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更新日:2021年2月16日

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令和3年(2021年)2月15日施政方針

令和3年(2021年)2月15日(月曜日)令和3年 3月定例議会本会議

施政方針

(はじめに)

 本日、令和3年度(2021年度)予算案および関連諸議案を提案いたします。任期の最後の施政方針であり、またこのような時期に述べることとなったことは、非常に感慨深いものがありますので、まずは、現在の思いを少し述べさせていただきます。
 昨年は、全世界がコロナ対応に明け暮れた年となりました。
 改めまして新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に心からのお悔やみを申し上げます。また罹患された方々に対しましてお見舞い申し上げますとともに、1日も早いご回復をお祈り申し上げます。
 そして、わが国で感染が初めて確認されて以降、一年以上もの長きにわたり、最前線で緊張を強いられながらコロナ感染症の対応に懸命にご尽力いただいている医療・保健・福祉関係の皆さまに、心からの感謝を申し上げます。皆さまのご尽力により、横須賀市では懸念されていた医療崩壊を起こすことなく、市民に対し万全の医療体制を提供することができております。
 また、昨年設置した新型コロナウイルス感染症緊急対策基金への寄付をはじめ、マスクやガウン、消毒液など衛生用品の寄付に続き、学生向けや年末の緊急食料支援にご協力をいただいた皆さま、本当にありがとうございました。皆さまの深いご厚情により、大変多くの市民の方々が笑顔を取り戻すことができました。
 そして、感染拡大を防ぐためのマスクの着用や外出の自粛、公共施設の利用制限など、様々な負担や我慢のお願いに対し、忍耐強くご理解とご協力いただいているすべての皆さまに感謝を申し上げます。
 市議会においても、臨時議会の開催や新型コロナウイルス感染症対策検討協議会の開催など、機動的に対応していただきありがとうございます。
 私自身も、横須賀の市政をお預かりする身として、その負託に応えるべく、常に最悪の事態を想定しながら、その時その時にできる最善の策を、迅速に実行してきたつもりです。
 一昨年、令和の始まりを目前に控えた施政方針の中で、私は方丈記の一節を述べました。それは物語の中から、地震や大火などの自然災害に加え、飢饉や疫病など人知を超えた厄災からの無常感、そして生きることの尊さを知るということを、自らの原点にしていたからです。しかしまさかこの令和のはじまりに、鎌倉時代と同じように、このような厄災に社会が襲われるとは、全く想像していませんでした。
 今、このコロナ禍において強く思うことは、私たちの生活や社会は、いかに連綿と積み重ねられた多くの先人や先達たちの筆舌に尽くしがたい苦難や犠牲の上に成立してきたのかということです。人類はこれまで幾度もの感染症との戦いを、見事に克服してきましたが、それは単に感染症に打ち勝つというだけではなく、同時に未来に向けた新たな価値を常に創造し、社会に進化をもたらしてきました。
 私自身、改めてかつての先達たちに感謝と尊敬の念を抱くとともに、次の世代に向け、社会を切り開いていく責任と責務を痛感しております。
 感染症との戦いは、まだまだ続きます。しっかりと気を引き締めて市民の安全・安心を第一に取り組みを進めてまいりますが、同時に横須賀の未来の為に、感染症収束後を見据えた準備を当然ながら着実に行っていかなければなりません。
 こうした課題に速やかに、かつ、果断に取り組んでまいりますので、引き続きご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

(令和3年度予算の提出にあたって)

 私は常々、時代はものすごいスピードで変わっていると申し上げてきました。令和の時代に入りそのスピードがさらに加速し、そしてこのコロナ禍において加速度的にますます速くなっていると感じています。
 科学や医療が目覚ましく進化している21世紀の現代において、全世界が未知のウイルスにこれほどまでに振り回されるとは誰が想像できたでしょう。
 世界の感染者総数は1億人を超える状況でかつてない規模の感染症に対し、一市長ができることには当然限りがあり、忸怩たる思いに駆られることもありますが、私には、市民の生命と財産を守る責務があり、皆さまのご協力をいただきながら、これからも必要な対策を全力で進めてまいります。
 これまでコロナに関する施策として、次亜塩素酸水の配布に始まり、抗体検査の実施やPCRセンターの設置、家賃補助に加えプレミアム付き商品券の発行、商工会議所の発行するプレミアム付き電子チケットへの協力など、様々なことを実施してまいりました。
 その中で過日、神奈川県の疫学調査の方針が大きな話題となりましたが、メッセージで発信したとおり、感染拡大防止の観点からは、疫学調査は非常に重要であると考えています。
 全国いずれの自治体においても、保健所業務はひっ迫していて、横須賀市も例外ではありません。しかし、市内の感染状況に応じた適切な疫学調査が行えるよう、全庁を挙げての応援体制を構築していますので、これからも、感染拡大防止、市民の皆さんの不安解消のため、積極的な疫学調査に取り組んでまいります。
 当然ながらこれらの疫学調査を可能にするためには、十分な検査体制の維持は欠かすことはできません。
 このためこれまでどおり、帰国者・接触者相談センターにおける電話相談、横須賀PCRセンター、横須賀第2PCRセンター、および、横須賀小児PCRセンターにおける検査は、継続してまいります。
 また、先ほど申し上げました、新型コロナウイルス感染症緊急対策基金には、これまで7,400万円を超える寄付をいただくことができました。更には経済的に困難な状況となられた方々への緊急食料支援には、想像を遥かに超える非常に多くの企業や個人の方々が自ら協力を申し出てくださいました。
 この難局を乗り越えていくためには、民間・行政の垣根を越えて、この横須賀が一致団結していかなければならないと思っていましたが、こうして多くの皆さまのご協力をいただきながらオール横須賀で取り組めていることは、言葉に表現できないほど非常にありがたく、また、これほど心強く思えることはありません。
 横須賀市は必ずこの難局を乗り切ることができると確信をしています。そして、私が目指す、地域循環型社会の実現に、また一歩、近づいたとも感じています。
 ただ、このように行政として、万全の感染症対策の実施は当然のことですが、同時に経済的に困難な状況となっている市民の方々の生活と、低迷する地域経済をしっかりと支えていく役割に加え、収束したのちの準備を遅滞なく進めていかなくてはなりません。
 経済的なダメージにより、横須賀市の財政運営は厳しくなっておりますが、まずは、内部管理コストを徹底的に見直すことで財源をねん出し、全力で市民生活と地域経済を支えるとともに、ダメージを受けた経済の回復に向けて、この時期に様々な仕掛けづくりと準備を行ってまいります。
 そしてコロナが収束した暁には、いち早く、回復の軌道に乗せていきたいと決意しております。
 こうした思いを込めるとともに、横須賀再興プランの最終年度として総仕上げを行うことを念頭に、令和3年度予算を編成いたしました。

(新型コロナウイルス感染症対策)

 まずは、横須賀市におけるコロナ対策についてです。
 今までは、感染拡大防止を第一として、密をさける、接触機会を減らす、そして検査体制を充実させることに力を注いできました。
 これからはコロナ禍に打ち勝つために、ワクチン接種を始めます。この取り組みは、コロナ禍で初めての攻めの取り組みです。
 横須賀市では、昨年、いち早く接種の費用を市議会で認めていただきました。
 現在、庁内体制づくり、接種会場の確保、予約システムの構築、および、コールセンターの設置など、市役所が一丸となって準備を進めています。
 国内でワクチン接種が可能となった際には、横須賀市医師会、医療機関と連携し、迅速かつ安全に一日も早く多くの市民に接種していただけるよう、準備を進めてまいります。
 議員の皆さんにも、ぜひ、市民への接種の情報発信にご協力をお願いします。
 なお、4月からは、これまでコロナ対応を行っていた担当部を廃止しますが、今まで以上に全庁一丸となって、コロナ対策に取り組み、より迅速に、より機動的に対応してまいります。

(横須賀らしいコミュニティ)

 次に横須賀らしいコミュニティについてです。
 コロナ禍において、地域のお祭りなど多くの行事も中止となり、皆さんも少し物足りなさを覚えたかもしれません。
 しかし、そのような中でも、我が横須賀が誇るすばらしい地域コミュニティの活動は、途絶えることなく行われています。
 コロナ禍の影響で、修学旅行など学校行事の多くも中止になりましたが、子どもたちの思い出づくりの場を提供しようと、町の歴史や自然に親しむ見学ツアーや、ガイドブックを手作りで用意し、町の今昔をたどるウオークラリーを企画していただいた地域もありました。
 このように、常に、できることを行っていただけていること、人を思いやる気持ちに感銘を受けましたし、誰もが不安に思っている時だからこそ、人に頼ったり、頼られたりすることができることの素晴らしさなど、改めて、地域コミュニティの大切さを実感したところです。
 こうした横須賀らしい地域コミュニティをさらに活性化し、後世に残す取り組みを行ってまいります。
 現在、小学校を拠点とした地域コミュニティの強化のため、モデル校での活動を支援しているところですが、こうしたモデル校での活動や地域での先進事例を紹介することで、子どもから高齢者まで様々な世代の交流を多くの地域に広げてまいります。
 また、「他人事」を「我が事」として、地域住民が主体的に地域課題を解決していく、住民相互の支え合いも必要です。住民が支え合い、安心して快適に暮らせる地域共生社会を実現するため、「横須賀市地域福祉計画」に基づく施策を推進してまいります。
 さらに、横須賀の地形を活かした地域コミュニティの再生として、アーティスト村の創出があります。これまで、3名の芸術家の方にお越しいただき、地域と一体となった活動の盛り上がりが見られるようになりました。
 令和3年度は、さらにもうお一人、芸術家をお招きするとともに、創作活動の拠点として、より多くの芸術家の方にも活用していただけるスペースを整備し、地域との交流が、より深められるように事業を進めてまいります。

(福祉施策の充実)

 次に福祉施策の充実です。
 このコロナ禍での、福祉分野における大きな課題として、自殺者の増加には、大変心を痛めています。
 自殺対策については、悩みのある方がまずは相談してもらえるよう、支える人材の養成や情報発信などに、より一層力を入れてまいります。
 また、感染者とその家族などに対する誤解や偏見による誹謗中傷などの差別被害があとを絶たず、非常に強い憤りを覚えています。
 差別はあってはならないことです。人を思いやる気持ちを忘れないでというメッセージを、あらゆる手段で伝えていきます。
 是非、皆さんには、誤った情報には決して振り回されず、正しい情報で正しい判断をしていただきたいと思います。
 昨年4月に、ほっとかんに開設した「福祉分野の総合相談窓口」では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて生活に困窮されている方も含め、様々なご相談をお受けしています。
 来年度は、さらに、必要な人が福祉サービスにつながりやすくなるよう、福祉施策を一覧化したガイドの作成や福祉に特化したLINEアカウントを運用した相談受付を行ってまいります。
 あわせて、福祉部に「生活支援課」を新設し、「生活福祉課」との2課で相互に協力し、生活にお困りの方の支援を行います。
 障害のある方がより適切なサービスを受けられるための支援として、地域における相談支援の中核的な役割を担う、障害者基幹相談支援センターを「ほっとかん」に設置し、相談支援体制の充実を図ってまいります。
 また、市役所の障害者ワークステーションで働く職員を増やすとともに、障害のある中学生を対象とした農業就労体験を新たに行うなど、障害者の就労支援を行います。
 ひきこもり状態にある方への支援としては、令和2年度から実施しているアウトリーチおよび就労支援に加え、居場所づくりの事業を新たに実施します。
 自立支援・介護予防のための取り組みとしては、地域ケア個別会議を実施し、より効果的な介護予防サービスを提供するための事例検討や地域課題を抽出するなど、住み慣れた地域での生活を支える仕組みづくりを進めます。
 あわせて、地域介護施設の整備などに要する費用の助成も行います。
 地域住民の困りごとに対する相談体制も充実してまいります。
 これまで田浦行政センターと浦賀行政センターに常設の相談窓口を設置しており、地域の皆さんには非常に喜んでいただいています。
 今後は全行政センターに、常設の地域生活相談窓口として広げていくこととし、来年度は、久里浜・西行政センターに新設します。
 また、健康管理意識の向上や行動変容を促すための取り組みとして、幼児期から高齢期までのライフステージに応じたオーラルケアを推進し、健康寿命の延伸を図ります。
 来年度は、4歳、5歳の園児を対象とした、集団フッ化物洗口、および、40歳以上の市民を対象としたオーラルフレイル予防教室を拡充します。

(子育て環境と学びの充実)

 次に子育て環境と学びの充実についてです。
 まずは、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援についてです。
 妊娠や不妊等の悩みを持つ方に対して、令和2年度はLINE相談をモデル的に始めましたが、非常に使いやすいというお声をいただきました。今後も気軽に相談できる体制を継続していくとともに、不妊治療を行う方への助成を拡充してまいります。
 出産直後のお母さんの心身のケアや育児をサポートするための産後ケアについては、双子などを育てるお母さんの利用料金を引き下げ、より利用しやすいようにします。また、サービスを提供していただいている事業者のご苦労に応えられるよう、委託料を増額してまいります。
 あわせて、ウェルシティ市民プラザの託児室を活用した、一時預かり事業を始めるとともに、様々な子育て支援の機能を併せ持った拠点施設となる「(仮称)中央こども園」の整備を着実に進めます。
 ほかにも、待機児童の解消に向けた取り組み、保育士の確保に向けた取り組み、放課後児童対策の推進など、子育てしやすい環境づくりを行います。
 そして、いよいよ給食センターが完成し、中学校完全給食が始まります。9月下旬からの開始を目指し、準備を進めてまいります。
 コロナ禍により、子どもの学力について不安に思われている方もいらっしゃると思います。
 令和2年度の臨時休校で学習が遅れたことへの対応として、学習支援員を追加で配置するほか、「横須賀市学力向上推進プラン」に基づいて、子どもの学力を向上させる取り組みをあわせて行います。
 さらに、「横須賀市GIGAスクール構想整備計画」に基づいて、すべての児童生徒に端末を配布し、今後、授業に活用してまいります。また、学校教育部に「教育情報担当課」を新設し、ICT機器を有効に活用できるよう取り組んでまいります。
 海洋教育も充実させてまいります。
 海洋人材の育成を目指して実施する「海洋クラブ」では、これまでは小学生を対象としていましたが、中学生も対象に加えて実施します。
 また、世界的な課題となっている海洋プラスチックごみ問題に対して、市民や事業者、海洋関連の研究機関などと連携・協力して取り組みを進めてまいります。
 なお、横須賀市に本部を置く海洋研究開発機構(JAMSTEC)が令和3年に設立50周年を迎えることから、これを横須賀市全体でお祝いする式典、講演会を開催するとともに、これまで以上に連携を深めていきたいと思います。

(経済振興)

 次に、経済の振興についてです。
 中小企業の活性化なくして、横須賀市経済の復活はありえないと、繰り返し申し上げてまいりました。
 コロナ禍においては、事業の継続を下支えする取り組みを進めてきたところです。
 今後も、横須賀市の経済を支える中小企業等の支援のため、市内発注をさらに拡大し、人手不足の解消や雇用の促進を図るとともに、事業承継に対する支援などを継続して実施し、関係団体と協力しながら、横須賀市の再興のために力を尽くしていきたいと思います。
 コロナ禍で、企業の働き方が大きく変わりました。テレワークの導入が進み、会社に通勤する必要がなくなり、コワーキングスペースなどで仕事をする方が増えています。
 こうした動向を踏まえ、市内でのテレワーク拠点の整備に対する助成を行います。
 また、コロナ禍で大きな影響を受けた市内飲食業を支援するため、マルシェの開催など、キッチンカーを活用した支援事業を継続して行います。今後、1万メートルプロムナードに展開するなど賑わいの創出にも繋げていきたいと思います。
 また、「おいしい食」を生かした地域経済の振興も継続して行っていきます。新たにオンラインを活用した「よこすか野菜」の企画や情報発信を行うとともに、市内生産者などが直接販売を行うトラック市を開催し、地産地消を推進します。
 もう一つ、海洋都市の象徴ともなる事業としてポートセールスがあります。多くの物流企業が集まる展示会において、横須賀港をPRし、横須賀港への貨物船などの誘致を推進します。
 また、今年の夏に就航予定の北九州とのフェリーについては、将来にわたり、横須賀市の地域経済の活性化の柱になると考えております。
 これまで、市の対応に至らない点があり、混乱を招いてしまった部分があるかと思いますが、今後は、より一層丁寧な対応に努め、横須賀の経済、観光に寄与する取り組みとなるよう進めてまいります。

(観光立市推進に向けて)

 次に観光立市の推進に向けた取り組みについてです。
 まずは、昨年12月に、住友重機械工業さんから無償でご寄付いただくことが決定した、浦賀レンガドックの活用を進めてまいります。
 改めて、住友重機械工業の関係者の皆さまに対し深く感謝を申し上げます。
 浦賀レンガドックは言うまでもなく、日本はもとより、世界の経済発展に大きく寄与してきたものであり、当時の姿そのままに、現在でも本物の迫力、魅力で見る者を圧倒します。
 今後の活用方法はこれからの検討となりますが、この貴重な財産を、海洋都市横須賀の象徴として、市民が愛し、全国に誇れるような施設としていきたいと考えています。
 また、横須賀製鉄所の副首長の官舎をイメージして復元した、「よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸」がオープンする予定です。
 この施設をルートミュージアムの核として最大限活用し、昨年思うように果たせなかった横須賀市のプロモーション活動を再開させ、横須賀を訪れる多くの方々に、その魅力を存分に味わっていただきたいと思っています。
 ルートミュージアム全体として、ICTなどを活用した周遊の促進やインスタグラムを活用した情報発信などを展開していきます。
 先ほどの、浦賀レンガドックをはじめとして、千代ケ崎砲台跡の公開を行い、猿島砲台跡などと一体となった史跡東京湾要塞跡を活用するとともに、浦賀奉行所跡の発掘調査により資料を収集し、歴史遺産を未来に継承していきます。
 また、市内外の団体や事業者と連携し、お土産の開発・製造・販売に関する提案をいただき、横須賀の魅力が向上するような新たなお土産の開発を支援してまいります。
 スポーツによる集客促進、まちづくりについては、「横浜F・マリノス」の練習拠点が令和4年度に一部供用開始となります。
 これを見据え、横浜F・マリノスと連携した地域との取り組み、久里浜地域の商店街が行うスポーツを活用したイベント開催や雰囲気作りなどの主体的な取り組みを支援し、スポーツによるまちの再興や地域への集客を促進します。
 世界最高峰の大会であるウインドサーフィンワールドカップは、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら今回は中止となりましたが、国内大会を開催することで、これまでに積み重ねてきた機運の維持・向上を図ろうと考えています。フェスティバルの開催、ナショナルチーム強化練習会の誘致など、新たな事業を展開していきます。
 eスポーツやアーバンスポーツの推進では、施設の開設準備や大会の誘致、市内高校のeスポーツ部の活動の支援を行います。
 横須賀市がeスポーツやアーバンスポーツの聖地と言われるよう、取り組んでまいります。
 そして、今年は、第32回全国「みどりの愛護」のつどいが中央公園で開催されます。全国「みどりの愛護」のつどいは、「みどりの日」制定の趣旨を踏まえ、全国のみどりの愛護団体が一堂につどい、都市緑化意識の高揚を図る全国規模の式典です。
 この式典を成功させるため、国や県とも連携し、全国から集まっていただく関係者の皆さまに、横須賀の魅力を感じていただき、心に残る素晴らしい大会となるよう、盛り上げていきたいと思います。

(都市基盤の整備)

 次に、都市基盤の整備についてです。
 様々な関係者のご協力のもと、コロナ禍においても、まちづくりは着実に進んでいます。
 とりわけ、横須賀の玄関口である追浜のまちづくりは、これまでに無いようなスピードで様々な事業が進んでいます。
 追浜駅前の再開発は、都市計画決定から約40年間、第2街区の事業が止まっていましたが、いよいよ都市計画変更の手続きが行われ事業化が進んでいきます。
 追浜公園周辺では、国道357号の延伸に関連する工事が着々と進められており、その近くを通るたびに開通後の姿を想像し、胸が躍り、ワクワクする気持ちになります。
 開通した後は、国道16号と追浜駅前の交通結節点となる部分の機能強化や駅周辺の地域交流拠点の形成が重要となります。
 この交通結節機能の強化については、国への要望を重ねた結果、国土交通省横浜国道事務所と横須賀市が事務局となる検討会が設置されました。この検討会において、早期の事業計画の策定を目指しているところです。
 まちの将来像を示すための「追浜駅周辺グランドデザイン」の策定を進めるほか、国の支援をいただきつつ、横須賀市として事業計画の策定や地元権利者との調整などについて、全力で取り組んでまいります。
 次に、東海岸沿いの1万メートルプロムナードは、横須賀の道の象徴となることを目指し、これまで活性化策を展開してきました。平成町のよこすか海岸通りでは、既存のモニュメントを生かしたアートのストリートキャンバスなどを展開します。
 これまでの事業とこれからの事業を計画的に進めていくため、リニューアル基本計画を作成し、今後もハード、ソフト事業ともに進めていきます。
 また、市内屈指の桜の名所である走水水源地を、都市公園として通年開放することによって、1万メートルプロムナードのさらなる活性化を図るとともに、横須賀水道発祥の地をPRします。
 さらに南に目を向けますと、拠点市街地の久里浜では、新市立病院の建設に向けた準備がいよいよ具体化します。三浦半島の拠点病院としての機能をこれまで以上に発揮できるように進めてまいります。
 先ほども述べましたが、横浜F・マリノスの練習拠点整備については、スポーツを核とした新しい街の姿が見えてきました。追浜の横浜DeNAベイスターズとも連携した取り組みとあわせ、スポーツによるまちづくりを推進してまいります。
 そして、西地域でも、大きく事業が動いています。
 長井海の手公園・ソレイユの丘では、官民連携によるPark-PFIを活用し、ソレイユの丘のポテンシャルを最大限に発揮できるよう、整備を進めていきます。
 地域の拠点として、さらには三浦半島を代表する観光交流拠点として、これまで以上に誰からも愛され、そして求められる、ワクワクできる都市公園を目指します。

(デジタル・ガバメントの推進)

 次にデジタル・ガバメントの推進です。
 デジタル・ガバメントの推進は、市民サービスを向上させるだけではなく、厳しい財政状況の中、人材や財源を生み出すことに大きく期待しています。
 令和2年度は、窓口の改革、キャッシュレス決済導入、RPA導入、民間企業との共同実験など、様々な事業を展開しています。現在、作業中の事業もありますが、市民の利便性は確実に向上しており、加えて市役所の業務を見直すことができました。
 また、昨年7月には、民間と自治体で業務経歴がある方をICT戦略専門官として採用し、これまでのICTに関連する業務委託内容の見直しや、これからの事業展開の検討などに取り組んでもらいました。
 これまでの取り組みの結果として、システムの精査による経費の最適化が進み、この危機的状況に心強い味方が来てくれて、大変、ありがたく感じています。
 来年度も一気にデジタル・ガバメントを進めます。
 これらの施策を着実に実施するため、現在の「情報システム課」を「デジタル・ガバメント推進室」と統合し、情報システムの効果的かつ効率的な整備・運用や庁内のデジタル化をより一層推進させます。
 ICTを利活用したサービスの向上や業務の効率化は、もちろん、デジタル・ガバメントを推進する職員の育成も行うとともに、多様な行政ニーズに対応できる人材を育成するため、eラーニングシステムを導入し、職員のスキルアップの機会を増やし、行政サービス全体の向上につなげていきます。

(ファシリティマネジメントの推進)

 次に、ファシリティマネジメントについてです。
 横須賀市では、市議会からの提言も踏まえ、令和元年度に、「FM戦略プラン」を策定し、以来1年半、内部調整に取り組んでまいりました。
 公共施設の再編は、ファシリティマネジメントの観点からすると、将来的に予測されている更新費用を軽減する有効な手段のひとつですが、地域の皆さんにとっては、直接的に受ける施設サービスの在り方が大きく変わる可能性があるものです。
 このため、重要な取り組みであるにも関わらず、総論賛成、各論反対となる傾向が強く、再編にあたっては困難に直面することも予想されますが、しかし、社会情勢や市の財政状況が非常に厳しくなってきている中、これまでの議論からさらに一歩踏み込んで、スピード感を持った施設の再編を強く推し進めていかなければなりません。
 公共施設の再編は、待ったなしの状況です。FM戦略プランで掲げた方向性に基づき、再編の対象とする施設、実施時期などの具体化を図り、実行に向けた歩みを思い切って進めてまいります。

(基地について)

 陸・海・空の自衛隊、防衛大学校、そして米海軍横須賀基地がある横須賀が、安全保障上、いかに重要なまちであるかという私の考えについては、これまでも繰り返し、発言してきたところです。
 新型コロナウイルスが初めて確認され、昨年1月には都市封鎖(ロックダウン)された中国湖北省武漢市の様子が、連日のように大きく報道されました。
 新型コロナウイルスは、大変恐ろしい。蔓延させてはならない。
 おそらく全国の首長や議会が、強くその事を決意した時期ではないかと思います。私も当然同様でありました。
 また、横須賀が武漢市のような状況になったら、日本の防衛、安全保障はどうなるのか。「横須賀で決して感染爆発を起こさせてはならない」
 自衛隊と米海軍が所在するまちの首長として、その責務を強く再認識したことを覚えております。
 自衛隊、米海軍との間では、常に新型コロナウイルスに関する情報共有を行うなど、緊密に連携を図ってまいりました。私自身も直接お会いする機会は減りましたが、電話やテレビ会議を通じ、意見交換を重ねました。
 今回のように、事態が日々変化し、終わりが見えない、まさに有事ともいえる状況においては、お互いの顔が見える強い信頼関係に基づいて、協力して対応していくことこそが、重要であると考えたからです。
 現在、自衛隊員、米軍関係者に限らず、横須賀市でも多くのコロナ感染者が確認されていますが、自衛隊そして米海軍は、感染者が発生した際の対応は徹底されています。
 接触の疑いのある者を広く特定・隔離し、検査を繰り返していると聞いています。それは、人の命を守ると同時に、運用上の支障が生じることが、決して許されないためであります。
 今現在も、日本だけでなく、世界全体が新型コロナウイルスの渦中にあります。
 このような状況下でも、日本の自衛隊、そして米海軍の活動は、日本そして地域の平和と安定のために、常に継続されているという事実の重要性を改めて認識しているところであり、今後も引き続き横須賀市に所在する防衛施設が、市民の理解を得ながら、安全かつ安定的に運用されるべきであると考えております。
 一方で、それらの防衛施設が、中心市街地や港湾の要所を占め、まちづくりに少なからず影響があることも事実であります。
 市民生活の安全・安心の確保は当然として、国に対しては、横須賀の重要性を再認識していただいた上で、財政的措置や地域振興も含め、しっかりと求めてまいりたいと思います。

(令和3年度予算編成)

 以上、令和3年度予算案の特徴的な事業、横須賀への思いなどを述べてまいりました。
 コロナ禍を乗り越えていくため、新型コロナウイルス感染症対策を第一に、福祉・子育てなどの様々な支援を行いながら、収束後には一気に回復できるように様々な種をまく、そして力強く横須賀を再興していくための予算案になったと思います。
 令和3年度の一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は3,138億円、うち一般会計は1,595億円となりました。一般会計の財源不足を補塡する財政調整基金からの取り崩しは、これまでで最も少ない38億5千万円に抑えることとしました。

(補正の概要)

 令和2年度の補正予算につきましては、歳入面では、コロナの影響による税収の減に対応するため「減収補てん債」、および、「調整債」を追加計上することといたしました。
 歳出面では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関連して、その対応が急がれるもののほか、国の補正予算に伴う事業の前倒し、浦賀レンガドックに関連する経費、および、年度末における整理を行います。

(結び)

 私は今年の言葉に「希望」と「和合」を選びました。
 昨年は、コロナで先行きが不透明な中、言いつくせぬ不安と分断に、世界中が覆われていました。
 感染症は、いつの時代も人類の脅威でありましたが、幾度となくそれを克服してきました。きっと今年はこのコロナを見事に克服し、希望をもって、新しい輝く未来へと、人類は歩みを進めることができるはずです。
 また「和合」とは、共に分け隔てなく親しみ合うことを意味します。
 人は一人では生きていくことができません。会いたくても会えないコロナ禍で、心と心のつながりは、これまで以上に大切にしなければならないのではと、その思いを強くした方も多かったことと思います。
 変化や多様性を受け入れ、助け合い、分かち合える希望に満ちた社会、私はそれが「誰も一人にさせないまち」であると考えますが、こうした社会を皆さんと一緒に作っていける素晴らしい一年にしたいと、決意を新たにしたところです。
 希望の光は見えてきています。十年後、コロナで失ったことよりも、コロナで得たことの方が多かったと、そんな言葉がここ横須賀で交わされるよう、「希望」と「和合」を旗印に掲げ、この危機に全力で立ち向かっていきます。
 市民の皆さん、市議会議員の皆さんとともに、新たな横須賀の歴史を刻んでいきたいと思いますので、これまで以上のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の施政方針を終わります。

お問い合わせ

市長室秘書課
横須賀市小川町11番地 本館1号館3階 <郵便物:「〒238-8550 秘書課」で届きます>
電話番号:046-822-8118
ファクス:046-824-2610

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