職員のナレッジ可視化に向けた実証実験を実施しました
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社との連携により、市役所庁舎内からの問い合わせ対応における市会計課職員の暗黙知(※)を可視化する実証実験を実施しました。
本実証は、通話録音データからナレッジデータを作成し、庁舎内事務の効率化を推進することを目的としています。
※職員が経験の中で身に着けたノウハウやベテラン職員の経験に基づく勘どころ、判断のポイント、文書化されていない業務上のコツや知見のこと。
1.背景
人材不足が社会課題となる中、全国の自治体においては住民ニーズが多様化している側面もあり、限られたリソースでいかに効率的に業務を遂行し、行政サービスを提供できるかが問われています。特に事務業務の効率化が急務となっており、生成AIなどを活用したDX推進などでその課題に取り組む自治体が増えています。
横須賀市の総務事務センターの支援を行っていたパーソルビジネスプロセスデザインが、コンタクトセンターでの暗黙知をAIに連携した成功事例の知見を持っていたことから、横須賀市職員の暗黙知をデータとして学習させ可視化していく方法を検討しました。 そこで、まずは問い合わせ件数が多く専門知識を要するためナレッジ作成が困難だった会計課において、庁舎内からの問い合わせ通話の録音データをテキストに起こし、ナレッジデータとして蓄積することで課題解決を図る実証実験を実施しました。
2.実証内容の概要と結果
通話録音データの収集・テキスト化、ナレッジ下書き生成
- 実証内容
会計課職員の電話機に簡易通話録音装置を接続し、職員が電話対応を行う際の通話音声データ(問い合わせ時の言い回し、質問や回答の切り分けなどの暗黙知)を収集しました。生成AIを活用しながら録音音源の文字おこしを行いました。
- 結果
総録音件数:1,427件 ナレッジ作成有効録音数:870件
KCS手法※を活用した分析・構造化
- 実証内容
テキスト化された通話データを用いて、問い合わせの応対およびナレッジマネジメントプロセスを有人で疑似的に実施し、ナレッジ採掘(新規登録、再利用、更新)を行いました。
- 結果
ナレッジ化件数:499件(ナレッジ作成有効録音数に対するナレッジ作成率:57%)
うち、利用頻度の高い「高頻度利用ナレッジ(問い合わせの多い内容)」件数:156件
※KCS(Knowledge Centered Service):コンタクトセンターで得られる、顧客体験ややり取り(ナレッジ)をオペレーターが構造化し、データとしてデータベースに反映・蓄積し、それを再利用することで、顧客満足度の向上や業務効率化を実現する仕組み。
| 実証実験期間 |
2025年10月14日(火曜日)から2026年2月16日(月曜日)まで 録音は2か月間(40日) |
| 録音対象電話数 |
3台 |
| 通話録音データ件数 |
1,427件
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| 採掘ナレッジ件数 |
499件(高頻度利用ナレッジ件数:156件/低頻度ナレッジ件数:343件)
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■ナレッジ化におけるパーソルビジネスプロセスデザイン株式会社の強み
問い合わせ対応のナレッジ化では、問い合わせ内容とナレッジが必ずしも1対1で合致するケースばかりではありません。いくつもある問い合わせ内容のパターンに対して、問い合わせ者が本当に求めているナレッジをつなぎ合わせられるように対応者がさまざまな角度で応対を行います。その対応者の持つナレッジも含めてデータベースを構築できる点がパーソルビジネスプロセスデザイン株式会社の強みです。

3.ナレッジの活用
今回の実証で可視化を通して、
・会計課電話業務の実態(入電/架電件数、対応部署、対応時間、対応内容、発生頻度)
・問い合わせ者の体験(問い合わせ背景・質問・状況)
・会計課職員の暗黙知(判断ポイント・切り分け・解決方法)
を可視化することができました。
また、今回の実証実験で生成された「高頻度利用ナレッジ」のうち、一部をFAQ化し、職員向けに展開しているチャットボットへ取り込みました。
4.今後の展望
今回の実証実験では職員が電話対応で発した暗黙知を可視化・構造化することができました。今後も、生成AIの学習や分析を効率的に活用するために必要なデータ基盤を構築し、市の業務改善を図っていきます。
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