今週の感染症トピックス
令和7年9月1日から令和7年9月7日(2025年第36週)
今週の注目感染症
【百日咳】
- 百日咳は、百日咳菌による呼吸器感染症です。現在日本では、定期予防接種の対象疾患になっています。近年では、乳幼児期の予防接種の効果が減弱した成人の発病がみられます。
- 主な症状は激しい咳です。短い咳が連続的に続き、最後に大きく息を吸い込んで痰を出しておさまる、という特徴的な症状を呈します。成人は比較的軽い症状で経過しますが、乳児は無呼吸発作など重篤になる場合もあり、注意が必要です。治療には抗菌薬が有効です。
- また、百日咳はワクチンで予防可能な感染症(vaccinepreventabledisease:VPD)の一つです。初回接種3回、追加接種1回の合計4回の接種が必要になりますので、生後2か月になったらすぐに5種混合ワクチンの定期接種を始めてください。日本小児科学会では、定期接種に加えて就学前にも任意接種として、百日咳含有ワクチン(DPTワクチン)の接種が推奨されています。
【腸管出血性大腸菌感染症】
- 腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産生する病原性大腸菌により起こる病気で、汚染された食品や、感染者の便を介して感染します。
- 主な症状は腹痛と下痢ですが、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症を起こして死に至ることもあります。
- 感染予防策は、(1)食前やトイレの後に石けんと流水で十分な手洗いを行う、(2)調理器具の消毒・殺菌を確実に行う、(3)肉・肉製品の調理の際には中心部75℃以上で1分間以上加熱する、(4)生野菜はよく水洗いをする、などです。アウトドアのような慣れない環境では、感染予防策が不十分になりやすく、特に注意が必要です。また、強い腹痛や下痢(特に血便)などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
全数把握対象疾患情報(横須賀市内)
【結核:1例】
- 年齢群は90歳代、推定感染原因・感染経路は飛沫・飛沫核感染、推定感染地域は神奈川県、病型は肺結核。
【レジオネラ症:1例】
- 年齢群は80歳代、推定感染原因・感染経路は不明、推定感染地域は神奈川県横須賀市。
【侵襲性肺炎球菌感染症:1例】
- 年齢群は50歳代、推定感染原因・感染経路は飛沫・飛沫核感染、感染地域は横須賀市、ワクチン接種歴は無。
【梅毒:1例】
- 年齢群は20歳代、感染原因・感染経路は性的接触、感染地域は日本国内都道府県不明。
【百日咳:1例】
- 年齢群は10歳代、LAMP法等病原体遺伝子検出、感染原因・感染経路は不明、推定感染地域は神奈川県横須賀市、ワクチン接種歴は有。
定点把握対象疾患情報(横須賀市内)
横須賀市の感染症(五類定点)発生情報(週報)
第15週より急性呼吸器感染症が新たに5類感染症に追加されたことに伴い指定届出医療機関数が変更になりました。そのため、14週をもって定点把握対象疾患の警報・注意報レベルの公表は終了しております。