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更新日:2017年2月20日

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資料

【資料1】文化振興条例

平成19年3月29日公布
条例第2号

文化振興条例(昭和60年横須賀市条例第26号)の全部を改正する。

わたしたちの横須賀は、三方に豊かな海が広がり、緑豊かで景勝に優れ、この中で先人たちは、旧石器時代の昔からこんにちまで平和で安全な、より良い暮らしを求めて努力してきました。
また、鎌倉幕府の創設に貢献した三浦一族の活躍、近代文明の幕開けとなったペリーの浦賀来航、さらに近代工業発展の礎となった横須賀製鉄所の開設に始まるわが国有数の海軍のまちとしての発展など、横須賀は、いく多の場面で時代の先駆けの舞台となるとともに、人々はこんにちまで日々の生活でのさまざまな困難を乗り越えてきました。
こうした歴史と伝統は、豊かな文化を築く風土としての役割を果たし、地域に活力を生み、新たな文化を創造し、継承していく精神のよりどころとなっています。
文化は、生活に心の豊かさや潤いをもたらすとともに、市民相互の理解と信頼を深め、活力ある地域社会の実現にかけがえのないものです。
文化が創造され、享受できる環境が整えられるとともに、市民一人ひとりが文化の担い手として、主体的にその役割を果たすことが求められています。
横須賀に住む人、横須賀で活動する人と団体や事業者、横須賀を訪れる人、こうしたすべての市民の手によって、これまで培われてきた文化的土壌に、新たに文化の種がまかれ、育てられ、その果実が次世代に受け継がれていかなければなりません。
市民と市が協働して、新たな文化を創造し、さらに未来へ引き継ぐための道しるべとして、ここにこの条例を制定します。

(目的)
第1条この条例は、市民(本市に在住し、在勤し、在学し、または来訪する者及び事務所または事業所を有するものをいう。以下同じ。)と市が協働して推進する文化の継承、発展及び創造(以下「文化の振興」という。)に関する基本的事項を定め、その総合的かつ効果的な推進を図り、もって心豊かで潤いと活力のある地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)
第2条文化の振興に当たっては、市民の自主性及び創造性が尊重されるものとする。
2文化の振興に当たっては、市民が文化を鑑賞し、これに参加し、またはこれを表現する機会等の充実が図られるものとする。
3文化の振興に当たっては、文化を担う人材の育成が図られるものとする。
4文化の振興に当たっては、多様な文化の保護が図られるものとする。
5文化の振興に当たっては、歴史や地域性を生かし、その推進が図られるものとする。
6文化の振興に当たっては、市の内外に広く文化を発信し、文化を通じての交流が図られるものとする。
7文化の振興に当たっては、市民の意見が反映されるよう十分配慮されるものとする。

(市民の役割)
第3条市民は、自らが文化の担い手であるとの認識のもと、主体的にその活力と創意を生かして、広く文化の振興に努めるものとする。

(市の役割と責務)
第4条市は、自らも文化の担い手として、文化の振興のため、文化的視点に立って施策の推進に努めるものとする。
2市は、文化の振興を図るための施策(以下「文化振興施策」という。)の体系を明らかにするとともに、行政組織間の連携を図り、文化振興施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めるものとする。
3市は、市民が文化の振興に取り組むことができるよう配慮するとともに、市民との協働により文化振興施策を推進するよう努めるものとする。

(芸術等の振興)
第5条市は、芸術、伝統芸能、生活文化等の各分野の振興を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(地域文化の振興)
第6条市は、歴史、文化的遺産及び伝統的文化が将来にわたり継承され、活用されるように、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民の文化活動の充実)
第7条市は、青少年、高齢者、障害者等、広く市民が行う文化の振興に関わる活動(以下「文化活動」という。)の充実を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2市は、生涯学習が文化の振興を支える重要な活動ととらえ、市民に学習の機会を提供するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
3市は、学校教育における文化活動の充実を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
4市は、市民の文化活動の充実に資する情報を収集し、及び提供するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化による交流の推進)
第8条市は、多くの外国人が居住し、かつ、国内外の様々な都市との歴史的ゆかり等を有する環境を生かし、文化を通じた国際交流及び地域間交流を推進するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
2市は、文化を地域発展のための資源として活用し、人々の交流の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(人材の育成)
第9条市は、次代を担う子どもたちをはじめ、市民の文化活動を担っていく人材の育成を図るため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(文化活動の場の充実)
第10条市は、公共施設を文化活動の場としての活用を図るとともに、施設の充実に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(景観の保全及び形成)
第11条市は、文化的視点に立ち、自然環境及び地域の歴史的景観の保全をし、並びに周囲と調和のとれた景観を形成するため、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市民文化資産の指定等)
第12条市長は、別に法令等に定めがあるものを除き、文化の振興に資すると認められるものを、市民文化資産として指定することができる。
2指定を受けた市民文化資産は、保存に努めるとともに、可能な限り公開及び活用を図り、または伝承に心掛けるなど文化の振興に資するよう努めるものとする。

(審議会)
第13条文化の振興の基本的事項に関し、市長の諮問に応ずるため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として、横須賀市文化振興審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2審議会は、委員10人以内をもって組織する。
3前項に規定するもののほか、審議会の運営について必要な事項は、規則で定める。


附則
(施行期日)
1この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(経過措置)
2この条例の施行の日前にこの条例による改正前の文化振興条例(以下「旧条例」という。)第7条第1項の規定により設置された横須賀市文化振興審議会は、この条例第13条第1項の規定により設置する審議会となり、同一性をもって存続するものとする。
3この条例の施行の際、現に旧条例第7条第2項の規定により横須賀市文化振興審議会の委員に任命されている者は、この条例第13条第2項の規定により審議会の委員に任命された者とみなす。

【資料2】文化芸術振興基本法

(平成十三年法律第百四十八号)
(平成十三年十二月七日公布)

目次
前文
第一章総則(第一条~第六条)
第二章基本方針(第七条)
第三章文化芸術の振興に関する基本的施策(第八条~第三十五条)
附則

文化芸術を創造し、享受し、文化的な環境の中で生きる喜びを見出すことは、人々の変わらない願いである。また、文化芸術は、人々の創造性をはぐくみ、その表現力を高めるとともに、人々の心のつながりや相互に理解し尊重し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、世界の平和に寄与するものである。更に、文化芸術は、それ自体が固有の意義と価値を有するとともに、それぞれの国やそれぞれの時代における国民共通のよりどころとして重要な意味を持ち、国際化が進展する中にあって、自己認識の基点となり、文化的な伝統を尊重する心を育てるものである。
我々は、このような文化芸術の役割が今後においても変わることなく、心豊かな活力ある社会の形成にとって極めて重要な意義を持ち続けると確信する。
しかるに、現状をみるに、経済的な豊かさの中にありながら、文化芸術がその役割を果たすことができるような基盤の整備及び環境の形成は十分な状態にあるとはいえない。二十一世紀を迎えた今、これまで培われてきた伝統的な文化芸術を継承し、発展させるとともに、独創性のある新たな文化芸術の創造を促進することは、我々に課された緊要な課題となっている。
このような事態に対処して、我が国の文化芸術の振興を図るためには、文化芸術活動を行う者の自主性を尊重することを旨としつつ、文化芸術を国民の身近なものとし、それを尊重し大切にするよう包括的に施策を推進していくことが不可欠である。
ここに、文化芸術の振興についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するため、この法律を制定する。

第一章総則

(目的)
第一条この法律は、文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることにかんがみ、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者(文化芸術活動を行う団体を含む。以下同じ。)の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)
第二条文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。
2文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の創造性が十分に尊重されるとともに、その地位の向上が図られ、その能力が十分に発揮されるよう考慮されなければならない。
3文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、国民がその居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。
4文化芸術の振興に当たっては、我が国において、文化芸術活動が活発に行われるような環境を醸成することを旨として文化芸術の発展が図られ、ひいては世界の文化芸術の発展に資するものであるよう考慮されなければならない。
5文化芸術の振興に当たっては、多様な文化芸術の保護及び発展が図られなければならない。
6文化芸術の振興に当たっては、地域の人々により主体的に文化芸術活動が行われるよう配慮するとともに、各地域の歴史、風土等を反映した特色ある文化芸術の発展が図られなければならない。
7文化芸術の振興に当たっては、我が国の文化芸術が広く世界へ発信されるよう、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進が図られなければならない。
8文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者その他広く国民の意見が反映されるよう十分配慮されなければならない。

(国の責務)
第三条国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第四条地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国民の関心及び理解)
第五条国は、現在及び将来の世代にわたって人々が文化芸術を創造し、享受することができるとともに、文化芸術が将来にわたって発展するよう、国民の文化芸術に対する関心及び理解を深めるように努めなければならない。

(法制上の措置等)
第六条政府は、文化芸術の振興に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

第二章基本方針

第七条政府は、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図るため、文化芸術の振興に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2基本方針は、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
3文部科学大臣は、文化審議会の意見を聴いて、基本方針の案を作成するものとする。
4文部科学大臣は、基本方針が定められたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第三章文化芸術の振興に関する基本的施策

(芸術の振興)
第八条国は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊その他の芸術(次条に規定するメディア芸術を除く。)の振興を図るため、これらの芸術の公演、展示等への支援、芸術祭等の開催その他の必要な施策を講ずるものとする。

(メディア芸術の振興)
第九条国は、映画、漫画、アニメーション及びコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術(以下「メディア芸術」という。)の振興を図るため、メディア芸術の製作、上映等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(伝統芸能の継承及び発展)
第十条国は、雅楽、能楽、文楽、歌舞伎その他の我が国古来の伝統的な芸能(以下「伝統芸能」という。)の継承及び発展を図るため、伝統芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(芸能の振興)
第十一条国は、講談、落語、浪曲、漫談、漫才、歌唱その他の芸能(伝統芸能を除く。)の振興を図るため、これらの芸能の公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(生活文化、国民娯楽及び出版物等の普及)
第十二条国は、生活文化(茶道、華道、書道その他の生活に係る文化をいう。)、国民娯楽(囲碁、将棋その他の国民的娯楽をいう。)並びに出版物及びレコード等の普及を図るため、これらに関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文化財等の保存及び活用)
第十三条国は、有形及び無形の文化財並びにその保存技術(以下「文化財等」という。)の保存及び活用を図るため、文化財等に関し、修復、防災対策、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(地域における文化芸術の振興)
第十四条国は、各地域における文化芸術の振興を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、地域固有の伝統芸能及び民俗芸能(地域の人々によって行われる民俗的な芸能をいう。)に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(国際交流等の推進)
第十五条国は、文化芸術に係る国際的な交流及び貢献の推進を図ることにより、我が国の文化芸術活動の発展を図るとともに、世界の文化芸術活動の発展に資するため、文化芸術活動を行う者の国際的な交流及び文化芸術に係る国際的な催しの開催またはこれへの参加への支援、海外の文化遺産の修復等に関する協力その他の必要な施策を講ずるものとする。
2国は、前項の施策を講ずるに当たっては、我が国の文化芸術を総合的に世界に発信するよう努めなければならない。

(芸術家等の養成及び確保)
第十六条国は、文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者、文化財等の保存及び活用に関する専門的知識及び技能を有する者、文化芸術活動の企画等を行う者、文化施設の管理及び運営を行う者その他の文化芸術を担う者(以下「芸術家等」という。)の養成及び確保を図るため、国内外における研修への支援、研修成果の発表の機会の確保その他の必要な施策を講ずるものとする。

(文化芸術に係る教育研究機関等の整備等)
第十七条国は、芸術家等の養成及び文化芸術に関する調査研究の充実を図るため、文化芸術に係る大学その他の教育研究機関等の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(国語についての理解)
第十八条国は、国語が文化芸術の基盤をなすことにかんがみ、国語について正しい理解を深めるため、国語教育の充実、国語に関する調査研究及び知識の普及その他の必要な施策を講ずるものとする。

(日本語教育の充実)
第十九条国は、外国人の我が国の文化芸術に関する理解に資するよう、外国人に対する日本語教育の充実を図るため、日本語教育に従事する者の養成及び研修体制の整備、日本語教育に関する教材の開発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(著作権等の保護及び利用)
第二十条国は、文化芸術の振興の基盤をなす著作者の権利及びこれに隣接する権利について、これらに関する国際的動向を踏まえつつ、これらの保護及び公正な利用を図るため、これらに関し、制度の整備、調査研究、普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(国民の鑑賞等の機会の充実)
第二十一条国は、広く国民が自主的に文化芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造する機会の充実を図るため、各地域における文化芸術の公演、展示等への支援、これらに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実)
第二十二条国は、高齢者、障害者等が行う文化芸術活動の充実を図るため、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。

(青少年の文化芸術活動の充実)
第二十三条国は、青少年が行う文化芸術活動の充実を図るため、青少年を対象とした文化芸術の公演、展示等への支援、青少年による文化芸術活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(学校教育における文化芸術活動の充実)
第二十四条国は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等文化芸術に関する教育の充実、芸術家等及び文化芸術活動を行う団体(以下「文化芸術団体」という。)による学校における文化芸術活動に対する協力への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(劇場、音楽堂等の充実)
第二十五条国は、劇場、音楽堂等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、公演等への支援、芸術家等の配置等への支援、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(美術館、博物館、図書館等の充実)
第二十六条国は、美術館、博物館、図書館等の充実を図るため、これらの施設に関し、自らの設置等に係る施設の整備、展示等への支援、芸術家等の配置等への支援、文化芸術に関する作品等の記録及び保存への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(地域における文化芸術活動の場の充実)
第二十七条国は、国民に身近な文化芸術活動の場の充実を図るため、各地域における文化施設、学校施設、社会教育施設等を容易に利用できるようにするための措置その他の必要な施策を講ずるものとする。

(公共の建物等の建築に当たっての配慮)
第二十八条国は、公共の建物等の建築に当たっては、その外観等について、周囲の自然的環境、地域の歴史及び文化等との調和を保つよう努めるものとする。

(情報通信技術の活用の推進)
第二十九条国は、文化芸術活動における情報通信技術の活用の推進を図るため、文化芸術活動に関する情報通信ネットワークの構築、美術館等における情報通信技術を活用した展示への支援、情報通信技術を活用した文化芸術に関する作品等の記録及び公開への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(地方公共団体及び民間の団体等への情報提供等)
第三十条国は、地方公共団体及び民間の団体等が行う文化芸術の振興のための取組を促進するため、情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(民間の支援活動の活性化等)
第三十一条国は、個人または民間の団体が文化芸術活動に対して行う支援活動の活性化を図るとともに、文化芸術活動を行う者の活動を支援するため、文化芸術団体が個人または民間の団体からの寄附を受けることを容易にする等のための税制上の措置その他の必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

(関係機関等の連携等)
第三十二条国は、第八条から前条までの施策を講ずるに当たっては、芸術家等、文化芸術団体、学校、文化施設、社会教育施設その他の関係機関等の間の連携が図られるよう配慮しなければならない。
2国は、芸術家等及び文化芸術団体が、学校、文化施設、社会教育施設、福祉施設、医療機関等と協力して、地域の人々が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造する機会を提供できるようにするよう努めなければならない。

(顕彰)
第三十三条国は、文化芸術活動で顕著な成果を収めた者及び文化芸術の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

(政策形成への民意の反映等)
第三十四条国は、文化芸術の振興に関する政策形成に民意を反映し、その過程の公正性及び透明性を確保するため、芸術家等、学識経験者その他広く国民の意見を求め、これを十分考慮した上で政策形成を行う仕組みの活用等を図るものとする。

(地方公共団体の施策)
第三十五条地方公共団体は、第八条から前条までの国の施策を勘案し、その地域の特性に応じた文化芸術の振興のために必要な施策の推進を図るよう努めるものとする。

附則

(施行期日)
1この法律は、公布の日から施行する

(文部科学省設置法の一部改正)
2文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。
第二十九条第一項第五号中「著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)」を「文化芸術振興基本法(平成十三年法律第百四十八号)第七条第三項、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)」に改める。第二十九条第一項第五号中「著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)」を「文化芸術振興基本法(平成十三年法律第百四十八号)第七条第三項、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)」に改める。


理由
文化芸術が人間に多くの恵沢をもたらすものであることにかんがみ、心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与するため、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術活動を行う者の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

【資料3】劇場、音楽堂等の活性化に関する法律

(平成二十四年法律第百四十九号)
(平成二十四年六月二十七日公布)


目次
前文
第一章総則(第一条―第九条)
第二章基本的施策(第十条―第十六条)
附則

我が国においては、劇場、音楽堂等をはじめとする文化的基盤については、それぞれの時代の変化により変遷を遂げながらも、国民のたゆまぬ努力により、地域の特性に応じて整備が進められてきた。
劇場、音楽堂等は、文化芸術を継承し、創造し、及び発信する場であり、人々が集い、人々に感動と希望をもたらし、人々の創造性を育み、人々が共に生きる絆を形成するための地域の文化拠点である。また、劇場、音楽堂等は、個人の年齢若しくは性別または個人を取り巻く社会的状況等にかかわりなく、全ての国民が、潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための場として機能しなくてはならない。その意味で、劇場、音楽堂等は、常に活力ある社会を構築するための大きな役割を担っている。
さらに現代社会においては、劇場、音楽堂等は、人々の共感と参加を得ることにより「新しい広場」として、地域コミュニティの創造と再生を通じて、地域の発展を支える機能も期待されている。また、劇場、音楽堂等は、国際化が進む中では、国際文化交流の円滑化を図り、国際社会の発展に寄与する「世界への窓」にもなることが望まれる。
このように、劇場、音楽堂等は、国民の生活においていわば公共財ともいうべき存在である。
これに加え、劇場、音楽堂等で創られ、伝えられてきた実演芸術は、無形の文化遺産でもあり、これを守り、育てていくとともに、このような実演芸術を創り続けていくことは、今を生きる世代の責務とも言える。
我が国の劇場、音楽堂等については、これまで主に、施設の整備が先行して進められてきたが、今後は、そこにおいて行われる実演芸術に関する活動や、劇場、音楽堂等の事業を行うために必要な人材の養成等を強化していく必要がある。また、実演芸術に関する活動を行う団体の活動拠点が大都市圏に集中しており、地方においては、多彩な実演芸術に触れる機会が相対的に少ない状況が固定化している現状も改善していかなければならない。
こうした劇場、音楽堂等を巡る課題を克服するためには、とりわけ、個人を含め社会全体が文化芸術の担い手であることについて国民に認識されるように、劇場、音楽堂等を設置し、または運営する者、実演芸術に関する活動を行う団体及び芸術家、国及び地方公共団体、教育機関等が相互に連携協力して取り組む必要がある。
また、文化芸術の特質を踏まえ、国及び地方公共団体が劇場、音楽堂等に関する施策を講ずるに当たっては、短期的な経済効率性を一律に求めるのではなく、長期的かつ継続的に行うよう配慮する必要がある。
ここに、このような視点に立ち、文化芸術振興基本法の基本理念にのっとり、劇場、音楽堂等の役割を明らかにし、将来にわたって、劇場、音楽堂等がその役割を果たすための施策を総合的に推進し、心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現並びに国際社会の調和ある発展を期するため、この法律を制定する。

第一章総則
(目的)
第一条この法律は、文化芸術振興基本法(平成十三年法律第百四十八号)の基本理念にのっとり、劇場、音楽堂等の活性化を図ることにより、我が国の実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の振興を図るため、劇場、音楽堂等の事業、関係者並びに国及び地方公共団体の役割、基本的施策等を定め、もって心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現並びに国際社会の調和ある発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条この法律において「劇場、音楽堂等」とは、文化芸術に関する活動を行うための施設及びその施設の運営に係る人的体制により構成されるもののうち、その有する創意と知見をもって実演芸術の公演を企画し、または行うこと等により、これを一般公衆に鑑賞させることを目的とするもの(他の施設と一体的に設置されている場合を含み、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業または同条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を行うものを除く。)をいう。
2この法律において「実演芸術」とは、実演により表現される音楽、舞踊、演劇、伝統芸能、演芸その他の芸術及び芸能をいう。

(劇場、音楽堂等の事業)
第三条劇場、音楽堂等の事業は、おおむね次に掲げるものとする。
一実演芸術の公演を企画し、または行うこと。
二実演芸術の公演または発表を行う者の利用に供すること。
三実演芸術に関する普及啓発を行うこと。
四他の劇場、音楽堂等その他の関係機関等と連携した取組を行うこと。
五実演芸術に係る国際的な交流を行うこと。
六実演芸術に関する調査研究、資料の収集及び情報の提供を行うこと。
七前各号に掲げる事業の実施に必要な人材の養成を行うこと。
八前各号に掲げるもののほか、地域社会の絆の維持及び強化を図るとともに、共生社会の実現に資するための事業を行うこと。

(劇場、音楽堂等を設置し、または運営する者の役割)
第四条劇場、音楽堂等を設置し、または運営する者は、劇場、音楽堂等の事業(前条に規定する劇場、音楽堂等の事業をいう。以下同じ。)を、それぞれその実情を踏まえつつ、自主的かつ主体的に行うことを通じて、実演芸術の水準の向上等に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(実演芸術団体等の役割)
第五条実演芸術に関する活動を行う団体及び芸術家(以下「実演芸術団体等」という。)は、それぞれその実情を踏まえつつ、自主的かつ主体的に、実演芸術に関する活動の充実を図るとともに、劇場、音楽堂等の事業に協力し、実演芸術の水準の向上等に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。

(国の役割)
第六条国は、この法律の目的を達成するため、劇場、音楽堂等に係る環境の整備その他の必要な施策を総合的に策定し、及び実施する役割を果たすよう努めるものとする。

(地方公共団体の役割)
第七条地方公共団体は、この法律の目的を達成するため、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び当該地方公共団体の区域内の劇場、音楽堂等を積極的に活用しつつ実施する役割を果たすよう努めるものとする。

(劇場、音楽堂等の関係者等の相互の連携及び協力等)
第八条劇場、音楽堂等を設置し、または運営する者、実演芸術団体等その他の関係者(次
項及び第十六条第二項において「劇場、音楽堂等の関係者」という。)並びに国及び地方公共団体は、この法律の目的を達成するため、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。
2国及び地方公共団体は、この法律に基づく施策を策定し、及び実施するに当たっては、劇場、音楽堂等の関係者の自主性を尊重するものとする。

(国及び地方公共団体の措置)
第九条国及び地方公共団体は、この法律の目的を達成するため、必要な助言、情報の提供、財政上、金融上及び税制上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

第二章基本的施策
(国際的に高い水準の実演芸術の振興等)
第十条国は、国際的に高い水準の実演芸術の振興並びに我が国にとって歴史上または芸術上価値が高い実演芸術の継承及び発展を図るため、次に掲げる施策その他必要な施策を講ずるものとする。
一独立行政法人を通じて劇場、音楽堂等の事業を行うこと。
二地方公共団体が講ずる劇場、音楽堂等に関する施策、劇場、音楽堂等を設置し、または運営する民間事業者(次項及び第十二条第二項において「民間事業者」という。)が行う劇場、音楽堂等の事業及び実演芸術団体等が劇場、音楽堂等において行う実演芸術に関する活動への支援を行うこと。
2前項に定めるもののほか、国は、地方公共団体及び民間事業者に対し、その求めに応じて、我が国の実演芸術の水準の向上に資する事業を行うために必要な知識または技術等の提供に努めるものとする。

(国際的な交流の促進)
第十一条国は、外国の多彩な実演芸術の鑑賞の機会が国民に提供されるようにするとともに、我が国の実演芸術の海外への発信を促進するため、我が国の劇場、音楽堂等が行う国際的な交流への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(地域における実演芸術の振興)
第十二条地方公共団体は、地域の特性に応じて当該地域における実演芸術の振興を図るため、劇場、音楽堂等の事業の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
2国は、国民がその居住する地域にかかわらず等しく、実演芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造することができるよう、前項の規定に基づき地方公共団体が講ずる施策、民間事業者が行う劇場、音楽堂等の事業及び実演芸術団体等が劇場、音楽堂等において行う実演芸術に関する活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(人材の養成及び確保等)
第十三条国及び地方公共団体は、制作者、技術者、経営者、実演家その他の劇場、音楽堂等の事業を行うために必要な専門的能力を有する者を養成し、及び確保するとともに、劇場、音楽堂等の職員の資質の向上を図るため、劇場、音楽堂等と大学等との連携及び協力の促進、研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

(国民の関心と理解の増進)
第十四条国及び地方公共団体は、劇場、音楽堂等において行われる実演芸術に対する国民の関心と理解を深めるため、教育活動及び啓発活動の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
2国及び地方公共団体は、この法律に基づく施策を実施するに当たっては、国民の理解を得るよう努めるものとする。

(学校教育との連携)
第十五条国及び地方公共団体は、学校教育において、実演芸術を鑑賞し、またはこれに参加することができるよう、これらの機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(劇場、音楽堂等の事業の活性化に関する指針)
第十六条文部科学大臣は、劇場、音楽堂等を設置し、または運営する者が行う劇場、音楽堂等の事業の活性化のための取組に関する指針を定めることができる。
2文部科学大臣は、前項の指針を定め、またはこれを変更しようとするときは、あらかじめ、劇場、音楽堂等の関係者の意見を聴くものとする。
3文部科学大臣は、第一項の指針を定め、またはこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

附則
(施行期日)
1この法律は、公布の日から施行する。

(検討)
2政府は、この法律の施行後適当な時期において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、劇場、音楽堂等の事業及びその活性化による実演芸術の振興の在り方について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

お問い合わせ

文化スポーツ観光部文化振興課

横須賀市小川町11番地 本館3号館4階<郵便物:「〒238-8550 文化振興課」で届きます>

電話番号:046-822-8116

ファクス:046-824-3277

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