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更新日:2022年6月9日

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横須賀市子どもの権利を守る条例 条文

 横須賀市子どもの権利を守る条例をここに公布する。
  令和4年3月29日
                     横須賀市長 上 地 克 明
横須賀市条例第30号
   横須賀市子どもの権利を守る条例
目次
 前文
 第1章 総則(第1条・第2条)
 第2章 子どもの権利(第3条-第6条)
 第3章 子どもの権利を保障するための責務(第7条-第11条)
 第4章 施策の推進(第12条-第18条)
 第5章 施策の評価(第19条・第20条)
 第6章 雑則(第21条)
 附則
人は、この世に生を受けた瞬間に命の営みが始まる。それは、誰もが等しく与えられた命であり、等しく与えられた未来の始まりでもある。だからこそ、そのかけがえのない命は、尊ばれなくてはならない。
子どもも一人の人間として様々な権利を有し、一人一人の個性が尊重されることは当然である。
これら子どもの基本的人権を保障するため、国際連合において、児童の権利に関する条約が採択され、我が国においても批准されている。しかしながら、現実には、様々な差別が存在している。そして、子どもは、体も心も未熟であるとして、本来、人間として有する自由な生き方、意思の表現が抑えられてしまう場合がある。
さらに、我が国では昨今、子どもへの虐待が深刻な社会問題となっている。その中では、最も尊ばれるべき命が奪われてしまうことがあり、あってはならない問題である。
子どもたちを守り、子どもが子どもらしく生きることを保障するため、本市においてこの条例を制定することとなった。本市では、中核市に移行した後、市単独の児童相談所を設置した。それは、「横須賀の子どもは、横須賀が守る。」という当時の決意であり、今も変わらぬ市としての決意の表明である。
子どもが、保護者の愛情のもとに育まれ、地域や学校など多くの関わりの中で人間として成長していく。この条例は、それを見守り、支えるために、子どもの権利を明記し、子どもに関わる大人や組織が果たす役割を定め、全ての市民がそれを実践するための指針となるべきものである。
全ての子どもは、その子どもにとって最も望ましい生き方が尊重されなくてはならない。未来を担う子どもたちのすこやかな成長が、全ての市民に幸せをもたらし、海や緑など自然に恵まれた本市が、さらにより良いまちになることを願って、この条例を制定する。
   第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、全ての子どもを一人の人間として尊重し、市、保護者、学校等、地域及び事業者(以下「市等」という。)の果たすべき役割並びに子どもに関する施策の基本となる事項等を定めることにより、子どもの権利を保障することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 子ども 18歳未満の全ての者及びそれらの者と同等に権利を有する者をいう。
 (2) 保護者 親及び子どもを養育する者をいう。
 (3) 学校等 学校、保育所その他の子どもが学び、育つ施設の関係者及びその組織をいう。
 (4) 地域 子どもが生活する地域の住民及び団体をいう。
 (5) 事業者 市内に事務所又は事業所が所在する全ての事業者をいう。
   第2章 子どもの権利
(子どもが安心して生きる権利)
第3条 子どもは、安心して生きるため、次のことが保障される。
 (1) 命が守られ、愛情と理解をもって育まれること。
 (2) あらゆる差別を受けず、差別による不利益を受けないこと。
 (3) 虐待や体罰、いじめなど、あらゆる暴力を受けないこと。
 (4) 平和で安全・安心な生活ができること。
(子どもが自ら守り、守られ、育まれる権利)
第4条 子どもは、家庭や社会の中で、自分を守り、又は自分が守られ、育まれるため、次のことが保障される。
 (1) 健康が保持され、適切な医療が受けられること。
 (2) 遊び、学び、休息のできる環境が確保されること。
 (3) すこやかに育つために社会全体から必要な支援を受けられること。
 (4) すこやかな育ちが妨げられるとき、その状況から逃れること。
 (5) 困っていることを相談し、助けを求めること。
(子どもの個性が尊重される権利)
第5条 子どもは、その個性が尊重されるため、次のことが保障される。
 (1) 一人一人の個性や考え方が尊重されること。
 (2) 自分の意思を自由に表現し、それが尊重されること。
 (3) 自分を表現するために、必要な情報を得られること。
 (4) プライバシー及び名誉が守られること。
(子どもが参加する権利)
第6条 子どもは、自分の意思で文化、芸術及びスポーツや地域及び社会の活動に参加するとき、次のことが保障される。
 (1) 自分の意見を表明し、その意見が尊重されること。
 (2) 自由に仲間をつくり、集うこと。
 (3) 参加しようとするとき、必要な情報が提供されること。
   第3章 子どもの権利を保障するための責務
(保護者の責務)
第7条 保護者は、子どもの成長に第一義的な責任があることを自覚し、市等の支援を活用しつつ子どもの発達に応じた養育に努めなければならない。
2 保護者は、子どもが自らの権利を正しく理解し、他者の権利を尊重できるよう、必要な指導に努めなければならない。
(市の責務)
第8条 市は、子どもの権利を保障するため、国及び神奈川県その他の地方公共団体と連携するとともに、あらゆる施策を通じて、子どもの権利の保障の実現を図るよう努めなければならない。
2 市は、保護者、学校等、地域及び事業者がそれぞれの責務を果たすことができるよう、必要な支援を行わなければならない。
3 市は、子どもの発達に応じて、遊び、学び、休息のできる居場所を確保することに努めなければならない。
4 市は、子どもが貧困等、どのような事情があっても、それによる不利益を受けることのないよう必要な配慮をしなければならない。
(学校等の責務)
第9条 学校等は、子どもが自ら学び、すこやかに育つことができるよう、その環境をつくるとともに、子どもの発達に応じた必要な支援を行うよう努めなければならない。
2 学校等は、子どもが子どもの権利を理解し、他者の権利を尊重しながら生活することのできるよう、必要な指導及び支援に努めなければならない。
(地域の責務)
第10条 地域は、子どもがその一員として安全・安心に過ごし、豊かな人間性を育むことができるようなまちづくりを目指し、市と協働してこれに努めなければならない。
(事業者の責務)
第11条 事業者は、保護者である従業員が仕事と子育てを両立できるような職場の環境づくりや従業員の意識向上のための取組みに努めなければならない。
   第4章 施策の推進
(子どもに関する施策の推進) 
第12条 市は、子どもの権利を保障するための施策を、子育て、教育、福祉、保健、医療等の分野との連携及び調整を図りつつ、総合的かつ計画的に推進しなければならない。
2 市は、子どもに関する施策の推進に当たっては、子ども、保護者及び関係する団体の意見を聴くよう努めなければならない。
3 市は、子どもに関する施策の推進に当たり、子ども及び当該施策に関わる職員の子どもの権利に関する研修等を行うよう努めなければならない。
(虐待及び体罰の防止)
第13条 全ての市民等は、虐待が子どもの発達及び人格の形成に大きな影響を与えることを認識し、子どもを虐待してはならず、子どもに体罰を行ってはならない。
2 市は、学校等、地域、警察、医療機関、子どもの福祉に関わる団体等(第5項において「関係する団体等」という。)と連携し、虐待の防止及び早期発見に努めなければならない。また、そのための連絡及び相談に随時対応できる体制の整備に努めなければならない。
3 市は、子育て家庭の孤立や虐待を予防するための支援に努め、地域は、子どもを見守り、声かけ等を通して子育て世帯が地域社会から孤立することのないよう努めなければならない。
4 学校等、地域、医療機関、子どもの福祉に関わる団体等は、虐待の可能性を察知したとき、直ちに市に連絡しなければならない。
5 市は、虐待の連絡があった場合は、その調査を行い、虐待が確認されたときは、関係する団体等と連携し、その子どもを迅速に救済し、又は保護しなければならない。
6 市は、虐待を受けた子どもに対し、その安全・安心を確保しつつ、子どもが施設等に保護され、又は入所している間においても子どもの権利が保障されるよう努めなければならない。
7 市は、虐待の再発を防止するため、虐待に関わった者に対して適切な指導、助言等又は必要な支援を行わなければならない。この場合において、当該虐待に関わった者は、指導、助言等に従い、又は支援を受け、必要な改善をしなければならない。
8 市は、虐待防止、子どもの保護、虐待した者への指導などに関わる専門的な知識や技術を有する人材の養成に努め、必要な体制をつくるよう努めなければならない。
9 市は、虐待や体罰の防止及び早期発見をするために、その取組みへの理解及び協力を求める市民への啓発活動に努めなければならない。
(いじめの防止)
第14条 子どもの権利の重大な侵害であるいじめは、誰もがしてはならない。
2 市は、いじめを防止し、なくすため、市民への啓発をはじめ必要な施策を講じなければならない。
3 市は、いじめがあったときは、保護者や地域と連携し、必要な協力を求めるなど、速やかな解決に努めなければならない。
4 学校等は、いじめが起きたとき、いじめに関する法令、条例等に規定するところにより、積極的にその解決に努めなければならない。
(子どもの参加)
第15条 子どもは、言葉により、また、文化・スポーツを通して自分を表現するためにあらゆる機会への参加が保障される。
2 保護者は、子どもが意見の表明や様々な社会活動への参加を希望するとき、その意思を尊重しなければならない。
3 市は、子どもが自らの意思で参加のできる仕組みづくり及びそのための必要な支援を行わなければならない。また、子どものための施策づくりへの子どもの参加の機会の確保に努めなければならない。
4 学校等及び地域は、その組織や活動において、子どもの参加を促すよう努めなければならない。
(障害のある子どもへの支援) 
第16条 市は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の障害のある子どもが、その尊厳を確保し、自立を促進し、社会に積極的に参加することができるよう適切な支援に努めなければならない。
2 市は、障害のある子どもが、特別の養護を受ける権利を持つことをその子ども及びその保護者に伝えなければならない。
3 市の障害のある子どもへの支援は、保護者の資力を考慮しつつ利用者負担の軽減に努める方法で行われ、かつ、障害のある子どもが可能な限り社会への参加と自らの発達を成し得る方法で行われなければならない。
(多様性の尊重)
第17条 市等は、子どもの人種や性、宗教、社会的出身など、その多様性を尊重し、子どもの権利を認め、それぞれの責務を果たさなければならない。
2 市及び学校等は、あらゆる偏見や差別等のないよう、その多様性に対する理解を広めるよう努めなければならない。
(市民への周知・啓発)
第18条 市は、子どもの権利について、学校等や地域と協働し、市民全体の関心を高め、理解を深めるため、その周知及び啓発に努めなければならない。
   第5章 施策の評価
(児童福祉審議会への報告)
第19条 市長は、子どもの権利を守り、子どもに関する施策の充実を図るため、子どもの権利に関わる施策の推進状況について横須賀市児童福祉審議会に報告しなければならない。
(評価・検証)
第20条 横須賀市児童福祉審議会は、子どもの権利に関わる施策の推進状況について評価及び検証をし、その結果を市長に報告しなければならない。
   第6章 雑則
(その他の事項)
第21条 この条例の施行について必要な事項は、市長が定める。
附 則
 この条例は、令和4年7月1日から施行する。

お問い合わせ

民生局こども家庭支援センターこども家庭支援課

横須賀市小川町16番地はぐくみかん5階<郵便物:「〒238-8550 こども家庭支援課」で届きます>

電話番号:046-827-7744

ファクス:046-828-4556

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