会への協力)
第18条 市、学校、教育職員、保護者、市民及び関係機関は、専門委員会の活動に協力するものとする。
(財政的措置等)
第19条 市は、子どもの健やかな成長を実現する環境づくりの推進に当たっては、必要な財政的支援をするよう努めるものとする。
(個人情報の保護)
第20条 いじめの防止等、体罰の根絶及び学校問題の解決に関わる者は、個人情報の保護に十分留意し、正当な理由なく知り得た情報を他に漏らしてはならない。
(その他の事項)
第21条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会が定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。