○横須賀市市民協働推進条例
平成13年3月30日
条例第3号
横須賀市市民協働推進条例をここに公布する。
横須賀市市民協働推進条例
明るく住みよい、生き生きとした地域社会を築きたい、自然に恵まれた、美しく健康的な環境を次の世代に引き継ぎたいというのは、私たち横須賀市民の心からの願いです。
しかし、時代の大きな変化に伴う市民ニーズの個性化や多様化、社会が直面するさまざまな困難な課題を考えれば、そうした理想のまちづくりが、一方的な要求や他人任せで実現できるものでないことは言うまでもありません。一人ひとりの市民が、まず自分自身が社会のために何ができるかという自立精神や公共精神を問い直すことが出発点となるでしょう。そのうえで、個々の市民、さまざまな市民公益活動グループや団体、企業その他の組織、それに市や関係機関が、相互にそれぞれの存在意義を理解し尊重し合い、対等の立場で連携、協力し、互いの足りない点を補いつつ持てる力を発揮する、真のパートナーシップによる「市民協働」がこれからのまちづくりの基本になると確信します。
わが国では地方分権が推し進められる一方で、平成10年12月には特定非営利活動促進法が施行され、市民の公益的活動やNPO(民間非営利組織)に対する期待が大きく高まっています。
横須賀市民の間でもさまざまな市民公益活動が展開され、その特性といわれる自主性、先駆性、機敏性、専門性、多様性、地域性、広域連帯性等を発揮した、重要な市民公益活動が行われています。
横須賀市では、横須賀市基本構想(平成9年3月25日議決)の中に、まちづくりの推進姿勢として「市民協働によるまちづくり」を位置付け、さまざまな施策を展開しています。
今後は、市民による自発的な活動や市民公益活動の意義を一層深く認識し、その自主性、自立性を尊重しながら、節度のあるパートナーシップをもって、市民協働によるまちづくりを推し進めることにより、将来にわたって市民が誇りの持てる個性豊かな地域社会の実現を目指して、ここに、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、市民協働の推進に関する基本理念を定め、市民、市民公益活動団体、事業者及び市が対等な立場で、お互いに良きパートナーとして役割を分担し、公益の増進を図り、もって魅力と活力ある地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「市民協働」とは、市民、市民公益活動団体、事業者及び市がその自主的な行動のもとに、お互いに良きパートナーとして連携し、それぞれが自己の知恵及び責任においてまちづくりに取り組むことをいう。
2 この条例において「市民公益活動」とは、市民及び事業者の自発的な参加によって行われる公益性のある活動をいう。ただし、次に掲げるものを除く。
(1) 専ら直接的に利潤を追求することを目的とする経済活動
(2) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする活動
(3) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とする活動
(4) 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
3 この条例において「市民公益活動団体」とは、市民公益活動を行う団体をいう。
4 この条例において「公益性」とは、不特定多数の者の利益その他の社会の利益をいう。
5 この条例において「事業者」とは、営利を目的とする事業を行う個人又は法人をいう。
(基本理念)
第3条 市民、市民公益活動団体、事業者及び市は対等の立場でそれぞれの責務及び役割を理解し、市民協働型社会の発展に努めなければならない。
2 市民、市民公益活動団体、事業者及び市は、市民協働を推進するため、情報を共有するとともに、相互に参加及び参画を図らなければならない。
3 市は、市民公益活動の自主性及び自立性を尊重しなければならない。
4 市の市民公益活動団体に対する支援は、公益性に基づき、公正に行われなければならない。
(市民の役割)
第4条 市民は、前条の基本理念に基づき、自己が暮らす社会に関心を持ち、身の回りのことについて、自らできることを考え、行動するとともに、まちづくりに進んで参加し、又は参画する意識を持つよう努める。
2 市民は、前条の基本理念に基づき、市民公益活動に関する理解を深め、その活動の発展及び促進に協力するよう努める。
3 前2項の市民の役割は、強制されるものではなく、個々の市民の自発性に基づいて行うものでなければならない。
(市民公益活動団体の役割)
第5条 市民公益活動団体は、第3条の基本理念に基づき、自己の責任のもとに市民公益活動を推進し、その活動が広く市民に理解されるよう努める。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、第3条の基本理念に基づき、地域社会の一員として、市民協働に関する理解を深め、自発的にその推進に努める。
2 事業者は、市民公益活動団体がまちづくりに果たす役割の重要性を十分理解し、自発的に支援するよう努める。
(市の役割)
第7条 市は、第3条の基本理念に基づき、市職員に対する市民協働に関する啓発、研修等を実施して、職員一人ひとりによる市民協働の重要性の認識を深めるよう努める。
2 市は、市民協働を推進するため、市民、市民公益活動団体及び事業者の参加及び参画を得て事業を行う等の適切な施策を実施するよう努める。
3 市は、市民協働事業の計画から実施、検証にわたるすべての段階で、その情報を原則として公開しなければならない。
4 市は、市民公益活動が活発に行われる環境の整備等の適切な施策を実施するよう努める。
(財政的支援)
第8条 市は、市民公益活動団体に対しその活動を促進するため、予算の範囲内で、助成金の交付等の財政的支援(以下「財政的支援」という。)をするよう努める。
2 市民公益活動団体及び市長は、財政的支援の手続きに係る書類又はその写しを一般の閲覧に供しなければならない。
3 財政的支援を受けた市民公益活動団体は、これを既得権とすることはできない。
4 前3項に定めるもののほか、財政的支援に関する事項は、規則で定める。
(行政サービスにおける参入機会の提供)
第9条 市は、市民公益活動団体に対しその活動を促進するため、専門性、地域性等の特性を活かせる分野において業務を委託する等の行政サービスへの参入機会の提供をするよう努める。
(登録制)
第10条 前条の参入機会の提供を受けようとする市民公益活動団体は、次に掲げる書類を添付した申請書を市長に提出して、あらかじめ登録を受けなければならない。この場合において、当該市民公益活動団体には、代表者を含め役員を3人以上置くものとする。
(1) 規約又は会則(以下「規約等」という。)
(2) 役員名簿
(3) 会員名簿
2 前項第1号の規約等には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 設置目的
(2) 団体の名称
(3) 市民公益活動の内容(その活動に係る事業の内容を含む。)
(4) 事務所又は活動の拠点の所在地
(5) 役員及び会員に関する事項
(6) 会計に関する事項
(7) その他団体の運営に関する事項
3 市長は、第1項の申請が市民公益活動団体の要件に適合すると認めたときは、当該団体を登録し、その申請の内容について公開するものとする。
4 前項の規定により登録された市民公益活動団体は、申請書又は添付書類の内容に変更があったとき又は解散したときは、速やかに市長にその旨を届け出なければならない。
(1) 第2条第2項ただし書に規定する活動を行ったとき。
(3) 第1項後段に規定する役員の定数を充足することができなくなったとき。
(審議会)
第11条 次に掲げる事項を担任するため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として横須賀市市民協働審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
(1) 市民協働の推進及び進ちょくに関すること並びに市民協働に関する助成の在り方について、市長等の執行機関の諮問に応じ、審議し、及び答申すること。
(2) 地方税法第314条の7第1項第4号の規定により控除対象となる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を指定するための基準及び手続を定める条例(平成24年横須賀市条例第37号)の規定による特定非営利活動法人の指定に関することについて、市長の諮問に応じ、審議し、及び答申すること。
(3) 前2号に掲げる事項について、調査審議し、市長等の執行機関に意見を述べること。
2 審議会は、委員15人以内をもって組織する。
3 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱し、又は任命する。
(1) 公募市民
(2) 市民公益活動団体関係者
(3) 事業者
(4) 学識経験者
(5) 市職員
(6) その他市長が適当と認める者
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前4項に定めるもののほか、審議会の運営について必要な事項は、規則で定める。
(平24条例37・一部改正)
(その他の事項)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、平成13年7月1日から施行する。
附則(平成24年6月29日条例第37号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成24年7月1日から施行する。