総合案内 > 健康福祉・子育て教育 > 歴史・文化 > 文化活動・事業 > 文化振興基本計画 > 第2章計画の基本的な考え方
更新日:2017年2月20日
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本市が改正前の文化振興条例を制定した昭和60年や文化振興条例を改正した平成19年と比較し、文化の振興を取り巻く社会状況は変化しています。
また、文化の担い手である市民の皆さんも、文化についてさまざまな意見をお持ちです。
計画の策定に際しては、これらを踏まえ検討を行いました。
少子化は…
本市における0歳から14歳の年少人口は、昭和60年には約8万8千人、総人口の約20.5%でしたが、平成24年には約5万3千人、総人口の約12.4%にまで減少しています。この傾向はさらに続き、本計画の終了年度の平成33年には約3万9千人と4万人を切り、総人口に占める割合も10%程度に減少すると予測しています。
子どもたちは、次世代の文化の担い手です。その子どもたちの数が減少していることは、文化の振興にとっては大きな課題です。子どもたちが、これまでよりも、さらに文化に目を向けるよう働き掛けをしていく必要があります。
高齢化は…
本市における65歳以上の高齢人口も、昭和60年には約4万1千人、総人口の約9.4%でしたが、平成24年には約10万7千人、総人口の約25.3%にまで増加しています。将来的には、平成33年には約12万人、総人口に占める割合も30%を超えると予測しています。
高齢者の方々は、これまでも、文化の担い手として大きな役割を果たしてこられました。今後も、豊かな知識や経験を、さらに文化の振興に活かしていただくために、文化に関する情報や文化活動の機会などを充実させ、より文化に関心を向けていただけるように取り組んでいく必要があります。また、心身ともに健康を保ち、生涯現役として生活を送ることができるよう、文化芸術活動に取り組むことができる環境を整える必要があります。
昭和60年に約43万人であった本市の人口は、平成19年は、ほぼ同数を維持していましたが、全国的に人口の減少が始まり、本市でも平成15年から出生数が死亡数を下回る自然減の状況が続いています。人口の減少は今後も続き、平成33年には40万人を割って、39万人程度になると予測しています。
このように、人口が減少すると予想される状況下で、都市活力を維持していくため、定住人口増加のための方策をさぐるとともに、仕事や勉学、観光、買い物など、さまざまな目的で市外から訪れる交流人口の増加を図っていくことが求められており、文化の振興もその一翼を担っています。
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昭和60年 |
平成19年 |
平成24年 |
平成33年 |
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10月1日現在 住民基本台帳人口 |
10月1日現在 住民基本台帳人口 |
10月1日現在 住民基本台帳人口 |
都市政策研究所作成将来推計人口 (平成20年1月推計) |
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総人口 |
429,913 |
429,404 |
423,864 |
390,106 |
年少人口 (0~14歳) |
88,264 |
54,965 |
52,709 |
39,869 |
20.5% |
12.8% |
12.43% |
10.2% |
|
生産年齢人口 (15~64歳) |
301,106 |
277,305 |
264,001 |
229,924 |
70.0% |
64.6% |
62.28% |
58.9% |
|
高齢人口 (65歳以上) |
40,543 |
97,134 |
107,154 |
120,313 |
9.4% |
22.6% |
25.28% |
30.9% |
構成率については、小数点以下第2位を四捨五入しているため、内訳の合計が100%とならない場合があります。
文化活動の場については、昭和60年の改正前の文化振興条例制定後、横須賀芸術劇場や生涯学習センター、横須賀美術館などの公共施設の整備が進みました。
今後は、これらの施設を市民の皆さんに、より一層利用していただけるような取り組みを充実させていく必要があります。そのため、いくつかの施設では、指定管理者制度を導入して、民間事業者等のノウハウを活用した効果的な管理運営を行っています。
勤労福祉会館(ヴェルクよこすか) | 平成3年 |
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総合福祉会館 | 平成5年 |
横須賀芸術劇場 | 平成6年 |
生涯学習センター(まなびかん) | 平成13年 |
ヴェルニー記念館 | 平成14年 |
横須賀美術館 | 平成19年 |
横須賀市基本構想では、「市民協働によるまちづくり」をまちづくりの推進姿勢として位置付け、さらに、横須賀市市民協働推進条例※4(平成13年横須賀市条例第3号)を制定するなど、市民の皆さんとの協働によるまちづくりを推進しています。
文化芸術の振興についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するため、平成13年に文化芸術振興基本法が制定されました。
このなかで、それぞれの地方公共団体が地域の特性に応じた文化施策を策定し、実施することが責務として規定されています(第4条、第35条)。
本市では、文化芸術振興基本法が制定される以前の昭和60年に旧文化振興条例を制定し、文化の振興に取り組んでいましたが、この法律の制定を一つの契機として、文化振興条例の改正を行いました。
また、平成24年には劇場、音楽堂等の活性化を図るため、劇場、音楽堂等の事業、関係者並びに国及び地方公共団体の役割、基本的施策等を定め、もって心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現並びに国際社会の調和ある発展を期するため、「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(劇場法)が制定されました。
文化芸術振興基本法 第4条(地方公共団体の責務) 地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。 第35条(地方公共団体の施策) 地方公共団体は、第8条から前条までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術の振興のために必要な施策の推進を図るよう努めるものとする。
劇場、音楽堂等の活性化に関する法律 第7条(地方公共団体の役割) 地方公共団体は、この法律の目的を達成するため、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び当該地方公共団体の区域内の劇場、音楽堂等を積極的に活用しつつ実施する役割を果たすよう努めるものとする。 |
文化芸術は、市民の方々を元気にする力を持っています。
東日本大震災直後から文化芸術活動によるチャリティーの催しなどが数多く実施され、それらを通じて、生きる力と勇気、希望がもたらされました。これを契機に、文化芸術の持つ力が再認識されています。
「国際海の手文化都市」の実現に向け、横須賀市基本計画※5、実施計画の着実な推進を図るため、「本市の魅力」や「政策・施策」などに対する市民の皆さんの実感を把握するアンケート調査を実施し、その中で芸術・文化への関わりや取り組みへの考えについて伺いました。
時期 | 平成25年1月から2月 |
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対象 | 15歳以上の市民2,000人(住民基本台帳から無作為抽出) |
方法 | 郵送による発送・回収 |
回収率 | 47.3%(配布2,000件、回収945件) |
公演や展覧会などの鑑賞の機会について
『公演や展覧会などの鑑賞の機会について』の設問中、「年に1~2回程度鑑賞する」が36.6%、次いで「数か月に1~2回程度鑑賞する」が12.5%となっています。
同設問中、「鑑賞しない」が47.6%となっていますが、そのうち68.2%が「機会があれば鑑賞したい」としています。
このことから、公演や展覧会の鑑賞の機会に代表される文化・芸術への関心は相当高いことがうかがえます。
文化芸術活動の状況について
『文化芸術活動の状況について』の設問中、「活動している」が17.0%、「今はしていないが過去にしていた」が21.7%、「活動したことがない」が57.2%となっており、「活動している」以外の方の60.3%が「機会があれば活動したい」としています。
このことから、多くの方が文化芸術活動に対する意欲をお持ちだとうかがえます。
横須賀の文化を豊かにするために必要な取り組みについて
計画の改訂に際し、日頃さまざまな文化活動で活躍されている方々や市民の方々による説明会を開催し、意見を伺ったほか、文化振興審議会においても有識者の立場からの意見をいただきました(「第1章-3計画の策定体制」参照)。
4横須賀市市民協働推進条例*横須賀市市民協働推進条例全文
市民協働の推進に関する基本理念を定め、市民、市民公益活動団体、事業者及び市が対等な立場で、お互いに良きパートナーとして役割を分担し、公益の増進を図り、もって魅力と活力ある地域社会の発展に寄与することを目的とし、平成13年に制定しました。
5横須賀市基本計画*詳しい内容はこちら→横須賀市基本計画
基本計画は、「基本構想」を実現するための基本的な政策目標及び施策を体系的に示す計画です。この基本計画は「横須賀市基本構想」が目標とするおおむね30年間のうち、後半部分を担う計画として、2011年度(平成23年度)から2021年度(平成33年度)を計画期間としています。
【まちづくり政策の目標】
文化振興基本計画は、平成19年4月に施行した文化振興条例の規定に基づき策定するものです。文化の振興の基本的な考え方は、文化振興条例をよりどころとしており、文化振興条例の考え方が、この計画での考え方となります。
文化のとらえ方は多様ですが、文化芸術振興基本法の規定により定められた「文化芸術の振興に関する基本的な方針」※6での定義に基づき、広義には「およそ人間と人間の生活にかかわることのすべてのこと」ととらえます。
「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第3次)」(平成23年2月8日閣議決定)より 最も広義の「文化」と捉えれば,人間の自然との関わりや風土の中で生まれ,育ち,身に付けていく立ち居振る舞いや,衣食住をはじめとする暮らし,生活様式,価値観など,およそ人間と人間の生活に関わる総体を意味する。 |
条例では、対象とする文化について、文化芸術振興基本法に規定されている、芸術、伝統芸能、生活文化、文化財などの分野を中心として、「心豊かで潤いと活力のある地域社会の実現に寄与する人々の営みすべて」を包括するものとします。
条例では、文化の意義を「市民の生活に心の豊かさや潤いをもたらすものであり、活力のある地域社会を形成する上で必要不可欠なもの」ととらえます。
文化の振興とは、文化を継承し、発展させ、創造していくことです。
文化の振興に当たり、これまでも心掛けてきたことのうち、特に配慮しなければならない事柄を基本理念として位置付けます。
広義には、文化の振興(前記(3))にかかわる活動ですが、条例では、表現・発表、参加・交流、鑑賞・学習などの活動を指すものとしています。
文化の担い手は市民の皆さんと市であり、それぞれが協働して文化を振興していきます。文化活動の主役は市民の皆さんであり、市民の文化活動を促進するため、環境を整え、土壌づくりを行うのが市の役割と責務です。
地域の活力を培っていくため、文化による交流を推進するとの観点から、文化活動を目的とした市外からの来訪者も、文化の担い手である市民としています。
(表現・発表)イベントへの出場者など。
(参加・交流)地域間交流や観光での来訪者など。
(鑑賞・学習)芸術劇場・美術館など文化施設への来訪者、文化団体の市外在住会員など。
6文化芸術の振興に関する基本的な方針*
文化芸術振興基本法第7条第1項の規定に基づき、おおむね5年間を見通し、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るために定められるものです。基本方針の第1で「文化芸術振興の基本理念」として,文化芸術振興の意義及び文化芸術振興に当たっての基本的視点を示した上で,その基本理念の下,重点的に取り組むべき施策の方向性(重点戦略)を第2で,基本的施策を第3で,それぞれ定めています。平成23年に第3次基本方針が閣議決定されています。
文化の振興の目指すところは、文化振興条例に掲げた目的である「心豊かで潤いと活力のある横須賀」を文化の側面で実現することです。
文化振興基本計画では、この実現に向けて、本市の少子高齢化の状況、文化活動に対する市民の意識を踏まえた上で、健康、福祉、環境、経済、教育などの本市の様々な施策と連携を取りながら、次の3つに重点を置き、文化の振興に取り組んでいきます。
本市でも、少子高齢化の傾向が進んでいます(「第2章-1文化の振興を取り巻く状況」参照)。
文化の担い手は、すべての市民の皆さんですが、文化の次世代への継承という観点から、子どもたち一人ひとりが文化の担い手として育っていくよう、文化にふれる機会の充実を学校教育との連携も踏まえて図っていきます。
また、高齢者の方々が、文化を通じて心身ともに健康を維持し、その豊かな知識や経験を文化の振興に活かしていただくために、文化に関する活動の環境を整え、知識や経験を発揮する土壌づくりを図っていきます。
併せて、多くの市民の皆さんが文化への関心を持ち、文化の担い手として活動を進めるための取り組みを推進していきます。
文化の振興を図っていく上では、文化を引き継いでいかなければなりません。
地域の歴史、文化的遺産、伝統的文化、海や緑の自然や歴史的景観などは、私たちが次の世代に伝えていかなければ、途絶え、消えていってしまいます。これらの私たちの貴重な財産を、これからの世代に引き継ぐためには、歴史の掘り起こし、文化財などの保存、自然や景観の保全が大切です。
そこで、近代歴史遺産の活用、文化財の保護、地域に伝わる文化の継承はもとより、豊かな海などの自然や歴史的な景観の保全やさまざまな分野における人々の営みの成果としてとらえられる広い意味での文化の継承を進める取り組みを充実させていきます。
また、地域の文化に親しむことは、郷土を愛する心をはぐくみ、連帯感を醸し出します。このような思いは、これからの横須賀のまちづくりへの大きな力となっていきます。
人口の減少が進む中、都市活力を維持向上させるために、交流人口をいかに増加させるかが重要となってきています。
文化は、経済活動や観光などの交流の拡大に向けての大きな潜在力を持っています。同時に、交流が盛んになることで文化活動のすそ野が一層広がり、質的水準の向上が連鎖的に期待できることから、文化による交流を推進することで、地域の活力を培っていきます。
また、交流を推進するためにも文化に関する情報提供(発信)を積極的に進めます。
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