○横須賀市建築物の解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例

平成30年3月29日

条例第40号

横須賀市建築物の解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例をここに公布する。

横須賀市建築物の解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 解体等工事の住民への周知等(第9条―第15条)

第3章 解体等工事の指導基準及び遵守基準(第16条―第20条)

第4章 解体等工事に係る手続(第21条―第29条)

第5章 雑則(第30条・第31条)

第6章 罰則(第32条・第33条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、建築物の解体等工事に係る計画の住民への事前周知に関し必要な事項等を定めることにより、紛争を未然に防止し、もって地域における良好な近隣関係を保持するとともに、生活環境の保全に資することを目的とする。

(対象行為)

第2条 この条例で対象となる周辺環境に影響を及ぼすおそれがあり、当該周辺環境に十分に配慮することを要する行為(以下「解体等工事」という。)は、次に掲げるものとする。

(1) 建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。以下同じ。)の解体工事(建築物のうち、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第1条第3号に規定する構造耐力上主要な部分の全部又は一部を取り壊す工事をいう。以下同じ。)ただし、当該工事に係る床面積の合計が80平方メートル未満のものについては、第3章の規定に限り適用するものとする。

(2) 大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)第2条第11項に規定する特定建築材料(以下単に「特定建築材料」という。)のうち同法第18条の17の規定に基づく届出が必要な特定建築材料(以下「飛散性アスベスト」という。)の除去等の処理工事

(令3条例46・一部改正)

(定義)

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 工事業者等 次のいずれかに該当する者をいう。

 発注者 解体等工事を発注する者をいう。

 工事施工者 解体等工事を行う請負人又は請負契約によらないで自らその工事を行う者をいう。

(2) 在住者等 居住する者、当該敷地において事業を営む者又は公共施設を管理するものをいう。

(3) 近隣住民 次のいずれかに該当する敷地の在住者等をいう。

 解体等工事を行う建築物の敷地の境界線から敷地までの水平距離が10メートル以内にあること。

 高さ(建築基準法施行令第2条第1項第6号に規定する高さをいう。以下同じ。)が10メートルを超える建築物(以下「中高層建築物」という。)の解体等工事を行う場合は、当該中高層建築物の外壁から敷地までの水平距離が当該建築物の高さの2倍の範囲内にあること。

(4) 周辺住民 建築物の解体等工事に伴う資材、廃材等の搬出経路及び工事関係車輌の通行に係る道路(搬出する場所から幅員が8メートル以上のものに至るまでに限る。)に接する敷地の在住者等で近隣住民に該当しないものをいう。

(5) その他住民 近隣住民又は周辺住民に該当しない住民をいう。

(6) 紛争 建築物の解体等工事に伴って生じる騒音、振動、粉じんの飛散等により日常生活に影響を及ぼされる近隣住民又は周辺住民と工事業者等との紛争をいう。

(適用除外)

第4条 次に掲げる行為は、次章及び第4章から第6章までの規定は、適用しない。

(1) 都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)第20条に掲げるもののうち、農業、林業又は漁業の用に供する建築物を自ら解体し、かつ、解体する建築物の外壁から10メートル以内に在住者等が存在しないもの

(2) 災害対策その他これに類する理由により緊急に解体等工事をする場合であって、公益上やむを得ないもの

2 国、地方公共団体その他規則で定めるものが行う解体等工事は、次章第4章及び第6章の規定は、適用しない。この場合において、工事業者等は、事前に市長と協議するものとする。

(市の責務)

第5条 市は解体等工事が適正に行われるようにするため、工事業者等に対し必要な措置を講ずるよう指導するものとする。

(工事業者等の責務)

第6条 工事業者等は、解体等工事を行うに当たっては、解体等工事に係る関係法令等を遵守するとともに、解体等工事に伴って生じる騒音、振動、粉じんの飛散等が周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮し、近隣住民及び周辺住民に対して真摯に適切な対応を行わなければならない。

2 工事業者等は、解体等工事を行う建築物に特定建築材料が使用されている場合は、関係法令等を遵守し、適正に処理しなければならない。

(令3条例46・一部改正)

(近隣住民及び周辺住民の責務)

第7条 近隣住民及び周辺住民は、工事業者等から解体等工事の説明がなされるときは、当該説明を真摯に受けるよう努めなければならない。

(自主的解決)

第8条 紛争が生じた場合にあっては、その紛争の当事者である近隣住民又は周辺住民と工事業者等は、相互の立場を尊重し、自主的に解決するよう努めなければならない。

第2章 解体等工事の住民への周知等

(解体等工事計画の届出)

第9条 工事業者等は、次条に規定する標識の設置までに、規則に定める解体等工事計画届出書を市長に提出しなければならない。

(令2条例23・一部改正)

(標識の設置等)

第10条 工事業者等は、解体等工事の住民への周知を図るため、当該解体等工事の予定地の見やすい場所に、解体等工事の完了する日まで、規則に定める標識(以下「標識」という。)を設置しなければならない。

2 工事業者等は、前項の規定により標識を設置したときは、直ちに近隣住民に、第14条に掲げる説明項目の内容を記載した書面(以下「解体等工事説明ちらし」という。)を配付しなければならない。ただし、解体等工事説明ちらしの配付を行わないことについて、やむを得ない理由があると市長が認めるときは、この限りでない。

(令2条例23・一部改正)

(標識設置の開始)

第11条 標識は、少なくとも、次の各号に掲げる解体等工事の区分に応じ、当該各号に定める日より前に設置しなければならない。

(1) 解体工事に係る床面積の合計が1,000平方メートル以上の建築物(以下「大規模建築物」という。)の当該解体等工事 解体等工事の着手日の30日前

(2) 飛散性アスベストを含むもの(前号に該当するものを除く。) 解体等工事の着手日の14日前

(3) 前2号に掲げるもの以外のもの 解体等工事の着手日の7日前

(令2条例23・一部改正)

(近隣住民及び周辺住民への説明)

第12条 工事業者等は、近隣住民に解体等工事説明ちらし配付後に、説明会等の直接説明を行わなければならない。ただし、説明会等の直接説明を行わないことについて、やむを得ない理由があると市長が認めるときは、この限りでない。

2 前項の規定による説明は、次の各号に掲げる解体等工事の区分に応じ、当該各号に定める方法により真摯に行うものとする。

(1) 大規模建築物の解体等工事 説明を行う日時、場所等について、近隣住民及び周辺住民に文書等により通知をし、説明会を開催する方法。ただし、説明会による説明を行わないことについて、やむを得ない理由があると市長が認めるときは、その他適切な方法により行うことができる。

(2) 飛散性アスベストを含む解体等工事及び都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる工業地域又は工業専用地域以外の地域における鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であるものの解体等工事 近隣住民に直接説明を行う方法

(3) 前2号に掲げるもの以外の解体等工事 近隣住民から、当該建築物の解体等工事について、文書により第14条に掲げる説明項目について説明を求められた場合は、当該説明を求めた者に対し直接説明を行う方法

(令2条例23・一部改正)

(周辺住民又はその他住民への説明)

第13条 工事業者等は、周辺住民又はその他住民から、当該建築物の解体等工事について、解体等工事着手前までに文書により次条に掲げる説明項目について説明を求められた場合は、当該説明を求めた者に対して直接説明を行うよう努めなければならない。

(説明項目)

第14条 第12条の規定による説明の項目は、次に掲げるものとする。

(1) 建築物の位置及び隣接建築物との位置関係の概要

(2) 建築物の規模、構造及び建築した年

(3) 発注者及び工事施工者

(4) 工期、解体方法、作業時間、作業内容等

(5) 安全対策及び騒音、振動、粉じん等に対する公害防止対策

(6) 作業範囲、資材、廃材等の搬出経路及び工事関係車輌の通行経路

(7) 建築物に使用されている特定建築材料の有無並びに特定建築材料の適正な処理対策

(8) 当該解体等工事に係る連絡先

(令2条例23・令3条例46・一部改正)

(説明報告書等)

第15条 工事業者等は、第12条及び第13条の規定により解体等工事着手前までに実施した近隣住民、周辺住民及びその他住民への説明について、次に掲げる事項を記載した報告書(以下「説明報告書」という。)を市長に提出しなければならない。

(1) 説明の実施日

(2) 説明を受けた近隣住民、周辺住民及びその他住民の住所及び氏名

(3) 説明を行った者の氏名

(4) 説明の内容

(5) 説明に対して出された意見

(6) 出された意見に対する措置又は工事業者等の考え方

(7) その他市長が必要と認めるもの

2 工事業者等は、第12条第1項の規定により説明会を開催したときは、前項の規定により説明報告書を提出するとともに、次に掲げる事項を記載した報告書を市長に提出しなければならない。

(1) 説明会の開催日

(2) 説明会の開催場所

(3) 説明会に参加した人数

(4) 説明を行った者の氏名

(5) 説明の内容

(6) 説明に対して出された意見

(7) 出された意見に対する措置又は工事業者等の考え方

(8) その他市長が必要と認めるもの

第3章 解体等工事の指導基準及び遵守基準

(作業時間等)

第16条 日曜日及び国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日は解体等工事を行わないよう努めるものとする。

2 解体等工事は、午後5時から翌日の午前8時までの時間内は行わないよう努めるものとする。

(家屋等の事前調査)

第17条 工事業者等は、大規模建築物については、周辺環境に影響を及ぼすおそれがある範囲について、工事施工前の状況を把握する建物事前調査(以下「家屋等の調査」という。)を行うよう努めるものとする。

2 前項に関連する近隣住民、周辺住民及びその他住民は、家屋等の調査に協力するよう努めるものとする。

(解体等工事の遵守事項)

第18条 工事業者等は、解体等工事を行うに当たっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 特定建築材料が使用されている解体等工事は、関係法令等を遵守し、特定建築材料の適正な処理を行うものとする。

(2) 発注者又は請負契約によらないで自らその工事を行う者は、飛散性アスベストの除去等の処理工事について、規則で定めるところにより、大気中のアスベスト濃度等に関する測定計画(以下「測定計画」という。)を作成し、大気汚染防止法第18条の17の規定による届出に併せて提出するものとする。

(3) 工事施工者は、測定計画に基づき解体等工事を行う建築物の敷地の境界線において大気中のアスベスト濃度等を測定するものとする。

(4) 第2号の規定による届出をした者は、解体等工事を行う建築物の敷地の境界線における大気中のアスベスト濃度等の測定結果を市長に速やかに提出するものとする。

(令3条例46・一部改正)

(解体等工事の配慮事項)

第19条 工事業者等は、解体等工事を行うに当たっては、次に掲げる事項に配慮するよう努めるものとする。

(1) 解体等工事用の建設機械を使用する場合は、低騒音かつ低振動型のものを使用するとともに、建設機械の整備不良により異常な騒音又は振動が発生しないよう点検及び整備を行うものとする。

(2) 当該工事現場周辺への公衆災害の防止、防音、防じんのため、原則として仮囲い、養生シート等を設けるとともに、十分な危害防止の措置を講ずるものとする。

(3) 粉じん等が発生するときは、丁寧な解体等作業を行い、散水等適切な措置を行うものとする。

(4) 作業現場への資機材の搬出入又は工事関係車輌の作業音等については、近隣住民及び周辺住民に配慮し作業を行うものとする。

(5) 工事関係車輌が出入りする際は、通行人等の安全確保を図るため、誘導員等を配置するものとする。また、工事等の内容により、必要に応じ要所に誘導員等を配置するものとする。

(6) 前各号に掲げるもののほか、近隣住民等への説明に対して出された意見があり、近隣住民の生活に著しい影響を与えると想定される場合は、防音シート、防音パネル等の設置やその対策を立てるとともに、月間工程表又は週間工程表を作成することにより工事予定を詳細に説明するものとする。

第20条 削除

(令3条例46)

第4章 解体等工事に係る手続

(市長との協議)

第21条 工事業者等は、第23条の規定により工事着手を届け出るに当たり、前章に規定する解体等工事の指導基準及び遵守基準に関する事項についてあらかじめ市長と協議しなければならない。

(工事着手の制限)

第22条 工事業者等は、第9条第10条第12条第15条前条及び次条に規定する手続を完了しなければ、解体等工事に着手することができない。

(工事着手の届出)

第23条 工事業者等は、解体等工事に着手しようとするときは、市長に工事着手届を提出し、及び標識に着手期日を記載しなければならない。

2 前項の工事着手届には、規則で定める図書等を添付しなければならない。

(計画の変更等)

第24条 工事業者等は、第14条に掲げる説明項目の内容に変更が生じた場合は、近隣住民並びに当該解体等工事について説明を行った周辺住民及びその他住民に周知するとともに、市長に報告しなければならない。

(工事完了の届出)

第25条 工事業者等は、解体等工事が完了したときは、速やかに市長に工事完了届を提出しなければならない。

(状況等の報告)

第26条 市長は、この条例に定めるもののほか、必要があると認めるときは、工事業者等に対し、当該解体等工事に関する状況等について報告を求めることができる。

(勧告)

第27条 市長は、次の各号のいずれかに該当する工事業者等に対して、行為を停止し、又は違反を是正するために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第9条第10条第12条第15条及び第21条に規定する手続を行わずに解体等工事に着手した者

(2) 第18条第2号に規定する測定計画に関する書類を提出しない者

(3) 第18条第3号の規定による測定をしなかった者

(4) 第18条第4号に規定する測定結果を提出しない者

(公表)

第28条 市長は、前条に規定する勧告を受けた者が、正当な理由なくその勧告に従わないときは、次に掲げる事項を公表することができる。

(1) 勧告に従わない者の住所及び氏名又は法人の所在地及び法人名

(2) 勧告の対象である建築物の解体等工事の所在地

(3) 勧告の内容

(4) その他市長が必要と認める事項

2 市長は、前項の規定により公表を行うときは、事前に横須賀市土地利用基本条例(平成17年横須賀市条例第47号)第13条第1項第1号に規定する横須賀市土地利用調整審議会(以下「審議会」という。)に諮問し、意見を聴かなければならない。ただし、当該公表に緊急を要し、審議会の意見をあらかじめ聴くことができないときは、この限りでない。

3 前項ただし書の規定により第1項の規定による公表をしたときは、市長は審議会に対し、公表した事実等の概要及び当該事実等の公表に緊急を要した理由を報告しなければならない。

(命令)

第29条 市長は、工事業者等が第27条に基づく勧告に従わない場合においては、行為を停止し、又は相当の期間を定めて違反を是正するための措置を執ることを命ずることができる。

第5章 雑則

(立入調査)

第30条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、解体等工事の区域内及び工事施工者事務所に立ち入り、又はその命じた者に立ち入らせて、調査を行うことができる。この場合において、工事業者等はこれに協力しなければならない。

(規則への委任)

第31条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

第6章 罰則

(罰則)

第32条 第29条の規定に基づく市長の命令に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2 正当な理由がなく、第23条に規定する着手届又は第25条に規定する完了届を提出しない者は、5万円以下の過料に処する。

(両罰規定)

第33条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前条第1項の違反行為をしたときは、その違反行為を行った者を罰するほか、その法人又は人に対して、同項の罰金刑を科する。

 抄

(施行期日)

1 この条例は、平成30年7月1日から施行し、同年8月1日以降に着手する解体等工事について適用する。

(令和2年3月24日条例第23号)

この条例は、令和2年7月1日から施行する。

(令和3年6月23日条例第46号)

この条例は、令和3年7月1日から施行する。

横須賀市建築物の解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例

平成30年3月29日 条例第40号

(令和3年7月1日施行)

体系情報
第13類 まちづくり/第1章
沿革情報
平成30年3月29日 条例第40号
令和2年3月24日 条例第23号
令和3年6月23日 条例第46号