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更新日:2022年9月1日

ページID:86299

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令和4年9月号・1~3面

1面

広報よこすか

YOKOSUKA 2022 9

9月は世界アルツハイマー月間
特集 認知症を考える

認知症の理解普及イベントとして全国各地で開催されるRUN伴(ラントモ)。多くの参加者の中心で笑顔で走るのは認知症と共に生きる西 スエ子さん(本市在住)。娘のあゆみさんと伴に次の走者へとタスキをつなぎます。
写真提供 RUN伴+三浦半島実行委員会

2・3面

2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になると言われています。本市には認知症の人が2万人以上いると推計されており※1、「認知症」は、私たちにとってより身近な存在となってきています。
地域の中で、当たり前に認知症の人が受け入れられ、支え合う「共生社会※2」へ向かうため、今回は認知症について考えます。

9月は世界アルツハイマー月間
認知症を考える

※1 本市推計と2025年予測は「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(九州大学 二宮利治教授)」を参考とした。
※2 認知症の人が尊厳と希望を持って認知症とともに生きること。認知症の有無にかかわらず、同じ社会でともに生きること。(認知症施策推進大綱)


そもそも、認知症って? 正しい理解が大切です。
「認知症」とともに生きるためには、第一に認知症への理解が大切です。「認知症」と聞くと、まず思い浮かべるのはもの忘れ。しかし、それはアルツハイマー病の症状の一つに過ぎません。認知症は病気の名称ではなく、「症状」の総称です。もの忘れの他に、話の内容が理解できなくなる・判断力が低下する・感情のコントロールがうまくできなくなる(脳血管性認知症)、見た物や形が正しく認識できない「視空間認知障害」(レビー小体型認知症)、社会的規範と整合性が判断できなくなり、社会的ルールを無視した行動や自己本位な行動が目立つ(前頭側頭型認知症)といった症状があります。これらも全て認知症の症状です。なお、認知症は加齢によるもの忘れと区別できます。表1

認知症の進行を遅らせるためには?
症状の違い(原因となる疾患の違い)によって、治療方法が変わってきます。「もの忘れ=認知症」という認識を改め、認知症の症状を正しく理解して、思い当たることがあれば早めに医療機関に相談しましょう。
認知症の専門医である神奈川歯科大学の眞鍋雄太教授は、認知症の進行を遅らせるために「早期発見・早期治療」の重要性を説くとともに、「日常生活の違いで発症するリスクに差があります。普段から趣味のサークル活動や地域の活動に参加するなど、新しい情報や経験を取り入れて、行動・発信することが大切です」と、人とコミュニケーションを取ることの大切さを訴えます。
認知症になっても、そこには感情があり、その場で起こっていることに対して喜怒哀楽を感じます。今までできたことができなくなり、戸惑ったりモヤモヤとした気持ちになるのです。そうしたときに、周りの人の
否定的な言葉などに直面すると、自尊心が傷つけられ、結果としてその後の行動が消極的になってしまいます。身近な人が認知症になったという事実を受け入れることは、決して容易ではありませんが、行動を萎縮させてしまうことは、認知症をより進行させる一因となるため、注意が必要です。
認知症とうまく付き合うためにも、認知症への理解を深めることが、本人にとってもその周囲の人にとっても重要であり、認知症の進行を遅らせることにつながります。

家族の皆さんへ 悩まずにご相談を。
自分の持ち物を取られたと思い込み、「家族が盗んだ」「誰かが家に侵入して持って行った」と訴える「ものとられ妄想」。その時に、反論したり否定してしまうとかえって悪循環です。「それは大変ですね」「一緒に探しましょう」のように声かけをしたり、本人の興味のある話題や好きな話題に変えてみたりすることが効果的です。
また、「家に帰る」と言って外出したまま歩き続けてしまったり、何かを探すように家の中をうろうろしてしまうことも、家族を困らせてしまう行動の一つです。本人にとっての理由を理解することは容易ではありませんが、気持ちに共感して寄り添うことが大切です。名前や連絡先の分かるものを日ごろから身に着ける、近所の人や交番に連絡しておくといった対策も効果があります。
認知症の人の介護でお困りの家族は、悩まずにご相談ください。地域福祉課 総合相談担当・地域包括支援センターが、困りごとをお聴きし、さまざまな支援を行います。P3本市のサポート体制

地域で暮らすあなたができること
認知症の人の心に寄り添い、またその家族や周囲の人を地域で支え合う共生社会。家族の枠を超えて、地域の中でも「認知症」を受容する社会をつくることが必要です。

認知症の症状があっても、社会でできることがあります。積極的に地域と関わることが、認知症の人に良い影響を与えます。認知症を理由に行動をためらってしまったり、認知症への偏見から距離を取ってしまうのではなく、同じコミュニティに入ってもらい、その人にできる何かを一緒に考え、参加してもらうことが共生社会へ向かう第一歩です。

今こそ、認知症を「自分事」として見つめ直すときです。当たり前に、認知症の人が地域に溶け込み、気遣いがあふれている社会、すなわち「共生社会」の実現を目指しましょう。


神奈川歯科大学
眞鍋雄太教授
日本認知症学会専門医・指導医。神奈川歯科大学附属病院 認知症・高齢者総合内科で外来診療を担当。同院では、認知症の原因疾患の診断と治療の他、介護相談やカウンセリングを行っている。


表1 check 違いを知り、早期受診につなげましょう。
もの忘れ
体験の一部を忘れる
○何を食べたか忘れる
○約束をうっかり忘れる
○あいさつを交わす程度のご近所さんを忘れる
認知症
体験そのものを忘れる
○食べたこと自体を忘れる
○約束したこと自体を忘れる
○家族や親友の名前(存在)を忘れる


タスキでつながる、共生の輪 RUN伴+(ラントモプラス)三浦半島
認知症の人やその家族、今まで認知症の人と接点がなかった地域の人などが、認知症の支援を示すオレンジ色のTシャツを着て、一緒にタスキをつないで走るイベントです。

コースやタスキをつなぐ順番を間違えてしまう、イベント自体を忘れてしまい、なぜタスキをかけて走っているのか理解できずにいるなど、RUN伴では多くのハプニングが起こります。イベント全体がそうしたことを前提に行われていて、その全てを受容して進行していきます。参加者の皆さんは、自然に励まし合い、認知症の人が最後まで役割を果たせるようにフォローします。そして、タスキをつないだ時には、皆さんが拍手で祝福します。

RUN伴+三浦半島実行委員の一人である嘉山 仁さんは、「予定どおりに進むことは少なく、状況に合わせて時間やコースを変更することもあります。これも共生社会に求められる姿勢であるように思います」といいます。
参加者からは、「認知症の人もご家族も明るく笑っている姿に、認知症に対する印象が変わった」「RUN伴に参加し、その人を知った上で認知症について学ぶことで、先入観を持たずに考えることができた」「RUN 伴に参加し、多くの人と知り合った後で、家族が認知症と診断されたのですぐ相談できて安心できた」といった声が届いています。

嘉山さんは、ご自身の経験から、共生について、あらためて話されました。「認知症に限らず受容される社会であることが大切だと考えています。周囲や社会の理解があれば、認知症の人はそれほど困らずに生活できることが多くあります。他者を理解し、困っていることを自分事として考えることで、豊かな人間関係につながると実感しています」

ことしの開催 11月12日(土曜日)・13日(日曜日)
ぜひ、参加してみませんか。

写真提供 RUN伴+三浦半島実行委員会


認知症の人の家族の話 認知症を受け入れるということ
岸 正晴さん
認知症に人との関わり方で一番大切なのは"受容"。どのような症状があり、どう辛いのか理解する。その積み重ねが受容になります。
私も、お世話をするのが辛くなり、40代後半で認知症を発症した妻に強く当たってしまったことがあります。その時、「私は何も悪いことはしていない。何であなたにそんなこと言われなくちゃいけないの」と涙ながらに言われました。「今ある妻を理解して付き合っていかなければならない」と考え方を変えた時に色々なことがやりやすくなりました。

よこすか若年認知症の会タンポポの世話人。65歳未満で発症する若年性認知症は、働き盛りの人が多く、若年期特有の問題を抱えています。同会は、若年性認知症の人や家族が日ごろの思いを語り合う場となっています。


本市のサポート体制

支援の輪を広げましょう
認知症サポーター養成講座
福祉総務課 【電話】822-9804
認知症を正しく理解し、認知症の人や家族を見守り、支援する「認知症サポーター」を養成しています。次回の一般公募による開催は12月7日(水曜日)です。詳細は市HPへ。

安心して暮らすためのネットワークがあります
横須賀にこっとSOSネットワーク
地域福祉課 【電話】822-9613
認知症の人が行方不明になってしまった時、一刻も早くご自宅へ帰るためのネットワークがあります。市公式LINEで、このネットワークに参加していただける協力者を募集しています。詳細は市HPへ。

一人で抱え込まず相談しましょう
横須賀にこっとチーム 認知症初期集中支援チーム
地域福祉課 【電話】822-9613
認知症の人や疑いのある人で、受診を拒んでいる・介護サービスを利用できずにいる人に、医療と福祉の専門職がご自宅に訪問して支援方法を一緒に考えます。

お問い合わせ

経営企画部広報課

横須賀市小川町11番地 本館1号館4階<郵便物:「〒238-8550 広報課」で届きます>

電話番号:046-822-9814

ファクス:046-822-9285

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