今週の感染症トピックス
令和7年6月16日から令和7年6月22日(2025年第25週)
今週の注目感染症
【百日咳】
- 百日咳は、百日咳菌による呼吸器感染症です。現在日本では、定期予防接種の対象疾患になっています。近年では、乳幼児期の予防接種の効果が減弱した成人の発病がみられます。
- 主な症状は激しい咳です。短い咳が連続的に続き、最後に大きく息を吸い込んで痰を出しておさまる、という特徴的な症状を呈します。成人は比較的軽い症状で経過しますが、乳児は無呼吸発作など重篤になる場合もあり、注意が必要です。治療には抗菌薬が有効です。
- また、百日咳はワクチンで予防可能な感染症(vaccine preventable disease: VPD)の一つです。初回接種3回、追加接種1回の合計4回の接種が必要になりますので、生後2か月になったらすぐに5種混合ワクチンの定期接種を始めてください。日本小児科学会では、定期接種に加えて就学前にも任意接種として、百日咳含有ワクチン(DPTワクチン)の接種が推奨されています。
【麻しん】
- 麻しんは、麻しんウイルスによる 急性の感染症です。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力が非常に強く、免疫を持っていない人が感染 するとほぼ確実に発症します。
- 発熱、咳、鼻水、のどの痛み、目の充血等が数日続いたあと、高熱と全身の発疹が出現しま す。また、肺炎や中耳炎、脳炎を合併する場合もあります。
- 特別な治療法はなく、対症療法(症状を和らげる治療)が行われ ます。
- 予防にはワクチン接種が効果的です。日本では、予防接種法に基づく定期接種として、1 歳で 1 回目、小学校入学前 1 年間に 2 回目のワクチンを、原則、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)で行うことになっています(全額公費)。また、 2024 年度に定期接種の対象であった方で、2024 年度内にMRワクチンの偏在等が理由でワクチン接種ができなかった方 については、2025 年 4 月 1 日から 2 年間、定期接種として公費で受けられることになりました(特例措置)。2025 年は麻し んの流行している国が多くなっています。海外渡航前に予防接種歴を確認しましょう。
全数把握対象疾患情報(横須賀市内)
【結核:2例】
- 年齢群は50歳代2例、病型は肺結核2例、感染原因・感染経路は不明2例、感染地域は神奈川県横須賀市2例。
【腸管出血性大腸菌感染症:1例】
- 年齢群は40歳代、血清型・毒素型はO・VT2、推定感染原因・感染経路は経口感染、推定感染地域は神奈川県横須賀市。
【百日咳:4例】
- 年齢群は10歳未満1例、10歳代1例、40歳代2例、LAMP法等病原体遺伝子検出1例、感染原因・感染経路は不明4例、推定感染地域は横須賀市3例、日本国内都道府県不明1例、ワクチン接種歴は接種有(4回)1例、不明3例。
定点把握対象疾患情報(横須賀市内)
横須賀市の感染症(五類定点)発生情報(週報)
第15週より急性呼吸器感染症が新たに5類感染症に追加されたことに伴い指定届出医療機関数が変更になりました。そのため、14週をもって定点把握対象疾患の警報・注意報レベルの公表は終了しております。