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更新日:2026年9月3日
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横須賀、取材中。【vol.4】命をつなぐ「4分」の革新。データで救急現場を変えた、ある職員の情熱

救急車のサイレンが街に響くとき、その中では一分一秒を争うドラマが繰り広げられています。
広報よこすか編集部がお届けする連載「横須賀、取材中。」今回は、救急現場の「当たり前」を疑い、自ら学び直すことで、海外からも評価される画期的な研究を成し遂げた一人の職員にスポットを当てます。
救急車のサイレンが響く日々
まだまだ暑い日が続いていますが、皆さん元気にお過ごしでしょうか。
救急車のサイレンを耳にすることが多いことから、熱中症に伴う搬送も少なくないのかも、と心配になる広報よこすか編集部です。
傷病者からのSOSに対し、真摯に向き合っている救急隊には感謝の念を抱かずにはいられません。
こう思うようになったのは、消防局のある職員のエピソードが印象に残っているからでしょうか。


現場の「歯がゆさ」が、変革の原動力
日本では年間約13万人もの方が心肺停止で運ばれています。
その最前線で、救命士が心拍再開のために投与する薬「アドレナリン」。しかし、その投与タイミングには、これまで明確な「正解」がありませんでした。
「現場で打つべきか、搬送を優先すべきか……」救急課の係長・山崎真悟さんは、現場で隊員たちの判断が分かれる状況に、人知れず歯がゆさを感じてきました。
「自分たちの経験を、確かな証拠(データ)に変えたい」。その強い想いが、山崎さんを大学院での研究へと突き動かしました。

導き出した「4分」の差
山崎さんが市内の救急データ1,122件を緻密に分析して導き出した答えは、明確でした。
「現場出発前の投与」は、「出発後の投与」に比べ、投与までの時間を約4分短縮し、心拍が再開する確率を有意に高めるということ。この成果は2023年に日本の医学会誌で発表され、大きな反響を呼びました。しかし、山崎さんの歩みは止まりません。
次に着目したのは、隊員の「手」を空けるための「機械的胸骨圧迫装置」の活用でした。「装置を早く装着することで、別の処置を同時に進められるのではないか」。この仮説を174件のデータで検証した結果、ここでも約4分の時間短縮に成功。
この研究は2025年、米国の権威あるオンライン医学誌に掲載され、横須賀の救急システムが世界基準で評価されることとなったのです。

研究は「理論」から「救命の現場」へ
この研究の真の価値は、論文に留まらなかったことにあります。今年4月、山崎さんの知見を基に、三浦半島地区の救急プロトコル(活動手順)が改定されました。導入後3ヶ月の実績では、前年同期比でアドレナリン投与時間が約4分短縮。実際に、病院到着前に心拍が再開する人の割合が高まるという、確かな「命の成果」として表れています。
「もっと救いたい」その眼差しが守るもの
「これは私一人の力ではなく、職場の理解と、日々現場で闘う隊員たちの協力があったからこそ」と山崎さんは静かに語ります。山崎さんの柔らかい笑顔の奥にある、鋭く強い眼差し。「これからも研究を続けて、さらに多くの人を救いたい。まだまだ先は長い」という言葉に、現状に甘んじない、プロフェッショナルとしての熱い想いを感じました。
いま、「救急」を考えよう
山崎さんのような職員が、日々「どうすれば救えるか」を極限まで突き詰めています。
その努力を支え、一刻を争う命を救うために私たちにできること。それが「救急車の適切な利用」です。
「救えるはずの命」に、最短で救急車が届くように。9月9日の「救急の日」を前に、一緒に「命の守り方」を考えてみませんか。


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