教育フォーラム2024を開催しました
1 開催概要
喫緊の課題である「不登校」について、学校、家庭、地域が一緒に考え、意見を交換しました。
2 開催日時・場所
令和6年10月27日(日曜日)9時30分~12時30分、総合福祉会館5階ホール
3 来場者
計120人(参加者85人・見学者35人)
区分 |
内訳 |
人数 |
参加者 |
ファシリテーター(関東学院大学法学部教授・牧瀬 稔氏)
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1人 |
パネルディスカッション討論者
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5人 |
中学生(大矢部中学校4、長沢中学校15)
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19人 |
高校生(横須賀総合高校8、三浦学苑高校4)
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12人 |
大学生(関東学院大学法学部・牧瀬ゼミ)
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28人 |
保護者
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8人 |
教員(小学校5、横須賀総合高校1)
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6人 |
公募市民
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6人 |
見学者 |
教員12、教育委員4、事務局など19
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35人 |
4 開催内容
事務局による「横須賀市の不登校児童生徒の現状」に関する説明の後、ファシリテーターの進行により以下のとおり開催しました。
[第1部]パネルディスカッション(9時30分~11時)
討論者
1.荒井 香菜美 氏(横須賀総合高校の卒業生)
2.石渡 えり子 氏(横須賀総合高校養護教諭)
3.前島 光 氏(日本女子体育大学教授)
4.美濃屋 裕子 氏(スクールソーシャルワーカー)
5.進藤 眞由美 氏(登校支援相談員)
■テーマ 「魅力ある教室をつくるために期待すること」
〇討論者の主な発言要旨
荒井氏 |
- 同じ時期につらいことが重なり、不登校になったが、親の勧めもありNPOの教室に通いだしてから、中学校の相談室に登校できるようになった。
- クラスの実態把握のために特別な時間をつくるのではなく、いつでも世間話ができるような環境づくりが必要だと思う。
- 生徒、特に学級委員を中心に、魅力ある教室をつくるものだと思うが、支えになる先生の存在など、支援する体制が必要だと思う。
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石渡氏 |
- 学校に来る楽しみが必要だと思う。その点、総合高校の設備、建物が素晴らしく、なかでも、SKYアリーナ(体育館)が広く、とても良い環境だと思う。
- 生徒一人一人の情報を共有し、教員がネットワークをつくって、チーム体制でサポートしていくとよいと思う。
- 学校内を巡回し、廊下にいる生徒に声がけすることで、温かい雰囲気をつくることを心掛けている。
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前島氏 |
- 安心感のある教室が必要だと思う。
- 人は温かさで動くので、集団として温かさがあるのかが重要。
- 学校全体なら校長、教室なら教員、経営する者が実態を把握するべき。
- 校長を務めていた時は、生徒と教員に「この学校はどんな学校か」を聞き、認識に違いがないか確認していた。
- 子どもの声が届いている学校は良い学校だと思う。
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美濃屋氏 |
- 魅力ある教室にはいろいろなタイプがあるが、共通することは、安心、安全だと思う。誰もバカにしたりしない、受け入れて尊重する空気があると、自然と魅力ある教室になっていくと思う。
- 校長先生が先生同士の環境を整備し、職員室において先生同士が相談し合えるような雰囲気づくりが重要。
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進藤氏 |
- 教室の枠をさらに広げて、いろいろな所で話せるような、ネットワークづくりが大切だと思う。
- 集団も個人もどちらも大事。安心して「No」と言える環境が必要だと思う。
- 校長先生から教員への温かい一言があると、生徒に対して「ゆとりをもってやっていこう」と思える。
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[第2部]ワールドカフェ形式の意見交換(11時~12時30分)
〇テーマ
第1ラウンド「学校に行く動機になっていること、楽しみにしていることは?」
第2ラウンド「魅力ある教室をつくるために私たちにできることは?」
テーブルホスト代表者3名による「まとめの言葉」
- 友達や先生と話す、会うこと、学童へ参加することが学校へ行くモチベーションになっているという意見や、間違いを否定しない、積極的に会話の場面を作る、クラス規模で行うイベントを開催するなどの意見があった
- 学校に行く動機として挙げられた意見は、「交流」「イベント」「学び」「環境」「部活」「好きな人」の6つに分類出来た。魅力ある教室をつくるために出来ることは「学び」「尊重」「環境」の3分類に分けられ、具体的には、お互いを尊重し、一人一人の意識を変える必要があるという意見があった。
- 部活や友達、学校行事などの勉強以外を楽しみに学校へ行くという意見が多かった。生徒が主体となる教室や意見を出し合える環境、生徒と先生が一緒に活動することが、クラスの実情をより理解しやすくなるという考えから、先生が積極的に生徒の輪に入ることが重要だという意見があった。
5 来場者の感想・意見など(感想カード集計結果)
[回答者]
38人(参加者33人、見学者5人)
[内 訳]
中学生5人、高校生2人、大学生12人、保護者7人、教員6人、その他6人
[感 想」
とても良かった[25人(65.8%)] 、 良かった[10人(26.4%)]、ふつう[1人(2.6%)]、
あまり良くなかった[1人(2.6%)]、良くなかった[1人(2.6%)]
【自由意見1.:どのような学校ならもっと通いやすいと思うか。】
- 一人一人が自分の意見を言えるような環境、その意見を受け入れてあげられるような温かい学校
- どんな状況でも受け入れられる余裕を一人一人が持ち、久しぶりに来た子も含めてイベントを行える雰囲気のある学校
- 他人を否定せず、理解しあえる場、居場所のある学校
- 自己肯定感が高まるような関わりをしてもらえ、個性も認められ、排他的でなく、信頼関係を大切にしながら、平等をはき違えていない学校
- 保護者、先生が連携しながら子どもを真ん中とした関わりをしてもらえる学校
- 社会通念で受け入れられない悪いこと以外は、何事も決めつけた考え方をしない風土のある学校
- 自然が豊かで地域の資源が活かされ、体験的な学習、職業につながる教科横断的な活動ができ、学校での活動が地域にも還元できるような仕掛けのある学校
- 先生たちが生き生きと働いている学校
【自由意見2.:参加しての感想やコメント等】
- 自分ひとりでは発想し得ない意見を聞くことができて、知見が深まる良い機会をいただけました。ありがとうございました。
- こういう話し合いの場はずっと続けていくべきだと思いました。時代が進むごとに、生徒の悩みや社会の問題も変わっていくので、子どもも大人も、生徒も教師も、自分の意見を話すことのできる場所は大切だと感じました。
- 子ども達の意見を取り入れて、より良い学校生活を送るためのディスカッションを、市内で今後も増やしていけると、各学校の良さもシェアできるのではないかと思いました。
- 見直すべきは学校だけではないと感じました。もっと家庭へのサポートが必要になると思います。
- 魅力ある教室をつくるために必要なものは、個人の尊重や互いの助け合いなど、人間関係を築いていく中で生まれる安心感が必要であるということが重要であると改めて感じることができた。
- ワールドカフェでいつもなら関わらないようなさまざまな年代の人と話し合いができて新鮮だった。
- 学校で楽しみなこととして「推しを作って会うこと」と中学生が発言し、斬新で素敵な発言に感心した。自ら積極的に楽しみを作って、学校に通うモチベーションを自分で保っていることが良い考えだと思った。
- 生徒と交換日記をしたり、一人一人と面談をしていたという登壇者の話をとてもうらやましい気持ちになった。自分の気持ちを吐き出せる場所があること、大人に相談できる場所があることは、生徒にとって気持ちがとても楽になるし、安心すると感じた。
- 少年期の大きな目標は「どう生きるかを考える訓練」「集団生活の訓練」「困難を乗り越える訓練」であり、その機会として最たるものが「学校」であるという意識のもとで、不登校をとらえる意識が広がってほしい。学校はあくまでも社会人になるための教育ツールであり、不登校であっても、上記の目的が達成される過ごし方をしていれば良い、という考えをもつことを進めていきたい。
6 当日の様子