○横須賀市歯及び口腔の健康づくり推進条例

令和2年6月30日

条例第45号

横須賀市歯及び口腔の健康づくり推進条例をここに公布する。

横須賀市歯及び口腔の健康づくり推進条例

むし歯及び歯周病に代表される歯科疾患は、その発病、進行により欠損や障害が生じ、その結果として歯の喪失につながるため、食生活や社会生活等に支障をきたすとともに、歯周病が全身の健康に影響を与えるものとされている。

また、高齢者や要介護者における調査においても、口くう衛生状態の改善や、咀嚼そしゃく能力の改善を図ることが、誤えん性肺炎の減少や、認知機能低下の予防、日常生活動作の改善に有効であることが示されている。

そのため、歯及び口腔の健康を保つことは、単に食物を咀嚼するという点からだけでなく、食事や会話を楽しむなど、豊かな人生を送るための基礎となるものであり、市民が健康な生活を送ることのできる地域社会の実現に向け、積極的な取組みを行っていくために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、歯及び口腔の健康づくりの推進について基本理念を定め、市民、市、歯科医療関係者、保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等、医療保険者及び事業者の役割を明らかにするとともに、歯及び口腔の健康づくりに関する施策について基本的な事項を定め、総合的かつ計画的な推進を図り、もって市民の生涯にわたる健康の保持増進に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 歯及び口腔の健康づくりは、市民自らがその意義を自覚し、生涯にわたって取り組むものであり、その施策は、医療、保健、福祉、教育その他食育等の関連施策との有機的な連携を図り、関係者の協力を得て、市民の自主的な取組みを促進することを旨として、推進されなければならない。

(市民の役割)

第3条 市民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、歯及び口腔の健康づくりについて理解を深め、必要に応じて県、市、事業者等が実施する歯科健診(健康診査又は健康診断において実施する歯科に関する健診をいう。以下同じ。)その他の事業及び施策を活用し、歯及び口腔の健康づくりに積極的に取り組むよう努めるものとする。

(市の責務)

第4条 市は、基本理念にのっとり、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

2 市は、前項の施策を実施するに当たっては、歯科医療関係者その他関係者と連携し、及び協力して行うものとする。

(歯科医療関係者の責務)

第5条 歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士その他の歯科医療又は歯科保健指導に係る業務に従事する者は、職務を遂行し、適切な歯科医療又は歯科保健指導を行うよう努めるとともに、基本理念にのっとり、市が実施する歯及び口腔の健康づくりに関する施策の推進に協力するものとする。

(保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等、医療保険者及び事業者の責務)

第6条 保健医療関係者、福祉関係者、教育関係者等は、基本理念にのっとり、市民の歯及び口腔の健康づくりの推進及び他の者が行う歯及び口腔の健康づくりに関する活動との連携及び協力を図るよう努めるものとする。

2 医療保険者は、基本理念にのっとり、市内の被保険者が歯科健診及び歯科保健指導(以下「歯科健診等」という。)を受けるための機会を確保し、歯及び口腔の健康づくりに関する取組みを推進するよう努めるものとする。

3 事業者は、基本理念にのっとり、市内の事業所で雇用する従業員が歯科健診等を受けるための機会を確保し、歯及び口腔の健康づくりに関する取組みを推進するよう努めるものとする。

(基本的施策)

第7条 市は、前2条に規定する者と連携し、基本理念にのっとり、8020運動を推進するとともに、ライフステージの特性に応じた歯及び口腔の健康づくりに関する取組みを推進するため、次に掲げる施策を実施するものとする。

(1) 歯及び口腔の健康づくりに関する情報の収集及び提供を行うこと。

(2) 歯科と医科及び薬局が適切に連携し、周術期等及び訪問診療における歯及び口腔の健康づくりに関する取組みを推進すること。

(3) 乳幼児期から高齢期まで生涯にわたるフッ化物応用等の効果的なむし歯予防対策を推進すること。

(4) 乳幼児期から高齢期まで適時、定期的に歯科健診等を受けるための機会の確保に関する取組みを推進すること。

(5) 妊娠期における歯科疾患の予防対策を推進すること。

(6) 乳幼児期におけるむし歯予防及び口腔機能の健全な発達に関する取組みを推進すること。

(7) 学齢期における歯及び口腔の健康づくりに関する教育を推進すること。

(8) 成人期における歯周病予防対策を推進すること。

(9) 高齢期における口腔機能維持及び向上に係るオーラルフレイル予防に関する取組みを推進すること。

(10) 口腔に発生するがん等の対策に関すること。

(11) 歯科健診等又は歯科医療を受けることが困難な障害児、障害者及び介護を必要とする高齢者等に係る歯及び口腔の健康づくりを推進すること。

(12) 歯及び口腔の健康づくりの観点から、食育及びたばこ対策の推進並びに糖尿病その他生活習慣病の予防等を推進すること。

(13) 災害歯科保健医療に係る体制の整備及び取組みを推進すること。

(14) 歯及び口腔の健康づくりに関するボランティア活動に携わる市民の増加を図り、その活動を支援すること。

(15) 歯及び口腔の健康づくりに関する調査及び研究を推進すること。

(16) 前各号に掲げるもののほか、歯及び口腔の健康づくりに関し必要な取組みを推進すること。

(歯及び口腔の健康づくりの推進に関する計画)

第8条 市長は、歯及び口腔の健康づくりに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、歯及び口腔の健康づくりの推進に関する計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。

2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 基本理念にのっとり推進する歯及び口腔の健康づくりに関する基本的な方針、目標等

(2) 歯及び口腔の健康づくりに関する具体的な取組み等

(3) 前2号に掲げるもののほか、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、推進計画を策定し、又は変更したときは、これを公表するものとする。

(財政上の措置)

第9条 市は、歯及び口腔の健康づくりに関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和2年10月1日から施行する。

横須賀市歯及び口腔の健康づくり推進条例

令和2年6月30日 条例第45号

(令和2年10月1日施行)