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更新日:2022年4月14日

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令和4年(2022年)2月14日施政方針

市長施政方針の概要(広報よこすか令和4年4月号掲載)はこちら(PDF:1,328KB)

令和4年(2022年)2月14日(月曜日)令和4年 3月定例議会本会議

施政方針

(はじめに)

 本日、令和4年度(2022 年度)予算案および関連諸議案を提案いたします。2期目最初の施政方針ということもあり、各事業の説明の前にまずは、この予算案に込めた思いを少し述べさせていただきます。
 コロナとの戦いは今、尚、続いておりますが、皆さんご承知の通り、昨年は、全世界がコロナ対応に明け暮れた年となりました。横須賀市においても、市民の皆さんには多くのご辛抱と大変な我慢をおかけしました。改めまして、これまでのご理解とご協力に、深く感謝を申し上げたいと思います。とりわけ医療・保健・福祉に従事されている方々をはじめ、市民生活を支えていただいているエッセンシャルワーカーの皆様の、連日連夜に渡るこれまでのご尽力に、心からの御礼を申し上げます。
 本当にありがとうございました。
 市議会におかれましても、臨時議会の開催や計33 回にも及ぶ新型コロナウイルス感染症対策検討協議会を通じ、迅速かつ的確な様々なご対応をいただきました。重ねて御礼を申し上げる次第です。
 私たちの生活を一変させた新型コロナウイルスですが、国内で感染が初めて確認されてから2年余りが経過しました。この間、様々な変異ウイルスの出現により感染拡大の波を繰り返し、今まさに第6波として爆発的に感染者が増えている状況です。
 しかし、この2年間で我々が勝ち得、これまでと異なることは、ウィズコロナの時代に向け、ウイルスと戦う術が確実に増えているということです。
 まずは、何よりも、ワクチン接種があげられます。現在、3回目の接種を、全力を挙げて進めています。横須賀市は、希望する全ての方が2回目の接種から6か月で接種が受けられるよう、接種時期の前倒しを既に実施しています。
 今後、さらに、一人でも多く、一刻も早く接種を受けていただけるよう、接種のスピードを最大限に上げていく予定です。
 また、ワクチンのほかにも経口薬が承認されたことに加え、中和抗体薬療法は、既に多くの患者さんに実施されています。これらはすべて、市と医師会や病院会との固い連携により実施できているものであり、ご協力いただいている医療機関の皆様には、心から感謝しております。
 現在、これまでにない速さで感染者が増えていることで、医療のひっ迫の度合いが増し、保健所の業務もこれまでの対応から変更せざるを得なくなっておりますが、亡くなられた方や重症の患者の発生は、これら種々の対策の効果により、第5波の時と比較して、確実に抑えることができております。
 これらの見地から、人類がこのウイルスを克服し、また新たな時代を迎えることができる日は、そう遠くないものと確信しております。
 ただ、それまでの間は当然のことながら、最大限の感染拡大防止対策の継続をお願いしていかなければなりません。関係する皆様のお力添えをいただきながら、市役所職員も一丸となって、この難局に当たっていき、未来に向け着実に、市政を前に進めていきたいと考えています。
 そこで、私は今年の言葉に「新流」を選びました。新しい流れと書いて「新流」です。昨年は、決してコロナだけに終始していたわけではなく、北九州へのフェリー就航をはじめ、多くの新しい流れを横須賀に生み出すことができました。今年はさらに、これまでにない新しい流れを生み出し、発信していく決意です。そしてこのような新しい流れを契機に、横須賀への注目を高め、投資を呼び込み、多くの人に訪れていただくことで、地域経済に好循環を作り出したいと考えています。これらの新しい流れが様々な形で種となり、実を結び、最終的には将来、今年が横須賀発展の第2章の始まり、第2の開国の元年だったと呼ばれるような年にしたいと思っています。

(YOKOSUKA ビジョン2030・再興プランについて)

 今年は、市民の皆さん、市議会の皆さんとともに策定を進めてきた新たな基本構想・基本計画「YOKOSUKAビジョン2030」がスタートします。
 このビジョンでは、希望ある豊かな横須賀を目指し、未来像として、「変化を力に進むまち。横須賀市」を掲げました。
 また、同時に、未来像の実現に向け、主な取り組みを示した、第2期の「横須賀再興プラン」もスタートします。
 この新たな横須賀再興プランでは、これまでと同様、横須賀ならではの個性や魅力を最大限に生かすため、「海洋都市」、「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」、「個性ある地域コミュニティのある都市」の3つのグランドデザインのもと、取り組みを進めてまいります。
 あらためて、横須賀の海は、マリンスポーツなどに適した環境、東京湾と相模湾それぞれの個性ある景観、近代日本の礎となった歴史を持ち、国内外の物流拠点となる港や世界最先端の研究開発機関などがある、他都市でも類のない特別な存在です。
 この「海」という可能性に満ちた資源を、最大限に活用する「海洋都市」。
 また、音楽やスポーツ、エンターテイメントには、誰の心にも響く普遍的な魅力と、人々を元気にして、にぎわいを生み出す力があります。
 海や自然、歴史、文化、農水産物など、横須賀の多様な地域資源を融合させて、新たな魅力を創造することで、人や投資を呼び込み、市民が夢や希望を持つことができる「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」。
 そして、人と人とのつながりが強い横須賀の強みを生かし、子どもから高齢者まで様々な世代が交流できるやさしいまち、また、谷戸や高台という地形的な特徴を個性と捉え、まちづくりに生かす、「個性ある地域コミュニティのある都市」。
 これらの3つのグランドデザインのもと、第1期のプランで生まれてきた新しい流れを市民の皆さんに実感していただくとともに、これまでの取り組みを進化させ、さらなる民間との連携や投資を呼び込み、地域経済への好循環を創り出し、より一層の福祉の充実を図っていきます。
 そして、横須賀で暮らす全ての人々がお互いを認め合い、慈しみあい助け合うことのできる「誰も一人にさせないまち」の実現に向け、本プランにより、新たなステージの取り組みを進めてまいります。
 令和4年度の予算は、これら「YOKOSUKAビジョン2030」「横須賀再興プラン」の計画初年度として確実な一歩を踏み出すことを念頭に置き、編成しています。
 以上、令和4年度当初予算における私の思いを、まずはご説明させていただきました。
 続けて、この予算における主な事業を、「横須賀再興プラン」の最重点施策である柱に沿い、新規拡充事業を中心にお話させていただきます。

(柱1:地域で支え合う福祉のまちの再興)

 第1の柱は「地域で支え合う福祉のまちの再興」です。
 団塊の世代が後期高齢者になる2025 年は、すぐそこに来ています。
 65 歳以上の高齢者人口の割合は今後も増加し、単身世帯の割合も増えていくと予測しています。
 年齢を重ねればなおさら、小さくても日々の困りごとをきっと誰もが抱えていることと思います。また、制度の狭間で手を差し伸べることができていないこと、目が行き届かなくて困っていることもきっとあるのではないかと考えています。
 そこで、次の再興プランでは、高齢者をはじめとした市民が抱える不安を解消し、困りごとの解決に確実につなげていく体制を強化してまいります。
 まず、地域で様々な困りごとを抱える方がいつでも相談できるよう、すでに4つの行政センターに設置している地域相談窓口を新たに衣笠と北下浦行政センターにも開設し、悩みごと、困りごとをしっかりと受け止めてまいります。今後さらに未設置の行政センターへの設置を進め、どこの行政センターでも相談できる体制を構築してまいります。
 また、これまでは、担当セクションごとに相談窓口が分かれていて、市民は困りごとの内容に合わせて異なる相談先に行かなくてはなりませんでした。
 こうした行政目線での組織体制を改め、子どもから高齢者まで分けることなく相談できるよう、民生局の組織体制を改変し、保健師の地区担当制を導入してまいります。これにより行政の制度をまたがるような課題にも、これまで以上のスピード感をもって対応してまいります。
 次に、支え合いの地域づくりです。
 地域の暮らしは、登下校時の子どもの見守り、ひとり暮らしの高齢者のサポートなど、地域に住む方々の支え合いで保たれています。
 しかし、人口減少や少子高齢化、意識の変化によって、こうした地域社会の仕組みは過渡期を迎えています。住み慣れた地域で暮らし続けるために、住民同士が助け合う地域社会の実現に向け、コミュニティの基盤を強化していきます。
 まず、地域資源の発掘や地域活動とのマッチングを行う「生活支援コーディネーター」と多様な関係者が参加する「地域支え合い協議会」を市全域に広げ強化してまいります。
 これにより、地域住民をはじめ、さまざまな主体が連携するネットワークの構築や住民主体の地域活動を通して住民の社会参加を促進します。
 また、町内会や自治会が抱える課題を解決するため、地域のために活動したい意欲のある民間企業や学生をマッチングして地域活動を支援する「コミュニティコンダクター」の登録制度を創設します。
 次に、人生100 年時代に向けた健康づくりです。
 住み慣れた地域でいつまでも健康で過ごすためには、充実した医療の提供基盤に加えて、自分にとって最良の主治医は自分であるという考えのもと、一人ひとりの健康寿命を延ばす取り組みが必要です。ライフステージに応じた健康増進の取り組みを進め、自分らしく安心して過ごせるまちを目指します。
 健康寿命を延ばすための方策として、まず後期高齢者に対しては、新たに疾病予防や重症化予防の取り組みを開始します。これまで行っていた介護予防の取り組みも合わせて、健診データも活用しながら一体的に実施してまいります。健診を受けていない方に対しても、保健師が直接アプローチし、健診や医療機関への受診を促す活動を新たに行ってまいります。
 より早い段階からの対策も強化します。生活習慣病を予防するため、特定保健指導の利用を促すよう対象の方へ個別にアプローチするとともに、病気の重症化を防ぐため、専門医や医療機関との連携を行います。また、介護予防活動を継続しやすいよう、アプリを用いたフレイル予防教室の実施などに取り組みます。
 なお、新市立病院は、令和7年3月1日の開院を目指し、市民の方々が安心して暮らすことのできる医療環境の整備、高度な医療サービスの提供、地域医療全体の質の向上を図るため、建設を進めていきます。
 次に、新しいつながりによるコミュニティの活性化です。
 小学校が地域コミュニティの拠点となる「スクールコミュニティ」のモデル校を増やし、子どもから高齢者まで様々な世代の交流を促進し、地域の結びつきの強化を図ってまいります。
 谷戸の魅力を生かしたコミュニティづくりとして、アーティスト村では、地域の方々との交流も定着してきました。また、逸見地区では、上下水道局の旧待機用宿舎を活用し、クリエーターなど多彩な才能を持った方に住んでもらう準備も着々と進んでいます。今後、学生との交流や市内イベントへの参加などを通じて、新たなつながりを生み出していきたいと考えています。
 次に、安全・安心のまちづくりです。
 これまでに経験したことのない集中豪雨、地震や津波などの災害は、私たちの想定を超えて襲いかかってきます。この一刻の猶予もない危機に対して、ICTを活用した防災対策を進めてまいります。
 まずは、速やかな災害対応を可能にするため、越波や冠水など過去に被害があった場所を中心に災害監視カメラを設置します。災害現場の情報をいち早く収集し、職員が現場に行くよりも早く、リアルタイムで状況が把握できるようにしてまいります。こうした情報を市民に共有することで、早期の避難を促すとともに自分の身は自分で守るという意識づくりにもつなげてまいります。
 あわせて、雨天や強風時にも活用できる高性能のドローンや職員が身に着けて現場の映像を送信できるウェアラブルカメラを導入し、災害時の情報収集能力をさらに高めてまいります。
 また、近年、浸水被害が発生している本町地区では、対策工事に向けた準備を始めます。同様に、被害の発生している上町地区などでは、マンホール内にセンサーを設置し、リアルタイムに水位を把握できるようにいたします。佐島地区においては、台風時の波による浸水被害を防ぐための対策工事を行います。
 災害時に拠点となる施設の対策も進めます。
 市役所の本庁舎については、災害時でも庁舎の機能を維持できるよう、大雨や津波などに対する浸水対策を強化したうえで自家発電装置を更新するための計画をつくります。また、建物の老朽化が進んでいる北消防署追浜出張所を移転するため、調査などに着手し、令和7年度の移転を目指します。
 地域防災の要である消防団については、コロナ禍により広報活動が制限されている影響もあり、団員数が減少しています。報酬の増額や負担を軽減させるためのアプリの導入など、できるところから処遇を改善し、団員数を確保していきたいと考えています。
 議員の皆さんにおかれては、すでに消防団に入られている方もいらっしゃいますが、入団者を増やすための声掛けなど、引き続きご協力をお願いします。
 市役所内の危機管理体制も強化してまいります。新型コロナウイルス感染症や大規模かつ多様化する自然災害などの緊急事態に対し、より迅速な意思決定および庁内外への情報伝達を行うため、危機管理課を市長室へ移管するとともに、市長室に新たに危機管理監を配置いたします。
 市議会での犯罪被害者等基本条例の制定を踏まえ、不幸にして犯罪の被害に遭われた方々の支援にも取り組みます。一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、総合支援窓口を設置するほか、見舞金の支給、法律相談やカウンセリングに対する支援などを行います。また、周知啓発活動を通じ、二次被害を生じさせない社会の実現を目指してまいります。

(柱2:子育て・教育環境の再興)

 第2の柱は「子育て・教育環境の再興」です。
 女性活躍の推進や経済的負担などから、共働き世帯は増加傾向にあります。預け先の確保や放課後の居場所づくりなど、子育てしながら働き続けられる環境整備が必要です。
 併せて、理想とする人数の子どもを持たない理由として、経済的な負担を挙げられる方も多く、希望を叶えるための取り組みの強化が必要だと感じています。
 そこで、まずは、放課後児童クラブの利用料引き下げを行います。
 これまでにも、横須賀市の利用料水準が高いことについては、たくさんのご意見をいただいていました。令和4年度は、利用料を下げるために、市からお渡しする補助金を増額いたします。これは令和3年度に国が用意した新たな補助メニューの要件が昨年の4月に確定したため、利用料の算定に間に合う令和4年度から活用することに加え、従来からある補助金についても、全てのメニューで国の上限まで活用できるように財源を重点的に配分します。
 これによって、クラブの財政面での負担を軽減し、利用料の引き下げを目指してまいります。
 また、子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、2人以上のお子さんがいる世帯の0歳から2歳の利用料に対して市独自の助成を始めます。これまでの国の制度では、上のお子さんの年齢によっては国の軽減措置が受けられない場合もありましたが、今回の制度改正で年齢に関係なく軽減を行えるようにいたします。
 お子さんを預けられる受け皿をしっかりと準備しておくことにも力を入れていきます。
 新年度には、いよいよ中央こども園が開園します。こども園機能に加え、愛らんどの移転、そして病児・病後児保育センターを新設し、お子さんが病気になってしまった際にも安心して預けられる体制づくりを進めます。
 さらに、待機児童の解消に向けた取り組みとして、一時預かり事業での待機児童の受け入れや、森崎保育園とハイランド保育園を統合した(仮称)南こども園の整備を行います。
 また、保育士の働く環境の整備や教育・保育人材の研修などの取り組みを進め、保育ニーズへの対応を充実させてまいります。
 次に、地域の子育て・社会的養育支援です。
 核家族化が進む中で、誰にも相談できず子育ての悩みや不安を抱える親と、健全な成長のために大人や地域とのつながりが必要な子どもに対して、支援体制を強化してまいります。
 まず、相談、情報提供、交流の場を提供する「愛らんど追浜」を拡張します。
 また、すでに1月臨時議会で報告させていただきましたとおり、虐待被害等により単身生活を余儀なくされた生活困窮大学生などへの支援について、横須賀市独自の制度として新たに創設します。
 次に、学力向上です。
 これまでの取り組みにより、横須賀市の児童生徒の学力は着実に上向いてきています。この実績を踏まえ、さらなる学力向上の取り組みを進めてまいります。
 まずは、35 人以下学級の拡充です。国は、きめ細かな指導を充実させるため、順次、35 人以下学級を拡充していますが、国の施策より1年早く市立小学校の4年生に導入します。
 すでに進めているGIGAスクールの推進では、ICT支援員を配置して、ICT技術を活用した、わかりやすい授業を実施してまいります。
 また、市立小中学校に学校司書を配置し、学校図書館の環境整備と機能の充実を図るとともに、より高いレベルを目指す中学生に対しては、各種検定試験の準2級以上の検定料を助成します。
 次に、学習環境の充実です。
 中学校の部活動に、学校外での引率などが行える「部活動指導員」や、実技指導を行う「部活動技術指導者」を配置し、教員の負担軽減と指導力の向上を図ります。
 さらには、地域と学校が協働し、未来の地域づくりを担う子どもたちを育成するため、「横須賀型学校運営協議会」を新たに設置します。

(柱3:経済・産業の再興)

 第3の柱は「経済・産業の再興」です。
 新型コロナウイルス感染症により影響を受けた地域経済の活性化は何より大きな課題です。
 市内の景況感を見ますと、感染状況が落ち着いた昨年末にかけては改善傾向にあったものの影響をぬぐいさることはできず、消費に対するマインドの冷え込みに加えて、原油価格の高騰などが回復をにぶらせる要因にもなっています。
 これまでも商工会議所などの関係団体と連携し、経営を下支えする施策と業態転換などウィズコロナを意識した施策とを組み合わせて取り組んでまいりましたが、引き続き、臨機応変にスピード感をもって対応してまいります。
 人口減少下では、定住者の増加は簡単ではなく、特に半島という特性を持った横須賀は、常に情報を発信して注目を集め、人材や物資を絶え間なく流通させる必要があります。フェリーの就航、圏央道の開通による東名高速道路への飛躍的なアクセス改善といった好機を捉え、観光や物流などを生かして、地域経済の活性化を図っていきます。
 港湾についても、横須賀のポテンシャルを活かし、埋め立てや港湾施設の整備を行い、物流拠点としての地位を向上させます。
 民間事業者との連携も強化してまいります。
 多様化・複雑化する地域課題や市民ニーズに対応するため、既存の制度や枠組みにとらわれることなく、これまで以上に民間企業との連携を進めることで、効率的で効果的なより質の高い市民サービスを提供します。
 まずは民間との連携窓口となる専任の部署として、民間企業の「民」と官公庁の「官」を連携させる「民官連携担当」を立ち上げます。
 担当セクションを明確化することにより、連携に向けた市の姿勢を強く発信するとともに民間事業者への情報提供や情報共有などができる体制を整え、民官連携の取り組みを今まで以上のスピードで推進します。
 民間企業などから見て、参入の障壁となるような、横須賀市独自の規制がないかどうかといったことに注意しながら進んでいきたいと決意しています。
 横須賀に立地する企業の多くを占める中小企業は、慢性的な人材不足と、経営者の高齢化に伴う後継者不足に悩んでおり、人材確保は喫緊の課題です。
 まずは、事業承継や人材確保への支援として、求人情報サイトによる企業と求職者のマッチングや企業のDX推進などをサポートする副業人材の活用促進などにより、市内企業の安定的な人材の確保と育成を支援します。
 次に、時代に合わせた働き方や新たなチャレンジに対する支援として、市内中小企業などのICT、IoT活用による経営の効率化や販路拡大などを支援します。また、企業のテレワークニーズに対応するため、テレワーク拠点の整備を推進します。
 次に、都市基盤の整備です。
 まずは、追浜・中央・久里浜地区の市街地開発事業を引き続き支援していきます。追浜駅前に関しては、歩行者デッキの整備の効果分析調査や追浜のまちづくりを推進するための検討を行います。
 また、拠点となる市街地の地図を、VR技術を活用して3Dで作成し、まちづくりを行う際の議論の活発化や、迅速な合意形成に役立てます。
 風光明媚な西地域でのさらなる集客施設の整備にも力を入れてまいります。
 長井海の手公園隣接地では、新たにグランピング施設やカフェレストランなどの整備を行い、令和5年のリニューアルオープンを目指します。

(柱4:歴史や文化、スポーツを生かしたにぎわいの再興)

 第4の柱は「歴史や文化、スポーツを生かしたにぎわいの再興」です。
 先にも述べましたが、横須賀には、自然、歴史、文化、食など多彩な魅力を持つ地域資源があります。
 市内全体を大きなミュージアムに見立てたルートミュージアムを充実させ、多くの方に横須賀を周遊していただき、観光客消費額の増加につなげます。
 中核拠点となるティボディエ邸は、昨年のオープン以来、コロナ禍の影響はあるものの、多くの方に来ていただいています。令和4年10 月には新たにレストランもオープンします。今後も多くのお客様に来ていただき、横須賀の魅力を伝え、ここからサテライト施設へ周遊していただけるよう、展示の充実や新たな仕掛けづくりにも力を入れていきたいと考えています。
 さらに、現在リニューアル工事中のポートマーケットも、新たな魅力を備えた観光・集客の拠点として、オープンする予定です。
 また、昨年から今年にかけて、観光庁の補助事業として、昨年ご寄附いただいた浦賀レンガドックを中心に「MEGURUプロジェクト」を展開しましたが、やはり浦賀は非常にポテンシャルのある地域であると再確認できました。
 ルートミュージアムのサテライトとして活用していくのはもちろんですが、まずはこの浦賀レンガドックの知名度を上げていけるよう、魅力を積極的に発信し、ドック周辺を舞台にしたイベントを開催するなど、多くの方に来ていただけるよう様々な仕掛けをしていきたいと思います。
 そして将来を見据え、エリア活性化のために様々な事業者へ継続的にヒアリングを行い、本格整備に向けた検討を進めます。
 美術館への集客にも、さらに力を入れてまいります。
 先にご報告したとおり、横須賀美術館を教育委員会から市長部局へ移管します。今後はアートやエンターテイメント、観光関連事業とより連動させ、民間事業者等ともコラボレーションすることにより、その抜群のロケーションを生かして、観光・集客といった面でも、これまで以上に活用していきたいと考えています。
 著名な民間美術館との連携などにより、たくさんの方が見てみたいと感じるような知名度の高い作品の展示を行うとともに、今年は大河ドラマで衣笠を拠点としていた三浦一族が取り上げられるチャンスの年ですので、大河ドラマと関連した運慶作の仏像展や、他都市でも例のない美術館での能の上演などの新たなチャレンジを行います。
 周遊と消費の促進として、周遊につながる効果的な提案に対する助成や、宿泊事業者や旅行事業者との連携など、観光・集客を市内での消費につなげていく取り組みを強化してまいります。
 音楽やダンス、エンターテイメントによる賑わいの創出として、ダンス大会の誘致やダンスの練習場を整備するなどの充実を図ってまいります。
 スポーツによるにぎわいの創出として、プロスポーツチームとの連携やマリンスポーツ、マリンレジャー、アーバンスポーツ、eスポーツによる賑わいづくりも引き続き進め、横須賀ならではの地域資源として、地域活性化につなげてまいります。
 久里浜地区においては、横浜F・マリノスのホームタウンとして、街なかにマリノスのチームカラーであるトリコロールを施すなど、企業版ふるさと納税を積極的に活用し、スポーツがまちの活力となる取り組みを進めていきます。

(柱5:未来につなぐ環境の保全・創出)

 第5の柱は「未来につなぐ環境の保全・創出」です。
 横須賀市は、昨年「地球を守れ 横須賀ゼロカーボン推進条例」を施行し、私たち一人ひとりが当事者としての危機感を持ち、脱炭素社会への移行と地球温暖化対策に取り組む姿勢を明確にしました。
 近年、世界各地において生じている地球温暖化に起因するとみられる気候変動の影響は、横須賀市においても重大な脅威となっています。
 このような危機的状況の中、脱炭素社会への移行は、世界が一丸となって取り組むべき課題であり、世界の一員として横須賀に生きる私たちの使命でもあります。
 横須賀が誇るべき豊かな環境を未来へ継承し持続させていくため、低炭素社会から脱炭素社会へ、これまで以上の大胆な変革に不退転の覚悟で取り組んでまいります。
 市役所は、たくさんの電気を使う、一つの事業所です。
 まずは、横須賀市役所自身がCO2の削減に積極的に取り組んでまいります。
公共施設での再生可能エネルギーの自家消費を図るため、公共施設への太陽光パネルの設置を進めます。新年度には市立学校など10か所に新たに設置を行い、今後同様のペースで太陽光パネルの設置を進めます。
 市役所の使う公用車も順次、EV(電気自動車)へと変えてまいります。新年度には5台をEVに更新する予定です。
 また、平日は公用車、休日はカーシェアリング用となるEV2台を導入し、EVのカーシェアリングを実施します。
 このほか公共施設の老朽化した設備を積極的に更新し、より高効率な機器とすることでCO2排出量を削減してまいります。
 同様に横須賀市域内の脱炭素の取り組みへの支援も強化していきます。太陽光パネルの設置やEV購入への助成のほか、三方を海に囲まれている立地を生かし、ブルーカーボン事業への取り組みも具体化してまいります。
 また、生ごみ減量化処理機の購入費助成を増やし、焼却するごみの減量化を進めます。
 次に、環境に対する意識の向上です。
 環境保護に関するイベントなどに参加してくれた方にアプリを介したポイントを付与する取り組みを開始するとともに、学区内での自然環境体験を行う小学校数を増やし、環境に対する意識の向上を図ってまいります。

(そのほかの重点的な取り組み)

 このほか、令和4年度予算の特徴的な内容についてご説明します。
 まずは、行政のDXの推進です。
 今さら申し上げるまでもありませんが、DXとは単なるデジタル化ではなく、業務の進め方や行政サービスのあり方そのものを、デジタル技術を用いて抜本的に変えていく、まさに、構造改革であると思っています。DXの推進は、市役所の職場風土や行政手続きを良い意味で破壊し、新たな組織に再生する最後のチャンスと考えています。
 コロナ禍で我々の日常生活は一変し、痛感しましたのが、行政はまだまだデジタル技術をうまく活用できていないことです。
 そして、我々は危機意識を継続していかなければなりません。コロナに次ぐ、第2・第3の新たな困難がやってくる事を想定し、迅速・流動的な組織運営ができるよう対応していかなければなりません。
 このためには、デジタル技術の活用は必須であり、本市のDXがどこまで進んでいるかが鍵となります。
 今は、市役所のDXを一歩踏み出した段階ではありますが、行政手続きのみではなく、横須賀市全体のDXを視野に入れて、全ての市民がデジタル技術の恩恵を受けられるように考えなければなりません。
 デジタル技術は急速なスピードで発展し、暮らしの中で身近で欠かせないものとなり、その発展は、少子高齢化や人口減少に伴う様々な社会課題の解決への寄与が期待されています。DXの推進により、制度や組織のあり方および業務のやり方を見直し、人でなければできない業務に注力できる環境を整えていく必要があると考えます。
 さらに、行政が保有する情報はオープンにしていくべきであり、その情報を企業や市民の皆様に合理的、科学的に活用してもらえる環境を目指していき、行政情報がイノベーションや市民の利便性の向上につながるよう進めていかなければなりません。
 先ほどご説明しましたが、防災対策におけるICT技術の活用のほか、市民の皆さんの利便性を向上させていけるように、仕組みを変えてまいります。
 市立図書館では、すべての本にICタグをつけ、この情報を読み取ることで、自動で貸し出しや返却ができる仕組みを構築します。
 健診センターで行う健診や市立保育園への連絡などもオンラインでできるようにし、利便性と効率性を上げてまいります。
 また、事業者との契約に、県内で初めて電子契約を導入します。これにより膨大な書類を保管しておくスペースなどが大幅に軽減でき、さらに事業者の負担となっていた印紙代や市役所へ来る手間が無くなるなど市内事業者のDXにも貢献するものと期待しています。
 一部をお話ししましたが、このほかにもできるところから、スピード感を持って改革を進めてまいります。
 また、人事・給与制度改革を行います。
 少子高齢化、人口減少、社会保障費の増加など、横須賀市を取り巻く環境は厳しさを増しています。
 今後見込まれる人口減少を踏まえ、可能な限り行政サービスの質を落とさずに、その時々の人口規模にあわせて、適切な職員の数に抑制して、そのうえで市役所の機能を維持していかなければなりません。
 先ほど申し上げたDXを推進することは当然として、積極的に業務の効率化を図っていく必要があります。
 職員は、人でしかできない心の通った市民サービスに注力してほしいと思っています。
 そして、そのためには職員がもっと市民の皆さんに信頼され、心を通わすことができるようになる必要があります。
 職員が市民の信頼を得るためにも、やる気をもって前向きに職務に取り組んでいけるような、また、頑張っている職員がしっかりと評価される制度やその評価に沿った給与制度改革が必要だと強く思ったところです。
 改革に向けた第一歩として、まずは、上に立つ者の意識を変えなければいけないとの考えから、給与制度のうち、部長級の管理職手当について、職務の難易度に応じた見直しを行っていきます。
 そして、こうした取り組みを継続的かつスピード感を持って行うことにより、職員の意識と職場風土を変えていき、より市民のために働く市役所となれるようにしていきたいと考えています。

(基地について)

 次に基地についてです。
 本市には、陸海空の自衛隊、防衛大学校、そして米海軍基地が所在しています。
 横須賀が、日本のみならず地域の平和と安定にとって、極めて重要なまちであるという私の考えについては、これまで何度も繰り返し、発言してまいりました。
 昨年、英空母クイーン・エリザベスをはじめ、さまざまな国の艦船が横須賀に寄港しました。これまでにないスピードで日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していると言われている中で、こうした各国の動きは、ある意味必然性があったのではないかと考えています。
 もちろん、地域の平和と安定のためには、まずは外交努力が重要であることは言うまでもありません。
 しかし、そのうえで、昨年の各国の動きがあったのではないかと考えています。
 同盟国であるアメリカだけではなく、イギリス、ドイツをはじめとした、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的な価値観を共有する国との防衛協力を進め、抑止力・対処力を高めていくことは、地域の平和と安定の促進、そして日本の安全保障にとって重要である、ということは理解できます。
 とりわけ、海上自衛隊と米海軍が隣り合わせ、いわば海上防衛の要ともいえる横須賀への寄港は、当然の帰結であったのではないかと考えています。
 地域の平和と安定、そして日本の安全保障に貢献することは、横須賀市長の責務です。その重責を再認識するとともに、今後も引き続き、横須賀市に所在する防衛施設が、市民の理解を得ながら、安全かつ安定的に運用されることが重要であると、強く認識しています。
 一方で、米海軍基地や自衛隊施設が中心市街地や港湾の要所を占め、まちづくりに少なからず影響があることも事実です。
 市民生活の安全・安心の確保は当然として、国に対しては、財政措置や地域振興策も含め、今後もしっかりと求めてまいります。
 一昨年から続く新型コロナウイルス感染症との戦いは、事態が日々変化し、終わりが見えない状況の中で、米海軍とは常に緊密に連携してまいりました。
 米海軍病院と保健所は、感染者情報の共有など、日々連携しています。
 私自身も、在日米海軍司令官や横須賀基地司令官と、電話やオンライン会議で直接意見交換を行っています。
 基地従業員の安全対策については、国を交えた実務者会議を開催し、情報共有を図っているところです。
 改めて申し上げますが、敵はコロナです。
 今後ともコロナウイルスから、市民、そして米海軍関係者を守るため、米海軍とは共に戦うパートナーとして、お互いできる限りの対策を講じてまいります。

(令和4年度予算編成について)

 以上、令和4年度予算案の特徴的な事業、横須賀への思いなどを述べてまいりました。
 これらの事業や施策を着実に進めるための編成を行った結果、令和4年度の一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は、3,154億円で、うち一般会計予算の総額は、1,574億円となりました。
 一般会計の財源不足を補填する財政調整基金からの取り崩しは、前年と同額の38億5千万円に抑えることとしました。

(令和3年度補正予算案の概要)

 令和3年度の補正予算は、市税の落ち込みが当初予想したほどではなかったことによる増額、地方交付税の追加交付などによる増額を行うほか、国の補正予算と連動して、事業を前倒して計上しています。このほか、年度末における整理などを行います。

(結び)

 思い返せば昨年は、世界と横須賀との繋がりを、改めて強く意識することが多い年でありました。中国に端を発し、世界中を駆け巡っているコロナはもとより、はるかヨーロッパ諸国を含めた極東の安全保障、そして先月には、南半球での大規模噴火により横須賀でも津波の恐れが発生しました。世界の中の横須賀を意識すること、そして横須賀から世界へ発信することは、これまで以上に、その必要性を感じています。
 現在、リモートワークが一気に普及し、パソコン一つ、スマホ一つで世界とつながることができるようになりました。そしてデジタルネイティブと呼ばれている現代の若者は、生まれた時からデジタルが当たり前の社会で生活しており、これまでの固定観念や既成事実にとらわれることなく、躊躇せずに世界に目を向けることができるようになっています。
 世界を見ずして、横須賀の何がわかるのか。世界を意識せずして、横須賀から何を創造することができるのか。
先の成人式でも新成人たちに対し、「世界はますます狭くなっている。皆さんには是非、世界を舞台に羽ばたいてほしい」とエールを送りました。これは同時に、いつかまた故郷である横須賀に帰ってきた際、そこで得た知識や能力を横須賀で発揮してほしいと、願いを込めたものでした。
 この予算は、横須賀の第2の開国に向け編成しています。横須賀で日々、様々な研鑽を重ねている若者にも、横須賀から世界に飛び出し、世界を股にかけ活躍している若者にも、いつまでも横須賀を故郷として愛し、そしていつでもこの横須賀から、彼らが新たな第一歩を踏み出すことができるように、横須賀の魅力をさらに高めていく決意です。
 希望の光はもうすぐそこにあると思います。この危機に全力で立ち向かい、乗り越え、そして市民の皆さん、市議会議員の皆さんとともに、新たな横須賀の歴史を刻んでいきたいと思いますので、これまで以上のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、私の施政方針を終わります。
 よろしくお願いいたします。

お問い合わせ

市長室秘書課
横須賀市小川町11番地 本館1号館3階 <郵便物:「〒238-8550 秘書課」で届きます>
電話番号:046-822-8118
ファクス:046-824-2610

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