総合案内 > 市政情報 > 広報・広聴 > 広報よこすか(広報紙) > 広報よこすか(令和4年度) > 令和4年8月号 > 令和4年8月号・2・3面
更新日:2022年8月1日
ページID:85956
ここから本文です。
風水害から、命を守るためには?
日ごろ、消防局は災害などから横須賀を守るため、訓練や対策を練っています。ですが、横須賀市の人口は約39万人、そして市の消防職員の人数は500人程度。こうした“公助”には限界があります。そのため消防団※の皆さんなど、地域で支え合う“共助”がとても重要になっています。
そして、風水害は気象情報で被害の発生を予測できるため、“自助”として事前に準備することができます。命を守るため、その時にできる行動を考えておきましょう。
※会社などで働きながら、消防・防災活動を行う市町村の非常備の消防機関
危険を感じたら早めに避難
緊急消防援助隊で熱海市に派遣
中央消防署 高度救助隊
隊長木村洋士(ひろし)さん
熱海に救助に向かった際、まず感じたのは「予想以上に厳しい状況だ」ということでした。救助活動を進めようにも土砂が胸の高さまであったため、まともに歩ける状況ではありませんでした。現在、横須賀には小型の重機があるため、狭い道にも進入し重機の力で泥を掻き出すことができるのですが、当時の熱海にはそうしたものがありませんでした。そのため、手作業で泥を掻き出し、棒で土砂を突いたり、家の中を探すことで一つ一つの可能性を確認し、救助にあたりました。暑い時期だったので、隊員の体調管理(水分補給など)や2次災害の兆候があった際の退避で救助活動が阻まれ、もどかしい思いをしました。
横須賀は道の狭さや山の背負い方などが熱海と似ているため、同様の土砂災害が横須賀でも起きうると感じ、ぞっとしました。普段から災害を想定した訓練をしてはいますが、人数など消防力にも限界があるため、少しでも危険を感じたら早めに避難をしてほしいと強く思います。
今回の災害で他市町村との連携の大切さを改めて感じ、応援の部分だけでなく、横須賀市が援助を受けるときの対策も練っていこうと考えました。
風水害時ココに要注意
市内でも過去に雨や風による被害が発生しています。大雨が降った際は注意しましょう。
CHECK
土砂災害の兆候や災害が発生しやすい場所を確認しておきましょう
土砂災害の兆候
〇崖から小石がパラパラと落ちてくる
〇斜面にひび割れができる
〇斜面からの湧き水が濁る、新たな湧き水が発生する
大雨が降った際に気を付ける地域
〇崖に近い
〇土地が周りより低い
〇河川や海岸線に近い
「広報よこすか」は市HPでもご覧になれます。 広報よこすか 検索
団員の減少にも負けず、共助を支える消防団
地域の情報は地元の人こそよく知る
団長としてことしで3年目。横須賀の狭い道でも有効な小型の重機を本市に寄贈
横須賀市消防団 宇内(うない)正城(まさしろ)団長
消防団といえば消火活動をイメージする人が多いと思いますが、風水害時などにも出動します。近年、気候変動によって風水害が増えています。土砂災害において、活断層がある地域や急傾斜地の多い地域は注意が必要です。地元で暮らす消防団の人たちは、昔崩れたことがある場所や年配の人がどこに住んでいるかなど、よく知っています。地元の情報を持ち、各地域に住んでいるため、災害時にはすぐに駆け付けることができる、そこが消防団の強みだと思います。また、大きな災害時にも地域の情報を消防局に提供し、救助の協力ができたらと考えています。
訓練を重ねて故郷を守る
消防団は防火訓練や木が倒れた際に扱うチェーンソーの訓練など日ごろから災害に備えています。近年、横須賀市では平作川の氾濫(1974年)に匹敵する災害は起きていません。しかし、全国各地の風水害の状況を考えると、豪雨への備えや水防訓練(浸水を防ぐために土嚢(どのう)を積むなど)が必要だと感じています。今一度、横須賀の消防団も水防訓練を行う必要があると考えています。
そうした訓練を重ね、災害対応を続けることができるのは自身が生まれた故郷を守るという意識があるからだと思います。そして、地域に根ざして地元を守るという使命感はやりがいにつながっています。
子どもの頃から伝える防災の大切さ
応急手当普及員の資格を保有
消防団 女性消防隊 隊長 濱浦(はまうら)悦子(えつこ)さん
普段、訓練はもちろん、さまざまな普及活動も行っています。例えば、市内の保育園や幼稚園で防火教室を実施しています。防火教室では紙芝居や写真を混ぜつつ、クイズ形式で、子どもたちに火の怖さや命の大切さを伝えています。紙芝居は子どもたちが興味を持てるよう、かわいい絵柄のものを選び、なるべくゆっくり話すように意識しています。また、“教える”ではなく“答える”ようにすることで、より関心が持てるよう、工夫しています。子どもたちの真剣に取り組む素直な姿勢はやりがいにもつながっています。
今後は、応急手当普及員※の資格を持つ消防団員を増やし、学校や町内会・自治会などでの応急手当の普及啓発を行えたらと思っています。
※心肺蘇生法などを学ぶ救命講習を開催することができる人
消防団員募集中
若い人の意見を取り入れ、今の時代に合う消防団を目指しています。
興味のある人は消防局総務課へ。
消防局総務課【電話】821-6459
誰かの大切な人のため、勇気ある1歩を
全国消防職員意見発表会で「これからのバイスタンダー育成」を発表
三浦消防署
消防士長 山口真生子(まきこ)さん
数年前、私は外出中に目の前の男性が突然倒れ、心肺停止に陥っている現場に遭遇しました。その瞬間、全身が痺れるような緊張感に襲われました。「この人を助けねば」と夢中で男性の胸を押し、男性が息を吹き返した時、心の底から安堵(あんど)したことを今でも鮮明に覚えています。
これまで私は多くの命に関わる現場を経験してきましたが、救急隊の到着を待つ市民の立場に立った時、これほど心細く、不安で押し潰されそうになるのか、ということを痛感しました。
後日、男性が無事に復帰されたとご家族から聞きました。名前も知らず、それまで一切関わりはなかった人ですが、男性の命が助かったことが、本当に嬉しかったです。
あなたの隣にいる、名前も知らないその人も、誰かにとっての大切な人かもしれません。全ての人々が不安や恐怖を乗り越え、勇気ある1歩を踏み出すことができるよう、講習会などを通じて後押しをできたらと思います。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください