平成28年4月1日~病院・診療所等に係る消防関係法令が改正されます~
改正の背景
- 近年、全国的に、夜間就寝施設において多数の死傷者を伴う火災の発生が相次いだこと
- 広島県福山市のホテル火災(平成24年5月)
- 長崎市の認知症高齢者グループホーム火災(平成25年2月)
- 福岡市の診療所火災(平成25年10月)など
- 特に、平成25年10月11日に発生した福岡市有床診療所火災においては、死傷者の多くが自力での避難が困難な状態にあったと考えられ、避難のために患者の介助が必要な有床診療所・病院においては、人力のみに頼ることなく、自動的に初期消火、119番通報、延焼防止等を行える体制を整える必要があること
このような背景を踏まえ、消防関係法令が改正されました。
主な改正項目
1.病院・診療所等の用途区分(令別表第1)の見直し
- 消防用設備等による防火安全対策を強化するため、現在、消防法上で(6)項イとされている病院・診療所等を、入院施設の有無や診療科目に応じて4つのカテゴリーに細分化し、消防法の規制を、より施設実態に応じたものとしました。
<令別表第1病院・診療所等の細分化の概要>
病院・診療所等の細分化の概要
(6)項イ |
(1) |
次のいずれにも該当し、特に防火安全対策が必要とされる病院(※1)
・診療科目名に特定診療科目(※2)を有する。
・療養病床または一般病床を有する。
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(2) |
次のいずれにも該当し、特に防火安全対策が必要な有床診療所
・診療科目名に特定診療科目(※2)を有する。
・4人以上の患者を入院させるための施設を有する。 |
(3) |
(1)及び(2)以外の病院、有床診療所、有床助産所 |
(4) |
無床診療所及び無床助産所 |
※1火災発生時の延焼を抑制するための消火活動を適正に実施することができる体制(相当程度の患者の見守り体制)を有するものは除く。
※2特定診療科目とは、内科、整形外科、リハビリテーション科などの、下記13診療科目以外の科目のこと。
<13診療科目>
産科・婦人科・産婦人科・眼科・耳鼻いんこう科・皮膚科・歯科・こう門外科・泌尿器科・小児科・乳腺外科・形成外科・美容外科(患者自ら、または、誘導により自力で避難することができると考えられる科目)
消火器
- (6)項イの(1)~(3)に掲げる病院、有床診療所及び有床助産所については、延べ面積150平方メートル以上で消火器の設置が義務付けられていましたが、改正により、延べ面積等に関わらず消火器を設置することが義務付けられました。


スプリンクラー設備
- (6)項イの(1)(2)に掲げる病院、有床診療所については、改正により、原則、延べ面積等に関わらずスプリンクラー設備を設置することが義務付けられました。


- 上記のほか、(6)項イの(3)に掲げる病院、有床診療所及び有床助産所については、改正により、延べ面積3,000平方メートル以上でスプリンクラー設備を設置することが義務付けられました。
- スプリンクラー設備の設置については平成37年6月30日までの経過措置があります。
屋内消火栓設備
- (6)項イの(1)(2)に掲げる病院、有床診療所については、建物の主要構造部が耐火構造、準耐火構造のものであっても、原則、延べ面積1,000平方メートル以上で屋内消火栓設備の設置が義務付けられました。
- 屋内消火栓設備の設置については平成37年6月30日までの経過措置があります。
自動火災報知設備
- 就寝の用に供する居室を有する病院、有床診療所及び有床助産所については、平成27年4月1日施行の消防関係法令の改正により、延べ面積に関わらず自動火災報知設備の設置が義務付けられています。
- よって、今回新たに(6)項イの(1)~(3)に区分された病院、有床診療所及び有床助産所についても、延べ面積等に関わらず、平成30年3月31日までに自動火災報知設備の設置が必要です。
消防機関へ通報する火災報知設備
- (6)項イの(1)~(3)に掲げる病院、有床診療所及び有床助産所については、延べ面積500平方メートル以上で消防機関へ通報する火災報知設備(火災通報装置等)の設置が義務付けられていましたが、改正により、延べ面積等に関わらず消防機関へ通報する火災報知設備を設置することが義務付けられました。
- また、(6)項イの(1)(2)に設置する消防機関へ通報する火災報知設備は、自動火災報知設備の作動と連動して起動することが義務付けられたほか、病院・診療所が、消防機関(消防署など)からの歩行距離500m以内にある場合でも、設置が必須となりました。

3.有床診療所における防火安全対策自主チェックシステムについて(参考)
- 有床診療所の事業者自らが、医療、建築、消防に関する各項目(30項目)を自主的にオンライシステム上に入力することにより、日常点検、法定点検等の未実施等を早期に発見し、事業者の自主防火意識の向上を目的とするものです。
- 事業者の防火対策の履行状況を、関係機関において共有することにより、違反事業所を早期に把握し、連携した是正指導に活用します。

(出典)本ホームページで使用する一部のコンテンツは、総務省消防庁ホームページより出典しています。